幸せの名言集

アイヌの言葉の名言2選

アイヌ民族の口承。萱野茂(1926-2006)はアイヌ文化研究者・初のアイヌ民族出身国会議員

「カント オロワ ヤク サク ノ アランケプ シネプ カ イサム ── 天から役目なしに降ろされた物は、一つもない」

— アイヌの言葉 萱野茂らが紹介したアイヌの格言

アイヌ語の格言として広く知られる

人も、草も、石ころも、この世に降ろされたものにはすべて役目がある。「自分に存在する意味などあるのか」という問いに、世界観そのもので答える言葉

心理学では
この言葉は、人生の意味の一側面である「存在意義」(自分が存在する価値の感覚)を、成果より先に与えられたものと見る世界観である。Martela & Steger(2016)は人生の意味を一貫性・目的・存在意義の三つに整理し、存在意義を独立した柱と位置づけた。反対に、自己価値を成果に預ける「自己価値の随伴性」(条件付きの自尊心)について、Crockerら(2002)は大学院を受験する学生を追跡し、学業に自己価値をかける人ほど不合格の日に自尊心が大きく落ち込むことを示した。役目は勝ち取る前からあると考えることは、失敗に揺らぎにくい足場になる。うまくいかない日こそ、自分がすでに何かを支えていると思い出すことが助けになる。 参考:Martela & Steger(2016)「The three meanings of meaning in l…」/Crockerら(2002)「Hopes Dashed and Dreams Fulfilled:…」 ↗
「ウレシパ ── 互いに、育て合う」

Ureshipa (raising each other).

— アイヌの言葉 アイヌ語の「ウレシパ(互いに育てる)」。大地は「ウレシパモシリ(育て合う大地)」

人が一方的に自然を利用するのでも、親が一方的に子を育てるのでもない。人と人、人と自然が「互いに育て合う」関係にあるという、アイヌの共生の世界観を表す一語

心理学では
ウレシパは、心理学でいう互恵的な関係(与える側と受ける側が固定されず、支えが循環する関係)の考え方に重なる。Drigotasら(1999)はカップルを対象とした一連の研究で、相手の「なりたい自分」を引き出すように接し合う関係ほど、本人がその理想に近づき、関係の満足も高いことを示した。この現象は、彫刻家が石から像を掘り出す姿になぞらえて「ミケランジェロ現象」と呼ばれる。またBrownら(2003)は高齢の夫婦を追跡した縦断研究で、周囲を支える側に回っていた人ほど死亡リスクが低いことを報告している。育てる側もまた育っているのである。家庭や職場で教える・助ける場面を「互いに育つ機会」ととらえ直すことが、関係と自分の双方を豊かにする。 参考:Drigotasら(1999)「Close partner as sculptor of the i…」 ↗/Brownら(2003)「Providing Social Support May Be Mo…」 ↗

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