2026.10.08

はぴテク相談室:「ストレス=悪者」と決めつける前に

相談者

はぴテクさん、こんにちは。中学校で先生をしています。仕事は好きなんですけど、新学期が始まって保護者対応や行事の準備が重なって、毎日「ストレスがすごい…」ってため息ばかりで。生徒と話すのは楽しいのに、職員室に戻るとどっと疲れる感じです。

はぴテクさん
はぴテクさん

こんにちは!「仕事は好き」「生徒と話すのは楽しい」が最初に出てくるの、素敵ですね。そのうえで、ため息が増えているんですね。ちょっとだけ質問させてください。「ストレスがすごい」と言うとき、ストレスそのものをどんなものだと感じていますか?

相談者

えっと…体にも心にも悪いもの、できれば避けたいもの、ですかね。だから「またストレスか」って思うだけで気が重くなる感じです。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど。実はそこに関係しそうな研究があるんです。中国の小中学校の先生1082人に調査した論文で、「ストレスは自分の学びや成長を助けるものだ」と考える度合い(研究では「ストレス増進マインドセット」と呼びます)が強い先生ほど、落ち込み・不安・緊張といった心のしんどさが低い傾向にあった、という結果でした。

相談者

へえ…。ストレスを「成長につながるもの」と見ている人のほうが、心が軽めだったってことですか。でも、それって「ストレスが少ない人がそう思えるだけ」じゃないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

鋭いですね。その可能性は研究者自身も認めています。この研究は一時点のアンケート(横断研究)なので、「考え方を変えたから心が軽くなった」のか、その逆なのかは決められない、とはっきり書かれています。だから「関連があった」と受け取るのが正確です。そのうえで面白いのは、「ストレスの捉え方」と「心のしんどさ」が、直接というより、2つのものを通して結びついていたことなんです。

相談者

2つのもの?

はぴテクさん
はぴテクさん

1つ目は「未来コントロール感」。「自分の将来は、おおむね自分の手の中にある」と感じられる度合いです。2つ目は「バーンアウト」、いわゆる燃え尽き。気力が枯れたり、生徒に冷めた気持ちになったり、「自分はうまくできていない」と感じたりする状態ですね。この研究では、ストレスを成長の糧と見る先生ほど未来コントロール感が高く、バーンアウトは低い傾向で、そしてバーンアウトが低い人ほど心のしんどさも低い、という連なりが見られました。

相談者

あ、なんか自分に当てはまります。「ストレス=悪」って思ってると、「この先もずっとこうなのかな」って未来まで暗く見えてくるんですよね。それで余計に疲れるというか。

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにその「未来が暗く見える」ところが、研究で言う未来コントロール感の低さに近いかもしれません。論文では、未来コントロール感が高い人ほど心のしんどさが低く、またバーンアウトも低い傾向にありました。「捉え方→未来の見え方→燃え尽き→心のしんどさ」という順番の道筋も確認されています。ただ繰り返しになりますが、順番は理論から想定されたもので、データで証明されたわけではないんです。

相談者

なるほど。じゃあ、私が「ストレスも成長につながるかも」って思い直してみるのは、やってみる価値ありますか?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者たちは、こうした捉え方や未来コントロール感を育て、バーンアウトを減らすような取り組みが「今後の研究の方向性になりうる」と書いています。効果が確かめられたわけではないので、「これで解決」とは言えません。でも、「ストレス=避けるべき悪者」という前提を一度ゆるめて、「この忙しさの中で自分が得ているものは何だろう」と眺めてみることは、気軽に試せることだと思いますよ。

相談者

たしかに、行事の準備も、終わってみると生徒の意外な一面が見えたりして、嫌なだけじゃないんですよね。

はぴテクさん
はぴテクさん

それ、いいですね。それと、もう一つ大事なことがあります。この研究で心のしんどさと一番強く結びついていたのは、実はバーンアウトでした。「気力が湧かない」「生徒のことがどうでもよく感じる」が続くなら、それは考え方だけの問題ではなく、休む・誰かに手を貸してもらうサインかもしれません。捉え方の工夫は、無理をするための道具ではなく、好きな仕事を長く楽しむための道具、と考えてもらえたら嬉しいです。

相談者

はい。「ストレス=悪者」って決めつける前に、ちょっと見方を変えてみます。あと、ちゃんと休みます!

はぴテクさん
はぴテクさん

その両方がそろっているのが一番です。生徒と話す時間が楽しいという気持ち、大切にしてくださいね。

■ 今日のまとめ

  • ストレスを「成長につながるもの」と捉える度合いが強い先生ほど、落ち込み・不安・緊張などの心のしんどさが低い傾向があった(ただし関連であり、原因と結果は決められない)。
  • その関連は、「自分の未来は自分で動かせる」という未来コントロール感と、バーンアウト(燃え尽き)を通して結びついていた。捉え方そのものの直接の関連は、この2つを考慮すると見られなかった。
  • 捉え方の工夫は無理をするための道具ではない。燃え尽きのサインがあるときは、休むこと・助けを借りることを優先する。

■ 出典・注意事項

  • Bei, X., Liu, N., Yin, Y., Yang, Y., Wu, J., Li, Q., Zhao, W., & Wu, J. (2026). Stress Mindset and Psychological Distress in Primary and Secondary School Teachers: The Serial Mediating Role of Future Control and Burnout. Healthcare, 14(19), 3137. https://doi.org/10.3390/healthcare14193137

  • 本研究は中国4地域の小中学校教師1082名を対象とした一時点のアンケート調査(横断研究)であり、示されたのは「関連」です。考え方の変化が心のしんどさを減らすという因果関係は確認されていません。回答はすべて自己報告で、ストレスの捉え方を測る尺度の信頼性はやや控えめ(α=0.67)と報告されています。また、捉え方を変える介入の効果もこの研究では検証されていません。

  • この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。

投稿者による補足(1件)
補足 1

研究自体の紹介はこちら😊
ストレスを「敵」と思うか「味方」と思うかで、心の疲れ方が変わる
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-08-1791398580/

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