2026.10.09

はぴテク相談室:「やらされ感」があっても、人生の意味は減らないの?

相談者

はぴテクさん、こんにちは。私、今年の目標がいくつかあるんです。資格の勉強とか、週2回のジョギングとか、月イチで実家に顔を出すとか。でも最近ふと思って…「これ、本当に自分がやりたいことなのかな?」って。資格は上司に言われたから、ジョギングは健康診断で引っかかったから、実家は親にせっつかれて。なんだか「やらされてる」要素が多くて、こんな目標ばかりの人生って、意味が薄いんじゃないかって気になっちゃって。

はぴテクさん
はぴテクさん

こんにちは!目標がちゃんとあって、しかも自分の動機を振り返れているの、素敵ですよ。「やらされ感があると人生の意味まで薄くなるんじゃないか」という心配ですね。実はまさにそこを調べた研究があるので、一緒に見てみましょうか。

相談者

はい、ぜひ!

はぴテクさん
はぴテクさん

2026年に発表された研究で、アメリカの大学生429人に「今取り組んでいる目標を6つ」書いてもらい、それぞれ「なぜその目標を追っているか」を答えてもらったものです。理由は大きく2種類に分けられます。ひとつは「楽しいから」「自分にとって大事だから」という、いわば"自分発"の動機。もうひとつは「やらないと罪悪感があるから」「ご褒美や周りの状況のため」という、"外から押される"動機です。そのうえで、「自分の人生には全体として意味がある」と感じているかどうかとの関係を調べました。

相談者

なるほど。私の場合、"外から押される"動機がけっこう多い気がします…。

はぴテクさん
はぴテクさん

ここからが面白いところです。従来の研究では、「自分発の動機」から「外から押される動機」を引き算した点数で「目標がどれだけ自分らしいか」を測ることが多かったんです。つまり、やらされ感が増えると、その分だけ自分らしさが減る、という"差し引き"の考え方ですね。でもこの研究では、引き算せずに2つを別々に分析してみたんです。

相談者

別々にすると、何が分かったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

「人生に意味がある」という感覚と強く結びついていたのは、"自分発"の動機だけでした。しかも、"自分発"の動機を考慮したあとでは、引き算の点数は追加の説明力をほとんど持たなかったんです。つまり、昔から「自分らしい目標は意味につながる」と言われてきたのは、やらされ感が少ないからではなく、「自分がやりたい」という部分が効いていたらしい、ということです。

相談者

えっ、じゃあ「やらされてる目標があるかどうか」は、意味にはあまり関係なかったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そう単純ではなくて、ここが大事なポイントです。"外から押される"動機は、たしかに落ち込みや不安といった「しんどさ」とは結びついていました。ただ、そのしんどさを統計的に考慮すると、意味の感覚そのものとの直接の関係はほぼゼロになったんです。研究者はこれを、意味としんどさは別々の線路を走っている、という感じで説明しています。

相談者

別々の線路…。じゃあ、やらされ感があると疲れやすいけど、だからといって人生の意味が消えるわけではない、と?

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究のデータの範囲では、そう解釈できます。もうひとつ面白いのが、"自分発"の動機と"外から押される"動機の相関がほぼゼロ(−0.09)だったこと。つまり「やらされ感が強い人は、やりたい気持ちが弱い」という関係ではなく、両方とも強い人もいれば、両方とも弱い人もいる。別々の物差しなんですね。さらに、やらされ感が強くても、"自分発"の動機と意味の結びつきが弱まる証拠は見つかりませんでした。

相談者

じゃあ私の資格勉強も、「上司に言われたから」が混ざっていても、「自分もこの分野をちゃんと理解したい」って気持ちがあれば、意味につながる部分は残っているってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

その考え方は研究の示す方向と合っています。論文の著者も「意味は、プレッシャーが消えるのを待たなくてもいいのかもしれない」と書いています。だから「やらされ感をゼロにしなきゃ」と自分を責めるより、それぞれの目標の中に「自分はここが大事だと思っている」「ここは実は楽しい」という部分を見つけて、それを意識して育ててみる。研究者はそんな方向性を提案しています。もちろん、やらされ感がしんどさと結びついていた点は無視できないので、疲れたら休むことも大切ですよ。

相談者

なんだか気が楽になりました。ジョギングも、言われたから始めたけど、走ったあとの朝ごはんが最高なんですよね。実家も、行くまでは面倒でも、母の顔を見ると「来てよかった」って思うし。

はぴテクさん
はぴテクさん

いいですね!まさに「自分発」の部分がちゃんと混ざっています。ひとつ注意点として、この研究は一時点のアンケート調査なので、「自分発の動機が意味を"生む"」とまでは言えません。対象もアメリカの大学生で、8割以上が女性でした。だから「必ずこうなる」ではなく、「こういう関係が見えた」というヒントとして受け取ってくださいね。

相談者

分かりました。「やらされ感を消す」より「やりたい部分を見つける」。今日からそっちに目を向けてみます!

■ 今日のまとめ

  • この研究では、「人生に意味がある」という感覚と結びついていたのは「自分がやりたい・大事だと思う」という自分発の動機で、やらされ感を引き算した点数はそれ以上の説明力を持たなかった。
  • やらされ感(外から押される動機)は落ち込みや不安といったしんどさとは関係していたが、しんどさを考慮すると意味の感覚との直接の関係はほぼゼロだった。意味としんどさは別の線路。
  • 自分発の動機とやらされ感はほぼ無関係(相関−0.09)で、やらされ感が強くても自分発の動機と意味の結びつきが弱まる証拠は見つからなかった。プレッシャーをゼロにするより、目標の中の「自分がやりたい部分」に目を向けることが研究者の提案。

■ 出典・注意事項

  • Pallin, L. L. G. (2026). Want It Like You Mean It: Revisiting Goal Self-Concordance Through the Dissociation of Autonomous and Controlled Motivation in Relation to Meaning in Life. International Journal of Applied Positive Psychology, 11:58. https://doi.org/10.1007/s41042-026-00321-w

  • 本研究は一時点の自己報告アンケートによる相関研究(横断研究)であり、「自分発の動機が意味を生む」「やらされ感が落ち込みを引き起こす」といった因果関係は断定できません。対象はアメリカの大学生429名(82.5%が女性)で、他の年齢層・文化圏・性別構成にそのまま当てはまるとは限りません。著者も縦断研究や多様なサンプルでの再現が必要と述べています。

  • やらされ感(外から押される動機)は落ち込みや不安と関連していたため、「プレッシャーは気にしなくてよい」という意味ではありません。

  • この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。

投稿者による補足(1件)
補足 1

研究自体の紹介はこちら😊
「やりたいからやる」があれば、「やらされ感」があっても人生の意味は減らない
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-09-1791518160/

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