2026.10.27

はぴテク相談室:「職場でちょっとぼっち」は悪いこと?

相談者

はぴテクさん、こんにちは。私、経理の仕事をしているんですけど、集中して数字と向き合うのが好きで、正直ランチや飲み会にはあまり顔を出していないんです。仕事は楽しいし成果も出ているつもりなのに、「職場でぼっちって大丈夫?」ってふと不安になって……。これって幸せ的にマズい状態ですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

こんにちは!「仕事が楽しくて成果も出ている」って、まずそれ自体がとても素敵なことですよ。実はその不安、最近の研究がちょうど扱っているテーマなんです。トルコの会計・財務職756人を対象にした調査で、「職場の孤独感」をひとまとめにせず、2種類に分けて調べた論文があります。

相談者

孤独に種類があるんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

あるんです。ひとつは「感情的な孤独」。信頼できる同僚がいない、困ったときに支えてくれる人がいない、という"深いつながりの不足"です。もうひとつは「社会的な孤独」。雑談仲間や幅広いネットワークに入れていない、という"広いつながりの不足"です。相談者さんの「ランチや飲み会に行かない」は、どちらかというと後者に近いですね。

相談者

なるほど。で、どっちも仕事に悪いんですよね……?

はぴテクさん
はぴテクさん

ここが面白いところで、結果が違ったんです。「感情的な孤独」が強い人ほど、自己評価の仕事のパフォーマンスが低い傾向がありました。一方で「社会的な孤独」は、この会計・財務職のデータでは、むしろパフォーマンスが高い人とわずかに結びついていたんです。

相談者

えっ、ぼっちのほうが仕事ができる、ってことですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そこは慎重にいきましょう。論文の著者も「社会的な孤独が本質的に良い、という意味ではない」とはっきり書いています。会計・財務のように、ひとりで集中して分析する時間が大事な仕事では、人とのやり取りが少ないことが"気が散りにくい"状態と重なっているのかもしれない、という解釈です。しかも社会的な孤独だけでパフォーマンスのばらつきを説明できたのは2%ほど。影響としてはかなり小さいんです。チームでの調整が多い職種では、同じ結果になるとは限らないとも注意されています。

相談者

じゃあ「飲み会に行かないこと」は、そんなに気にしなくてもいいのかな。

はぴテクさん
はぴテクさん

この研究の範囲で言えば、「広い付き合いが少ない=即ダメ」とは言えない、というのが答えです。ただもうひとつ大事なことがあって、この研究では「本人がその付き合いの量に満足しているか」までは測っていないんです。だから、相談者さんが「自分は今の距離感が心地いい」と感じているなら、それはひとつの判断材料になりますね。

相談者

うーん、今の距離感は正直ラクです。でも「感情的な孤独」のほうが気になってきました。私、困ったときに相談できる人って……いるかなぁ。

はぴテクさん
はぴテクさん

いい気づきですね!研究で注目したいのは、感情的な孤独とパフォーマンスのつながりが、「ウェルビーイング(心の元気さ)」と「ジョブ・クラフティング」を通して説明された、という点なんです。つまり、信頼できる相手がいないと心のエネルギーが下がり、仕事を自分なりに工夫する意欲も下がって、それが成果の低さと結びついていた、という流れです。

相談者

ジョブ・クラフティングって何ですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

かみ砕くと「仕事を自分に合うように少し作り替えること」です。論文では3つの形が測られていました。やり方や順番を変える「作業の工夫」、人との関わり方を変える「関係の工夫」、そして仕事の意味づけを変える「考え方の工夫」。相談者さんは「数字と向き合うのが好き」とおっしゃっていたので、すでに意味づけや作業の工夫は自然にやっているのかもしれませんね。

相談者

たしかに、自分なりに効率化するのは好きです。じゃあ私は、広い付き合いは今のままで、「信頼できる人がひとりいるか」を大事にすればいいんですね?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究結果はそう読めます。論文でも「大事なのは関係の量より質」「職場の交流イベントより、安心して話せる関係やメンタリングのほうが感情的な孤独には効きそう」と述べられています。ただ、この調査はある時点のアンケートなので、「信頼できる人を作れば成果が上がる」とまでは言い切れません。あくまで「そういう人がいる状態と、心の元気さや工夫する力が一緒に見られた」という関係です。

相談者

それでも十分ヒントになります。飲み会に行かない罪悪感はそっと手放して、「ちょっとしたことを相談できる人」を一人、意識して大事にしてみます!

はぴテクさん
はぴテクさん

素敵なまとめ方ですね。集中できる静かな時間と、いざという時に頼れる一本の糸。両方があると、仕事の幸せは長持ちしやすいと思いますよ。

■ 今日のまとめ

  • 職場の孤独は一種類じゃない。「信頼できる人がいない(感情的な孤独)」のほうが、仕事のパフォーマンスの低さと結びついていた。
  • 「広い付き合いが少ない(社会的な孤独)」は、集中型の会計・財務職ではパフォーマンスの高さとわずかに関連。ただし効果は小さく、職種や本人の満足度によって意味が変わる可能性がある。
  • 感情的な孤独は「心の元気さ」と「仕事を自分なりに工夫する力」を通して成果と結びついていた。関係は量より質を大事に。

■ 出典・注意事項

  • Balıkçı O, Elçi M, Kitapci H, Artar M and Sener I (2026) Not all workplace loneliness is harmful: the mediating roles of wellbeing and job crafting in the relationship with employee performance. Frontiers in Organizational Psychology 4:1876048. doi: 10.3389/forgp.2026.1876048

  • 本研究はトルコの会計・財務職756人を対象にした、ある一時点のアンケート(横断研究)です。相関関係を示したものであり、因果関係(孤独が成果を下げる/上げる)を断定するものではありません。また、社会的な孤独とパフォーマンスの正の関連は、集中型の職種に特有の可能性があり、他の職種に一般化できるとは限りません。パフォーマンスは自己評価によるものです。

  • この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。

投稿者による補足(1件)
補足 1

研究自体の紹介はこちら😊
職場の孤独、実は2種類ある。そして片方は仕事の成果を下げない
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-27-1793042280/

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