はぴテク相談室:「ありがとう」の伝え方で、幸せは変わる?の話
はぴテクさん、聞いてください。最近「感謝日記がいい」ってよく聞くので始めてみたんです。
おお、いいですね!どんなことを書いてるんですか?
「同僚がお菓子をくれた、ありがたい」とか「誕生日にマグカップもらった」とか。でも、なんというか…書いてて「作業」っぽくなってきちゃって。
あー、それ、すごくよくある現象なんです。実は最近、まさに「感謝の書き方で効果が変わるか」を調べたアメリカの研究が出たんですよ。
え、書き方で変わるんですか?感謝は感謝じゃ…
それが違ったんです。研究では2種類の感謝の手紙を比べました。1つは「プレゼントをくれた人」への感謝。もう1つは「大切にされてる、守られてる、受け入れられてる、と感じさせてくれた人」への感謝です。
後者、ちょっと照れくさい感じの…(笑)
そうそう(笑)。でね、まず朗報。どっちの感謝でも、書いた本人の幸福度も、その相手との関係の満足度も、ちゃんと上がったんです。感謝はやっぱり強い。
じゃあ私のお菓子日記も無駄じゃない!
無駄じゃないです。ただ、ここからが面白くて。「モノをくれたこと」より「安心感をくれたこと」に注目して書いた方が、感謝や愛情の気持ちがより強く湧く場合があったんです。
どういう場合ですか?
ポイントは「相手が自分をどれだけ分かってくれてる人か」でした。自分のことをよーく分かってくれてる人になら、プレゼントへのお礼でも存在へのお礼でも、効果はほぼ同じ。でも、そこまでの関係じゃない相手には、「モノ」より「その人がくれた安心感」に注目した方が効いたんです。
へえ…!なんでだろう?
鍵は「応答性」という概念です。難しく聞こえますが、要は「この人は私のことを見てくれてる、分かってくれてる」という感覚のこと。感謝という感情は、本来この「分かってくれてる感」に反応して生まれるものなんです。
あ、確かに。同じプレゼントでも「私の好みド真ん中!」だと嬉しさが違います。
まさにそれです。疲れてる時に、好きなお店のテイクアウトを買ってきてくれたら「休みたい気持ちを分かってくれてる!」って強く感謝しますよね。感謝の手紙も同じで、「何をもらったか」より「どう分かってくれてたか」を思い出して書くと、その感覚を追体験できるんです。
なるほど…。私の日記、「お菓子をくれた」で止まってました。
そこに一歩足すだけでいいんですよ。「お菓子をくれた。私が疲れてるのに気づいてくれてたんだな」って。モノの奥にある「気にかけてくれた事実」まで言葉にする。
それなら今日からできそう!でも、誰に感謝するかも関係あるんですか?
いい質問です。研究では「大切にされてると感じさせてくれた人は?」と聞かれた人と、「プレゼントをくれた人は?」と聞かれた人を比べたんですが、前者の方が、自分をよく分かってくれてる相手を自然に思い浮かべたんです。面白いことに、どちらも思い浮かべるのは親・パートナー・友人あたりで、顔ぶれは同じなのに。
同じ「友人」でも、質問のしかたで思い出す人が変わるんだ…。
そうなんです。「問いの立て方」が、心の向く先を変える。だから感謝を習慣にするなら、「今日、誰に何をもらった?」より「今日、誰に支えられてた?」と自分に聞く方が、幸せに効きやすい可能性があるんですね。
質問を変えるだけなら、頑張らなくてもできますね。
そこが大事なポイントで。感謝って「立派なことを書かなきゃ」と思うと、「私、感謝することなんてないかも…」って逆効果になることもあるんです。だから、思い出しやすいプレゼントから入って、その奥の「そばにいてくれること」に目を向ける。この順番でいいんです。
論文のタイトルみたいですね、それ。
実はそのままなんです(笑)。「From Presents to Presence」——プレゼントから、プレゼンス(そばにいてくれること)へ。うまいこと言いますよね。
ちなみに、この手紙って相手に渡すんですか?
この研究では渡してないんです。書くだけ。それでも本人の幸福度と、相手への満足度が1週間後まで良い方向に働いていた。もちろん渡したらもっと素敵だと思いますが、「書くだけでも自分が幸せになる」というのは、始めるハードルが下がりますよね。
渡さなくていいなら、照れくさい相手にも書けます(笑)。今夜、母に一通書いてみます。マグカップのお礼じゃなくて、「いつも味方でいてくれること」のお礼で。
完璧です。それこそが「プレゼントからプレゼンスへ」ですよ。
■ 今日のまとめ
- 感謝は「何をもらったか」より「どう支えてもらったか」に注目して書くと、幸せへの効果が高まりやすい
- 「誰に支えられてた?」という問いの立て方が、自分を分かってくれてる人へ心を向けさせてくれる
- 手紙は渡さなくてもOK。書くだけで、自分の幸福度と関係の満足度に良い効果がある
■ 出典・注意事項
- Nelson-Coffey, S. K., Beesley, K., Coffey, J. K., Vuong, T., & Rumsey, M. (in press). From presents to presence: High quality targets amplify the benefits of gratitude expression. Emotion. https://osf.io/v9z6w
- 本研究は米国の若年成人中心のサンプルによる2つの実験(計1,240人)に基づくものです。効果量は比較的小さく、文化による違いの可能性も著者らが指摘しています。日本での効果は今後の検証課題です。
- この対話は論文の内容を分かりやすく伝えるための創作であり、個別の状況への助言は専門家にご相談ください。
論文の紹介はこちら😊
感謝は「モノ」より「その人の存在」に向けると効く
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-09-14-1789364340/