「この仕事、ほんと好きなんだよね」
職場でそう楽しそうに言う人、いますよね。その人がいると、なぜかチーム全体が明るくなる。
あれ、気のせいじゃないんです。2026年のアメリカの最新研究が、ちゃんと理由を教えてくれました。
この研究、視点がいいんです。
これまでは仕事が好きだと「言われた側」(上司・面接官・投資家。どれも好印象を抱く。)がどう反応するかばかり調べてきました。でも今回は、「仕事が好き」と口にした215人に、なぜ言ったの?どうなったの?を直接聞いています。
結果としては、
①動機の一番は「誰かのため」だった
出世や契約のため(自分のため)も確かにあった。でもそれ以上に多かったのが、相手を励ましたい・支えたい・つながりたいという気持ち。数でも種類でも、こっちが上回りました。「仕事が好き」は、周りへの小さな贈り物だったんです。
②一番言う相手は「同僚」
評価を握るのは上司のはず。なのに一番多かった相手は、見返りのない同僚。だからこそ打算っぽくなくて、素直に受け取れるんですね。
③やる気は"伝染"する
自分が楽しそうにしていると、周りも楽しくなって、それが返ってくる。研究の中でも「自分が面白い!と話すと、相手にも面白さが伝わる」という声が出てきます。
④生まれる効果は、周りに広がるものが多い
「同僚が心を開いた」「チームの雰囲気が意欲的になった」「会議が生産的になった」。自分に返ってくる効果より、周りに広がる良い効果のほうが多かった。
しかも、伝え方は難しくありません。
「好きです!」と宣言する人より、笑顔・前向きな態度・楽しそうに仕事の話をする、といった"それとなく"の伝え方のほうが2倍以上多い。照れくさければ、笑顔からでいいんです。
まとめると、
自分の「好き」を見せることは、自己表現であると同時に、周りを元気にする利他的な行為にもなる。そしてそれは、笑顔ひとつから始められる。
先輩からもらった前向きさを、今度は自分が後輩に回す。
そうやって職場の空気は、じわじわ良くなっていくんですね。
今日、ちょっと楽しそうに仕事の話、してみませんか?😍
「この仕事が大好き!」――従業員が他者に対して内発的動機付けを意図的に示す現象の探求
I Love My Job! Exploring Employees’ Intentional Display of Intrinsic Motivation to Others
Mijeong Kwon and Katherine K. Bae
Academy of Management Discoveries,2026/6/16
https://journals.aom.org/doi/10.5465/amd.2023.0262
従業員が仕事への愛情を他者に表現するのはなぜでしょうか?書籍、ブログ記事、ビジネス記事ではこの行動が頻繁に取り上げられていますが、これまでの研究では、その具体的なメリットが強調され、こうした内発的動機の表出の根底には道具的動機があると示唆されてきました。私たちは、内発的動機の表出を、従業員が職場で他者に内発的動機を伝えようとする意図的な努力と概念化し、最先端の自然言語処理を用いて、この行動の500を超える個別の事例を分析しました。具体的には、誰に対して、いつ、なぜ、どのように表現され、どのような結果が認識されているのかを調べました。驚くべきことに、そして一般的な想定に反して、私たちの調査結果は、従業員の内発的動機の表出を促す主要な動機は、道具的動機ではなく、職場で他者を鼓舞したり、励ましたり、つながりを持ったりしたいという向社会的動機であることを明らかにしました。この重要な発見に基づき、私たちは、向社会的動機と道具的動機という二つの動機によって形成される現象としての内発的動機の表出に関する新たな理解を提案します。最後に、この二重動機フレームワークが、組織生活における内発的動機の社会的側面に関する研究をどのように前進させるかについて考察する。
「I LOVE MY JOB!」 モチベーション表出の隠された動機 データとAIが解き明かす、情熱が組織に伝染するメカニズム ・私たちはなぜ、あえて「仕事が好きだ」と周囲にアピールするのか? ・500以上の実例と自然言語処理(NLP)が導き出した、従来の常識を覆す「向社会的動機」の証明。 NotebookLM 見えない熱意を 「あえて」見せる時 「同僚やクライアントに対して、 仕事への愛をどのように示せば いいのだろうか?」 ージョン・バックルツ (コンサルティング・ディレクター) 水面上 【意図的な表出】 言葉、態度、非言語シグナルを選んで、 意図的に自らのモチベーションを周囲に 可視化する行為。 【内発的なモチベーション】 仕事そのものから得られる内面的な満足感。 本来は他者からは見えない人的内状。 水面下 The Prevailing Myth: 仕事への情熱を示すのは 「自己アピール」のため? 【従来の学術的見解】 評価者(オブザーバー)の視点に偏っていた。 【目的】 採用の獲得、高評価、資金調達など、 目に見える利益を得るため。 【ターゲット】 報酬や権限を握る「上司」や「クライアント」。 Impression Management (印象操作) 上司 ← → クライアント ↑ 従業員 既存の枠組みでは、モチベーションの表出は 「利己的で計算高い手段」としてのみ捉えられていた。 The Research Approach: AIによる500件以上の「表出」の解剖 【 The Source 】 多様な業界のフルタイム従業員215名 【 The Data 】 718件の「モチベーション表出」専門 (誰に、いつ、なぜ、どのように) 【 The Engine 】 自然言語処理(NLP) ChatIntentsによる意味的クラスタリング 【 The Output 】 動機・方法・結果の新たなマッピング 【視点の転換】 評価者の視点ではなく、 「表出する本人」の視点」から 初めて大規模に解明。 NotebookLM The Authenticity Gap: アピールは「フェイク」なのか? 【詐張(Inflated)】:25.64% 実際よりも高く見せる。従来の「印象操作」のイメージ。 【ありのまま(Equal)】:48.39% 事実と表出のレベルが完全に一致。 【講遜(Discounted)】:25.98% 実際よりも意図的に低く見せている。 Digitzed Intrinsic Motivation(誘導される動機) True Intrinsic Motivation(真のもらう動機) KEY INSIGHT: 約半数は掲げて「オーセンティック(本物)」であり、25%以内である勢を「洋えぶ」に表現している。単なる自己アピールで説明がわかないデータ構造。 AB Notebooklm The Surprising Discovery: 最大の動機は「他者のため」 【手段的動機(Instrumental)】 計173回答/9クラスタ 【向社会的動機(Prosocial)】 計268回答/20クラスタ クライアント選択 (57) 上司へのアピール (34) サポートを活かす (29) 関係構築 (23) チームの結束 (16) 副作権 (23) チームの融資 (16) 最も支配的な動機は、自己利益ではなく、他者を誠摯し社を深めようとする「向社会性」であった。パラダイムはここで激転する。 Methods of Display: 情熱は「言葉」よりも「姿勢」で語られる 【直接的表現(Direct)】:209回答 • 面接やピッチでの宣言、明示的な「仕事が好きだ」という言葉。 【間接的表現(Indirect)】:427回答 日々の業務の中で、態度や振る舞いを通じて溶み出る熱意。 笑顔やポジティブな非言語シグナル(34) 高い熱量とアップビートな態度(66) プロジェクトへの自発的な没入と対話(32) Outcomes: 波及するモチベーション(The Ripple Effect) 【自己への影響(Self-Focused)】:221回答 ・「チーム内での価値を実感」 ・「よりモチベーションが高まる」 【他者への影響(Other-Focused)】:340回答 ・「同僚のモーラスを引き出す」 ・「チーム内の雰囲気向上」 ・「喜びの伝播」 「それは伝染するものだと思う。もし彼らが楽しんでいるなら、それは楽しいことに違いない。」 ――インタビュー参加者(Kate) The Two Portraits: モチベーション表出の「2つの顔」 手段的アピール (Instrumentally Driven) 向社会的アピール (Prosocially Driven) Target (ターゲット) 上司・クライアント (54.1%) 同僚・チームメイト (39.6%) Context (文脈) フォーマルな場 (76.6%) インフォーマル・日常的 (46.8%) Method (表出方法) 直接的・明示的 (40.7%) 間接的・態度的 (69.8%) Authenticity (真正性) 誇張されやすい (Inflated: 33.6%) ありのまま (Equal: 52.9%) 手段的アピールは評価者へ向けた「縦のベクトル」。向社会的アピールは仲間へ向けた「横のベクトル」を持つ。 Conceptual Model: 情熱が組織文化を創るプロセス 1. 意図的自己開示 (Intentional Display) 日常のインフォーマルな場での、 間接的で自然な熱意の表現。 2. 真正性の獲得 (Signaling Authenticity) 誇張のない態度が、他者からの 「信頼」と「共同志向」の シグナルとして受け取られる。 3. 感情の伝染 (Motivational Contagion) 受け手の中で感情のミラーリングが起こり、モチベーションが引き上げられる。 4. 環境の構築 (Community Building) 互いのポジティブを表出が連鎖し、 心理的安全性と生産性の 高いチーム文化が定着する。 「自分が今感じている 人生の喜びを、彼らにも 体験してほしいんだ。」 ——CEO (Jack) Synthesis: デュアル・モーティブ(二重動機)フレームワーク 【自己利益のツール(Instrumental Tool)】 ・投資獲得 ・キャパシティアップ ・評価 【社会的ツール(Social Tool)】 ・チームの統率、コミュニティ形成、 規範の構築 【PARADIGM SHIFT】 モチベーションは単なる「個人の心理状態」 ではなく、それは他者の思考や行動に影響を 与えるために意図的に操作される、極めて強 力な「社会的・関係性的ツール」である。 Notebook.LM 実践的示唆:「見せるモチベーション」が組織を育てる 1. アピールへの偏見を捨てる 従業員が高い熱意を示したとき、それを幹部に「評価狙いの印象操作」と見なすバイアスを排除する。多くの場合、それはチームへの貢献意欲の表れである。 2. イン
【背景】
▼ 1. そもそも「内発的動機づけ」とは何か
▼ 2. 内発的動機づけには「社会的な側面」があるという新しい潮流
ここから話が一歩進みます。従来は内発的動機づけを「個人の内側の状態」として扱ってきましたが、近年になって「それは対人的に表現され、他者に観察され、評価されうるものだ」とする研究群が現れました(Cheng, Mukhopadhyay & Williams, 2020;Derfler-Rozin & Pitesa, 2020;Kwon & Sonday, 2026;Woolley & Fishbach, 2018a)。
これらの研究が示したのは、内発的動機づけを社会的に表に出すことで、従業員が良い印象をつくり・保ち、具体的な得につなげられる、ということです。
さらに関連して、内発的動機づけがあると見なされることは「道徳性の高さ」の認識にもつながり、社会的な報酬をもたらすという理論化も進みました(Kwon, Lee Cunningham & Jachimowicz, 2023;Kwon & Sonday, 2026)。逆に、外的報酬への露骨な関心など「内発的動機づけが低い」という手がかりは、マイナスの結果を招くとされます(Derfler-Rozin & Pitesa, 2020)。
▼ 3. 既存研究の「暗黙の前提」と、その限界
ここが著者たちが問題視するポイントです。上記の研究群が積み上がった結果、次のような見方が支配的になりました。
この前提のもとでは、具体的な研究例として、面接官は内発的動機づけを明示した候補者に仕事を提示しやすい(Derfler-Rozin & Pitesa, 2020;Woolley & Fishbach, 2018a)、投資家は情熱や喜びを強く伝えた起業家に多く出資する(Hsu et al., 2014;Jachimowicz et al., 2019;Jiang et al., 2019;Warnick et al., 2018)、上司は内発的に動機づけられて見える部下に良い評価を与える(DeVoe & Iyengar, 2004)、といったものが挙げられます。
そして著者たちは、この既存研究に共通する2つの偏りを指摘します。
▼ 4. だからこの研究は何をするのか(既存研究からの橋渡し)
以上を踏まえて著者たちは、既存の枠組みが見落としてきた「発信者本人の視点」から、この現象を体系的に探ろうとします。ここで研究の鍵となる概念が定義されます。
この視点の転換によって、著者たちは予想外の発見に至ります。従来の前提では「自己利益的な印象管理が主な動機」のはずでしたが、実際に発信者に尋ねると、より支配的だったのは向社会的な動機(prosocial motive)でした。
これが特に驚きなのは、向社会性は従来、印象管理と正反対のもの(前者は他者本位、後者は自己本位)とされてきたからです(Bolino, 1999;Bolino, Long & Turnley, 2016;Grant & Mayer, 2009)。ただし、組織市民行動(OCB:役割として求められていないのに組織のために自発的にとる行動)の研究では、一つの行動が両方の機能を同時に果たしうることが指摘されており(Grant & Mayer, 2009)、著者たちはこの見方を踏まえて、最終的に「向社会的動機と道具的動機の二重の動機」という枠組みへと議論を進めていきます。
■ 今日のまとめ
【研究内容】
▼ 1. 方法 ―「発信者本人」に自由記述で語ってもらう
▼ 2. 分析手法 ―NLP(自然言語処理)でテーマの塊を取り出す
▼ 3. 最初の発見 ―頻度・真正性・相手・場面
はじめに、記述と量的指標から、この行動の基本的な姿が描かれます。
▼ 4. NLPによる本格分析 ―なぜ・どのように・どうなったか
ここから、行動の核心である「なぜ(動機)」「どのように(方法)」「どうなったか(結果)」がNLPで分析されます。
▼ 5. 面接による裏付け ―向社会的な動機の「仕組み」
NLPで浮かんだ「向社会的動機の優勢」を、面接がより具体的に肉付けします。ここでは、なぜ向社会的動機が表出につながるのかについて、3つの仕組みが示されました。
▼ 6. 比較分析 ―「2つの肖像」を切り分ける
最後に著者たちは、動機(向社会的か道具的か)によって、表出の他の特徴が変わるのかを、データを動機タイプで割って比べる分割標本分析で検討しました。331件のうち、道具的が122件、向社会的が187件でした。
まとめると、内発的動機づけの表出には、動機に対応した2つの見分けられる「肖像(プロファイル)」があると示されました。とりわけ、これまで理論化されてこなかった「向社会的に駆動される表出」の姿が浮かび上がった点が中核的な貢献です。
▼ 7. 考察 ―「二重動機」という新しい枠組み
▼ 8. 限界と今後の方向
■ まとめ
【なぜ、どのように、どうなったか】
■ なぜ表出したか(動機)ー Table 4
▼ 向社会的動機(prosocial motives)ー計268件・20クラスター
他者に利益をもたらし、良い関係を築こうとする動機
▼ 道具的動機(instrumental motives)ー計173件・9クラスター
個人的・職業的な利益を得る手段としての動機
■ どのように表出したか(方法)ー Table 5
▼ 直接的表現(direct expressions)ー計209件
はっきり・率直に内発的動機づけを伝える
▼ 間接的表現(indirect expressions)ー計427件
それとなく・遠回しに、言語・非言語で示す
■ どうなったか(結果)ー Table 6
▼ 他者に向いた結果(other-focused outcomes)ー計340件
他者がどう反応し、影響を受けたか
▼ 自分に向いた結果(self-focused outcomes)ー計221件
自分自身がどう感じ、影響を受けたか
▼ 気づいた結果なし(no noticed outcomes)ー計9件
対話形式での紹介はこちら😊
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-07-03-1783055400/