2026.10.22

はぴテク相談室:「いい人だなあ」と思える心と、自分の幸せのつながり

相談者

はぴテクさん、こんにちは。私、大学3年生なんですけど、サークルの先輩がすごく素敵な人で。困っている人に自然に手を貸すし、意見が割れたときも公平にまとめてくれるし。「ああ、こういう人になりたいな」ってよく思うんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

いいですね。身近に「この人、素敵だな」と思える人がいるって、それだけで気持ちが明るくなりますよね。

相談者

でも最近、ふと思ったんです。私、就活のことで先が見えなくて不安なときが多くて。そんな状態で「いい人に憧れてる」なんて、ちょっとのんきかなって。幸せとか心の状態って、こういう「人の良さを感じる力」と関係あるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

まさにそこを調べた研究があるんですよ。トルコの5つの大学で、18〜32歳の大学生1,322人にアンケートをとった研究です。「徳のある人」――知恵、慎み、気前のよさ、公正さ、勇気といった性質を持つ人――をどれくらい強く「そういう人がいる・大切だ」と感じているか、それと心の状態がどう関係するかを見ています。

相談者

へえ、「徳のある人をどう感じているか」を測るなんて面白いですね。それで、何が関係していたんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

一番はっきり関係していたのは「心理的ウェルビーイング」でした。これは「自分の人生に意味や目的を感じていて、人と良い関係を築けている」という感覚のことです。これが高い学生ほど、徳のある人をより強く認識している傾向があったんです。4つの心の要因をまとめて見たところ、この「ウェルビーイング」が最も大きな役割を占めていました。

相談者

じゃあ、私が先輩の良さに気づけるのは、自分の中に「人生に意味がある」って感覚があるから、ってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そう言いたくなるんですが、ここは慎重にいきましょう。この研究は一回きりのアンケートで「同時に測った」ものなので、「ウェルビーイングが高いから徳を感じやすくなる」のか、「徳のある人を認識できるから人生に意味を感じやすいのか」、その向きまでは分からないんです。研究者たちも「因果は言えない、縦断研究が必要」とはっきり書いています。言えるのは「この二つは一緒に高くなりやすい」ということまでです。

相談者

なるほど。でも「一緒に高くなりやすい」だけでも、なんだか嬉しいです。先輩を素敵だと思える自分は、幸せの側にいるのかもって。じゃあ、私の「先が見えなくて不安」っていうのは、マイナスに働いてるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

ここが面白いところなんです。研究者たちは当初、「不確かな状況が苦手な人ほど、徳のある人を認識しにくいだろう」と予想していました。ところが結果は逆で、不確かさへの苦手意識が強い人ほど、徳のある人をやや強く認識する傾向があったんです。ただし、その関係の強さはウェルビーイングよりかなり小さいものでした。

相談者

え、逆だったんですか! なんでだろう。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者たちも「意外だった」としていて、あくまで仮の説明として、「先が見えにくいと感じる人は、公正さや勇気のような分かりやすい『良さ』を、人を見るときの確かな物差しとして頼りにするのかもしれない」と書いています。ただ、その理由を直接調べたわけではないので、「そうかもしれない」程度に受け取ってくださいね。

相談者

でも、なんだか腑に落ちます。先が不安なときほど、先輩みたいに「ぶれない人」に目がいく気がするので。じゃあ、立ち直る力とか、将来への悲観とかは関係なかったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

「ストレスから立ち直る力(レジリエンス)」と「将来への悲観(絶望感)」も調べられていました。悲観が強い人は、単純に比べると徳のある人の認識が低めではあったんです。でも、ウェルビーイングなどと一緒に見ると、それぞれ単独では意味のある関係が残りませんでした。悲観はウェルビーイングの低さと強く重なっていたので、「悲観そのもの」というより「意味や目的を感じられているか」のほうが中心にあるようだ、というのが研究者の見立てです。

相談者

じゃあ、「不安はゼロにしなきゃ」と焦るより、自分の毎日に意味を感じられているかを大事にしたほうがいいのかな。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究はそこまで「こうすれば良くなる」とは言っていないので、私からの提案は控えめにしますね。ただ、研究者たちは「大学の中で、学生の心の健康を考える取り組みと、尊敬できる人について語り合うような機会を、一緒に考えていく価値がある」と書いています。あなたが先輩のどこを素敵だと思うのか言葉にしてみるのは、自分が何に意味を感じているかを知るヒントになるかもしれません。

相談者

ちなみに、学年とか成績とかでも違いはあったんですか? 3年生の私としては気になります。

はぴテクさん
はぴテクさん

探索的に見たところ、4年生のほうが1〜3年生より少し高め、成績が最も低いグループは他より少し低め、女性は男性よりやや高め、という違いはありました。ただ、どれも差はとても小さく、しかも別々の学生を同じ時点で比べただけなので、「大学生活を進むうちに変わる」とは言えないんです。あくまで「この集団にはこんな傾向が少し見えた」くらいに留めておきましょう。

相談者

分かりました。なんだか、先輩を「いいな」と思える今の自分を、ちょっと肯定してあげられる気がします。不安は不安として、意味を感じられることを大事にしてみます。

はぴテクさん
はぴテクさん

素敵なまとめです。憧れる人がいること、その人の良さに気づけること。それ自体があなたの心の一部なんだと思いますよ。

■ 今日のまとめ

  • 大学生1,322人を調べた研究では、「人生に意味や目的を感じ、人と良い関係がある」というウェルビーイングが高い人ほど、徳のある人(公正・勇気・気前のよさなど)をより強く認識する傾向があった。ただし一時点の調査なので、どちらが原因かは分からない。
  • 意外なことに、不確かさが苦手な人ほど徳のある人をやや強く認識していた。研究者も予想と逆で、「ぶれない良さを物差しにするのかも」という仮の説明にとどめている。
  • 立ち直る力や将来への悲観は、ウェルビーイングと合わせて見ると単独では関係が残らなかった。学年や成績などの違いもごく小さく、変化を示すものではない。

■ 出典・注意事項

  • Şentürk, Ş., Gür Erdoğan, D., Altınışık, M. S., Şiraz, F., & Kara, K. (2026). University students’ perceptions of virtuous persons in Türkiye: associations with psychological wellbeing, resilience, intolerance of uncertainty, and hopelessness. Frontiers in Psychology, 17, 1961607. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1961607

  • 本研究は一時点のアンケートによる相関研究であり、「ウェルビーイングが高いと徳を認識しやすくなる」といった因果関係は断定できません。すべて自己申告の回答に基づき、参加者はトルコの5大学の学生(女性が約8割)に限られるため、他の集団や文化にそのまま当てはまるとは限りません。不確かさへの苦手意識と徳の認識の関係についての説明は、研究者自身も「仮のもので、追試が必要」としています。

  • この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。

投稿者による補足(1件)
補足 1

研究自体の紹介はこちら😊
幸せな人は、人の徳を好ましく評価する
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-22-1792658640/

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