「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」
The months and days are the travelers of eternity. The years that come and go are also voyagers.
— 松尾芭蕉 『おくのほそ道』冒頭(1702刊)
李白「夫天地者万物之逆旅」を踏まえた一節
「月日は永遠の旅人であり、来ては去る年もまた旅人である」── 人生そのものを旅と見て、自分もその旅人の一人として東北へ発つ、という日本文学史上最も有名な書き出し。定住的な人生観に対する、移動と無常の人生観の宣言
- 心理学では
- 月日を旅人と見るこの一句は、時間を所有するものではなく通り過ぎていくものとして捉える見方であり、心理学でいう時間的希少性の知覚(残された時間は限られているという感覚)に通じる。Kurtz(2008)は、卒業を控えた大学生を対象に、卒業までの時間を「残りわずか」と意識させる実験を行い、そう意識した学生ではその後の幸福感がより高まり、大学生活を楽しむ行動も増えることを示した。Carstensenら(1999)の社会情動的選択性理論(時間の見通しが目標の選び方を変えるという理論)も、時間が限られていると感じる人ほど、いま意味のある関係や体験を大切にすると説明する。季節の変わり目や年の節目に「この時間も過ぎていく」と意識することが、目の前の日々を味わう助けになる。 参考:Kurtz(2008)「Looking to the Future to Appreciat…」 ↗/Carstensenら(1999)「Taking time seriously: A theory of…」 ↗