2026.10.21

はぴテク相談室:ひとり時間、「誰かがいる場所」で過ごしてみる?

相談者

はぴテクさん、こんにちは。定年後、ひとり暮らしで気ままに過ごしているんですが、最近「なんだかちょっと物足りないな」と感じることがあって。友人には「サークルに入れば?」と言われるんですけど、正直、人と約束して会うのって少し疲れるんです。ひとりは好き、でもさみしい時もある。わがままですかね?

はぴテクさん
はぴテクさん

こんにちは!ぜんぜんわがままじゃないですよ。「ひとりが好き」と「誰かの気配がほしい」は、両立する気持ちだと思います。実は、まさにそのあたりを調べた研究が最近あるんです。アメリカのシカゴに住む352人の高齢の方(平均73.8歳)に、スマホで1日5回「いま幸せ?満足してる?元気?」と聞いて、合計1万2千回以上の「その瞬間の気分」を集めたものなんですよ。

相談者

1日5回も!それで何が分かったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究の面白いところは、「誰かと一緒にいる」を2種類に分けたことなんです。ひとつは「誰かと"いる"」。家族や友人と、食事や会話や散歩をするような、目的をもった同席ですね。もうひとつは「誰かが"まわりにいる"」。たとえば、ひとりで買い物に行く、ひとりで病院の待合室に座る。相手は連れじゃないけど、同じ空間に人がいる状態です。

相談者

あ、それなら私もよくあります。図書館とか、近所のスーパーとか。でもそれって「ひとり」ですよね?

はぴテクさん
はぴテクさん

そう、「ひとり」なんですが、ここが肝心で。研究では、「ひとりで、まわりにも誰もいない」ときと比べて、「ひとりだけど、まわりに人がいる」ときのほうが、その瞬間の前向きな気分(幸せ・満足・元気)が少し高い傾向があったんです。しかもこれは、同じ人の中で「いつもの自分と比べてどうか」を見た結果なんですよ。

相談者

へえ!誰かと話すわけでもないのに?

はぴテクさん
はぴテクさん

話さなくても、ですね。ちなみに「ひとりで、まわりに人がいる」ときの気分の上がり幅は、「趣味やレジャーをしているとき」や「屋外にいるとき」の上がり幅より、むしろ少し大きかったそうです。そして、「誰かと一緒にいて、まわりに誰もいない」ときとの差は、統計的にはっきりした違いとは言えなかった。つまり、人のいる空間でひとり過ごす時間も、それなりに"いい時間"になりうる、ということを示す結果でした。

相談者

それはうれしい話です。じゃあ、わざわざサークルに入らなくてもいい?

はぴテクさん
はぴテクさん

ふふ、そこはちょっと慎重に。研究では、いちばん気分が高かったのは「誰かと一緒にいて、かつ、まわりにも人がいる」ときでした。「誰かと"いる"」ことには、やっぱりしっかりした関連がありましたよ。だから、「どちらか」ではなく、「ひとりで人のいる場所にいる時間」と「誰かと過ごす時間」の両方を、ご自分の心地よさに合わせて混ぜていくのがよさそうです。疲れない範囲で、ですね。

相談者

なるほど。まわりにいる人は、知っている人のほうがいいんでしょうか?

はぴテクさん
はぴテクさん

補足の分析では、まわりにいる人の半分以上が「知っている・見覚えがある」人だったとき、前向きな気分がやや高い傾向がありました。「ひとりだけど、顔見知りがまわりにいる」ときも、少し高めという結果が出ています(ただしこちらは件数が少なく、統計的にはぎりぎりの結果とされています)。研究者も、「"顔見知りに囲まれたひとり時間"は、ふだん行く図書館やジム、いつもの店などで生まれやすい」と、慎重に書いていました。

相談者

いつものスーパーの店員さん、いつも窓際にいる図書館のおじいさん…そういう人たち、たしかに顔は知ってます。

はぴテクさん
はぴテクさん

そういう"友達未満の顔見知り"がいる場所に、ひとりで身を置く。それだけでも「自分はこの街の一員だな」と感じやすいのかもしれません。研究ではこれを、「所属している感覚」や「必要になれば助けを呼べそう、という安心感」と関係するのでは、と考察していましたよ。あくまで考察ですけどね。

相談者

ちょっと気をつけることはありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

3つほど。ひとつ、気分の差は0〜3点の尺度で0.05〜0.09点くらいと、大きな差ではないこと。ふたつ、これは「関連」で、「人のいる場所に行けば気分が上がる」と因果まで言い切れないこと。もともと気分がいい日に外に出ているのかもしれません。みっつ、調査はコロナ前の都市部シカゴで、カフェや公共スペースが身近な環境だったこと。それと研究者自身が、「ひとりで静かに過ごしたい時間だって大事」とはっきり書いていました。だから無理に出かける必要はなくて、「今日はちょっと気配がほしいな」という日の選択肢として持っておく、くらいでいいと思います。

相談者

いいですね。明日は図書館の窓際で、ひとりで本を読んでみます。誰とも話さなくてもいいんだって思うと、気が楽です。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、すてきなはぴテクです。ひとりの自由はそのままに、人の気配だけ借りてくる。そんな過ごし方、ぜひ楽しんでくださいね。

■ 今日のまとめ

  • 「誰かといる」だけでなく、「ひとりでも、まわりに人がいる」状態は、その瞬間の前向きな気分の高さと関連していた(完全にひとりのときとの差は、趣味や屋外の効果より大きめ)。
  • もっとも気分が高かったのは「誰かと一緒にいて、まわりにも人がいる」とき。人の気配は、誰かと過ごす時間の代わりではなく、上手に組み合わせるもの。
  • 顔見知りがいる場所(いつもの図書館や店など)でのひとり時間も、やや気分が高い傾向(ただし件数が少なく、結果は慎重に見る必要あり)。無理のない範囲で「気配を借りる」選択肢に。

■ 出典・注意事項

  • Goldman, A. W., & Moorman, S. M. (2026). Happiness Loves Company? Positive Affect and the Momentary Social Context. Socius: Sociological Research for a Dynamic World, 12, 1–15. https://doi.org/10.1177/23780231261483803

  • 本研究は観察研究(経験サンプリング法によるデータの多水準分析)であり、「人のいる場所にいること」と「前向きな気分」の関連を示したもので、因果関係を断定するものではありません。もともと気分のよい人や社交的な人が社会的な場所に行きやすい可能性などを、著者自身も限界として挙げています。

  • 調査対象は2018〜2019年(コロナ前)のシカゴ在住の高齢者352人であり、都市環境や時期の特殊性から、他の地域・年代・現在の状況にそのまま当てはまるとは限りません。気分の差も小さめ(0〜3点の尺度で0.05〜0.09点程度)です。

  • この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。

投稿者による補足(1件)
補足 1

研究自体の紹介はこちら😊
一人でも「人のそば」にいるだけで幸福度は上がる
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-21-1792588140/

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