2026.10.05

はぴテク相談室:「幸せの正解」はひとつじゃない?

相談者

はぴテクさん、こんにちは。最近、自分へのご褒美に気合い入れてるんです。ネイル行って、美容院行って、カウンセリングも受けて、仕事も順調で貯金も増えてて。すごく恵まれてるはずなのに、なぜか「で、これでいいんだっけ?」って夜にふと思うんです。贅沢な悩みですよね…。

はぴテクさん
はぴテクさん

こんにちは!贅沢どころか、とても大事な問いだと思いますよ。「順調なのに、なんかしっくりこない」って感覚、実は心理学の世界でも大きなテーマなんです。今日はブラジルで行われた、ちょっと面白い研究をご紹介しますね。「幸せって何ですか?」を、まったく違う文化の人たちに聞いてみた研究です。

相談者

へぇ、ブラジル!どんな人たちに聞いたんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ブラジル中西部に暮らす先住民のジャヴァエ族・カラジャ族の学生さん13人と、同じ地域に住む非先住民の人14人です。「何があなたを幸せにしますか?」「何が自分や人生を良いと感じさせますか?」「何があなたの人生を生きる価値のあるものにしますか?」という3つの質問を、グループでじっくり語り合ってもらったんです。そして、出てきた言葉や語りを丁寧に分類していきました。

相談者

それで、全然違う答えが出てきたんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

それが面白いところで、まず「共通点」がはっきりあったんです。どちらのグループでも一番よく出てきた言葉は「人」「家族」。ほかにも「やりがいのある仕事や教えること」「心と体の健康」「夢や目標をかなえること」は両方のグループに共通して出てきたテーマでした。文化が違っても、幸せの「材料」はけっこう似ているんですね。

相談者

あ、なんかホッとします。じゃあ違いはどこに?

はぴテクさん
はぴテクさん

「材料」は同じでも、「意味づけ」がかなり違っていたんです。たとえば同じ「家族」でも、先住民の方々は「村にいて家族と一緒にいること」というふうに、村全体やコミュニティを含む広いつながりとして語りました。一方、非先住民の方々は、親しい家族や友人といった、より近い範囲の関係として語ることが多かったそうです。

相談者

なるほど…。「仕事」も違うんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

はい。先住民の学生さんたちは、大学で学ぶことや教師として働くことを「村に戻って、学んだことをみんなに返す」という集団のプロジェクトとして語りました。「子どもたちが私の喜びです」という言葉もあったそうです。非先住民の方々は、同じ「教えること」でも、自分のキャリアや認められることと結びつけて語る傾向がありました。どちらが良い悪いではなく、「幸せの置き場所」が違うんです。

相談者

うーん…私、自分の「置き場所」って考えたことなかったかも。私みたいなご褒美消費の話って出てきました?

はぴテクさん
はぴテクさん

出てきましたよ。非先住民のグループでは「お金」「成功している」「前進している」といった言葉と並んで、「安らぎ」「休息」「余暇」という言葉も出てきました。研究者はこれを、成功も休息も両方ほしいという「緊張感」として読み取っています。さらに、ネイルや髪のケア、心理療法といったサービスを「セルフケア」として消費することも幸せと結びつけて語られていたそうです。まさに相談者さんの日常ですね。

相談者

うわ、図星すぎます(笑)。先住民の方々にはそれはなかったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

「すぐ手に入る楽しみや消費」というカテゴリーは、非先住民側で目立ち、先住民側ではほとんど見られませんでした。代わりに先住民の方々だけに出てきたのが、「自然や村とのつながり」と「文化・伝統・帰属意識」。「ジャヴァエ川のほとりにいると幸せ」「伝統的なお祭りに参加すると幸せ」といった語りです。幸せが、自分ひとりの中ではなく、土地や先祖、精神的なものとのつながりの中にある、という感覚なんですね。

相談者

川のほとりで幸せ、っていいなぁ。私にはそういう「土地」も「村」もないから、ちょっとうらやましいです。

はぴテクさん
はぴテクさん

その気持ち、わかります。ただ、この研究は「先住民の幸せが正しくて、都市の幸せは間違い」と言っているわけではありません。研究者が伝えたかったのは、「幸せの測り方や理論の多くは欧米の一部の人たちをもとに作られていて、それをそのまま誰にでも当てはめるのは限界がある」ということ。幸せは、どの文化の中で生きているかによって、形も意味も変わるんです。

相談者

じゃあ私の「しっくりこない」も、誰かの幸せの型に合わせようとしてたからなのかな…。

はぴテクさん
はぴテクさん

それはあくまで相談者さん自身が確かめることですが、この研究から持ち帰れるヒントはありますよ。ひとつは「材料」と「意味づけ」を分けて考えること。家族、仕事、健康、夢――材料はたぶんもう持っています。そのうえで「この家族との時間は、自分にとってどんな意味?」「この仕事は誰につながっている?」と聞いてみる。もうひとつ、先住民の方々は幸せを「到達して終わり」ではなく、困難を乗り越え続ける「プロセス」として語っていたそうです。「今これでいいんだっけ?」と立ち止まるのも、そのプロセスの一部かもしれませんね。

相談者

なんだか気が楽になりました。消費をやめなきゃ、じゃなくて、「これは私にとって何につながってるんだろう」って考えてみます。

はぴテクさん
はぴテクさん

素敵です。ネイルを楽しんでもいいし、その帰りに家族に電話してもいい。幸せの「置き場所」を自分で選び直せるのも、ひとつの豊かさだと思いますよ。

■ 今日のまとめ

  • 文化が違っても、幸せの「材料」(家族・やりがいのある仕事・健康・夢の実現)には共通点があった。
  • でも同じ材料でも「意味づけ」は違う。先住民の語りは村・土地・先祖・精神性とのつながりが中心で、非先住民の語りは個人の前進や消費、安らぎが中心だった。
  • 幸せの理論は特定の文化で作られたものが多く、「唯一の正解」ではない。自分にとっての意味を問い直すことが、幸せの置き場所を見つける手がかりになる。

■ 出典・注意事項

  • Zanini DS, Fernandes I, Mendonça TM, Nazareno E (2026). Well-being and Buen Vivir: intercultural dialogue between etic and emic perspectives. Frontiers in Psychology, 17:1938770. doi: 10.3389/fpsyg.2026.1938770

  • 本研究はインタビューをもとにした質的・探索的研究であり、参加者は先住民13名(特定の大学の異文化教育課程の学生)と非先住民14名(都市部・高学歴中心)の便宜抽出サンプルです。何かが幸せを「引き起こす」という因果関係を示すものではなく、結果をブラジルの先住民全体や一般の人々に一般化することもできません。

  • この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。

投稿者による補足(1件)
補足 1

研究自体の紹介はこちら😊
何があなた自身と人生を「良い」と感じさせる?〜ブラジルの先住民と、非先住民での違い〜
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-05-1791157320/

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