2026.08.27

はぴテク相談室:外国人の同僚と、自分らしさと、ごきげんの話

相談者

はぴテクさん、ちょっと聞いてもらえますか。うちの部署、この1年で外国出身の同僚が一気に増えたんです。ベトナムとかインドとか、いろんな国の人がいて。

はぴテクさん
はぴテクさん

おお、にぎやかになりましたね。それで、どんな感じですか?

相談者

正直、疲れるんです。ランチの話題も合わないし、仕事の進め方もちょっと違うし。悪い人たちじゃないのは分かってるんですけど、なんとなく距離を置いちゃってて。「自分は自分のやり方でいいや」って気持ちと、「これでいいのかな」って気持ちが半々で。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど。それ、実はすごくよくある悩みで、しかも最近ちょうどぴったりの研究が出たんですよ。英国の研究チームが、「外国の人を受け入れる側」の心の動きを調べたものです。

相談者

受け入れる側、ですか?普通は「外国から来た人がどう馴染むか」の話じゃないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そう、そこがポイントなんです。今までの研究はほとんど「来た人」の側の話だった。でもこの研究は逆で、その国の多数派の人、つまりあなたのような立場の人が、周りの違う文化にどう向き合っているかで、幸福度や頭の柔らかさがどう違うかを調べたんです。

相談者

へえ。で、どう違ったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

向き合い方を大きく4つに分けたんですね。ひとつめは「統合」。自分の文化は大事にしつつ、相手の文化もちょっと取り入れる。ふたつめは「分離」。自分の文化だけ大事にする。みっつめは「未分化」。どっちもあんまり意識してない。よっつめは「周辺化」。どっちにも興味がない。

相談者

うーん、私はたぶん「未分化」ですね。自分の文化を守ろう、とも思ってないし、相手の文化を知ろう、とも思ってない。ただ疲れて距離を置いてるだけで。

はぴテクさん
はぴテクさん

正直ですね。実は英国の大学生を調べたら、6割がその「未分化」だったんです。あなたと同じで、特に意識せず過ごしている人が多数派。

相談者

じゃあ、まあ普通ってことですよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

普通ではあるんですが、ここからが大事で。幸福度が一番高かったのは「統合」の人だったんです。人生に意味を感じている度合いも、人間関係の満足度も、他のタイプより高い。特に人生の意味は、差がかなり大きかった。そして、いろんな見方を切り替えられる「頭の柔らかさ」も、統合の人が一番高かった。

相談者

えっ、じゃあ「未分化」は?

はぴテクさん
はぴテクさん

「未分化」は、幸福度がいちばん低いグループのひとつでした。研究者たちも「なぜ未分化がここまで低いのかはまだよく分からない」と言っているんですが、ひとつの仮説は「自分がどこに属しているかがぼんやりしていると、自分という人間の輪郭もぼんやりして、それが幸福度を下げる」というものです。

相談者

うわ、ちょっと心当たりあります。最近、自分が何を大事にしてるのか、よく分からなくなってる感じがあって。

はぴテクさん
はぴテクさん

その感覚、大事なサインですよ。で、もう一つ面白いのが、英国の一般の人を半年間追いかけた研究です。「他の文化を取り入れてみよう」としていた時期のあとに、頭の柔らかさも、好奇心も、幸福度も上がっていたんです。

相談者

取り入れる、って具体的に何をすればいいんですか?別に相手の国の言葉を覚えるとか、そういう大げさなことは無理ですよ。

はぴテクさん
はぴテクさん

大げさじゃなくていいんです。研究で使われた質問は「移民の伝統に参加することは自分にとって大切だ」とか、「相手のやり方で物事をやってみる」くらいの話です。たとえば、インドの同僚がお祝いの日にお菓子を配ってたら、それが何の日か聞いてみる。ベトナムの同僚が勧めてくれた食べ物を、一回食べてみる。仕事の進め方が違ったら、「なんでそうするの?」って一回乗ってみる。それくらいです。

相談者

それなら、できそうです。でも、自分のやり方を捨てなきゃいけないみたいで、それが嫌だったんですよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

そこが一番誤解されやすいところで。幸福度が高かったのは、自分の文化を「手放した」人じゃなくて、「持ったまま、相手にも開いた」人なんです。中国の学生を調べた研究でも同じ結果でした。中国では自国の文化を大事にする人が半分以上だったんですけど、その中でも一番幸せだったのは、自分の文化も大事にしつつ、相手の文化も取り入れている人だった。

相談者

両方持っていい、ってことですね。なんか、それを聞いたら少し気が楽になりました。

はぴテクさん
はぴテクさん

ただ、ひとつ正直に言っておくと、この効果は長続きしにくいみたいなんです。半年追いかけた研究では、最初の3ヶ月は効果があったのに、次の3ヶ月では消えていた。研究者たちは「受け入れる側にとって、他の文化を取り入れ続けるのは意外と難しい」「お試し的に終わってしまいがち」と言っています。

相談者

あー、それは分かります。一回興味持っても、忙しくなるとすぐ元に戻りそう。

はぴテクさん
はぴテクさん

だから、一回だけ大きくやるより、小さく、たまに、を続けるのがコツだと思います。月に一回、誰かの国の話を聞く日を作る、くらいでもいい。「疲れたから距離を置く」じゃなくて、「疲れない範囲で、ちょっとだけ近づく」。それで頭も柔らかくなって、幸福度も上がるなら、けっこうお得じゃないですか?

相談者

たしかに。今週、隣の席のインドの同僚に、あのお菓子の話を聞いてみます。あと、自分が何を大事にしてるか、というのも、ちょっと考えてみようかな。

はぴテクさん
はぴテクさん

いいですね。自分の軸を持ちつつ、相手にも開く。それが一番幸せな向き合い方だ、というのが、受け入れる側を調べた研究の結論です。今週の報告、楽しみにしてますよ。

■ 今日のまとめ

  • 違う文化の人を「受け入れる側」も、向き合い方しだいで幸福度が変わる。一番幸せなのは、自分の文化を大事にしつつ、相手の文化もちょっと取り入れる「統合」タイプ
  • 「特に意識してない」のが実は一番もったいない。幸福度が低く、自分の輪郭もぼんやりしがち
  • 取り入れる、は大げさなことじゃなくていい。ただし効果は薄れやすいので、小さく、たまに、を続けるのがコツ

■ 出典・注意事項

  • Colledge, D., Addington-Lefringhausen, K., Dauber, D., Zhu, Y., Kim, K. H., Ferenczi, N., Kunst, J. R., Marshall, T. C., Zagefka, H., & Cristea, M. (2026). Harnessing Diversity: Majority-Group Acculturation Predicts Creativity and Flourishing Over Time. European Journal of Social Psychology. https://doi.org/10.1002/ejsp.70106

  • 研究1(英国の学生323人)と研究2(中国の学生174人)は一時点の調査、研究3(英国の一般市民219人)は3時点の追跡調査です。いずれも「関連」や「時間的な先行関係」を示すもので、因果関係を証明したものではありません

  • 研究3で見られた効果は、最初の期間(約3ヶ月)では確認されましたが、次の期間では確認されませんでした。効果は短期的である可能性があります

  • 対象は英国と中国のオンライン調査参加者であり、日本の職場にそのまま当てはまるかは別途検討が必要です

  • 対話は論文の内容をもとにした創作であり、実在の相談ではありません

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1
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