幸せの名言集

ウィリアム・モリスの名言2選

英国のデザイナー・詩人・社会思想家(1834-1896)。アーツ・アンド・クラフツ運動の中心人物

「芸術とは、労働における人間の喜びの表現である」

Art is the expression of man's pleasure in labour.

— ウィリアム・モリス 講演「民衆の芸術」(1879)

芸術を美術館の中の特別なものではなく、「働く喜びが形になったもの」と定義し直した言葉。喜びなしに作られた物は人を幸せにせず、喜んで作られた物は日用品でも芸術になる ── 労働と幸福を直結させた美学

心理学では
モリスの言う「労働の喜び」は、心理学でいう内発的動機づけ(活動そのものの楽しさから生まれる意欲)に当たる。Amabile(1985)は、創作に励む若者を対象にした実験で、書くことの楽しさを思い起こした人は、報酬や評価などの外的な理由を思い起こした人よりも創造的な詩を書くことを示した。喜びは作品の質に表れるのである。また、Csikszentmihalyi & LeFevre(1989)は働く人の日常を調べ、フロー(時間を忘れるほどの没頭)が余暇よりも仕事中に多く生じ、その最中ほど気分が前向きであることを見いだした。手を動かす過程そのものを味わう工夫が、日々の仕事を自分の作品に変える。 参考:Amabile(1985)「Motivation and creativity: Effects…」 ↗/Csikszentmihalyi & LeFevre(1989)「Optimal experience in work and lei…」 ↗
「役に立つと分かっているもの、美しいと信じているもの以外を、家に置いてはならない」

Have nothing in your houses that you do not know to be useful, or believe to be beautiful.

— ウィリアム・モリス 講演「生活の美」(1880)

暮らしの空間を「有用」か「美しい」かで編集せよ、というデザイン思想の原点。大量生産の粗悪品に囲まれ始めた時代に、日常の環境こそが人の心を作ると訴えた ── モダンデザインと生活工芸運動の出発点となった言葉

心理学では
この名言は、環境心理学でいう「住環境の質」が感情的幸福(日々のポジティブな気分)を左右するという考えに重なる。Saxbe & Repetti(2010)は共働き夫婦に自宅を案内してもらい、その語りを分析した相関研究である。家を「散らかっている」「片づいていない」と語った妻ほど、夕方にかけて抑うつ的な気分が強まり、ストレスホルモン(コルチゾール)の日内変化も好ましくないパターンを示した。古典的なMaslow & Mintz(1956)の実験では、美しく整えた部屋にいた人ほど、殺風景で雑然とした部屋にいた人より、写真の顔を生き生きと幸せそうに評価した。物を手に取るたびに「使うか、美しいと思うか」と問い直すことが、毎日の気分を静かに支える住まいにつながる。 参考:Saxbe & Repetti(2010)「No Place Like Home: Home Tours Cor…」 ↗/Maslow & Mintz(1956)「Effects of Esthetic Surroundings: …」 ↗

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あわせて読む 世界の主要ウェルビーイング研究 → 名言が言ってきたことを、研究はどう確かめてきたか。幸せの研究の著名論文2,358本を、要旨と研究の系譜で。 思想ごとの名言も 世界の思想と宗教の幸福観マップ → 47の思想・宗教それぞれを代表する名言を、思想の幸福観とあわせて。
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