はぴテク相談室:人のために使った時間、疲れるけどムダじゃない?
はぴテクさん、こんにちは!私、40代の会社員なんですけど、最近ちょっとモヤモヤしてまして。月に何回か地域の子ども食堂を手伝ったり、友だちの悩み相談に乗ったりしてるんです。やってること自体は好きなんですよ。でも、そういう日の夜って、なんだかどっと疲れてイライラしてる自分がいて…。「人のために時間を使ってるのに、なんで気分が重いの?」って。私、向いてないのかなって思っちゃって。
こんにちは!まず言わせてください、「手伝うのが好き」と「その日の夜は疲れる」って、どっちも同時に本当なんですよ。それ、ぜんぜん矛盾してません。実はちょうどこのテーマを調べた研究がありまして、アメリカの大人1,400人以上(2つのグループ)に、8日間毎晩「今日、人のためにどれくらい時間を使った?」「今日の気分は?」と電話で聞いて、さらに「この1か月」単位でも聞いたんです。
へえ、毎晩ですか。それで、何がわかったんですか?
面白いのはここで、「人のために多く時間を使った日」は、ネガティブな気分(イライラ、疲れ、不安など)が高めだった一方で、ポジティブな気分(元気、満足、人とのつながりを感じる、など)も高めだったんです。つまり「その日」は、しんどさと嬉しさが同時に来る。あなたの「好きだけど疲れる」は、まさにこのパターンそのものです。
あ、私だけじゃないんだ…。ちょっとホッとしました。でも、イライラしちゃうのは何なんでしょう?
研究ではさらに、手伝いの種類ごとにも見ていて、「悩み相談など気持ちの面で支えること」をした日は、2つのグループどちらでもネガティブな気分が高めでした。一方で「家事や用事などの無償の手伝い」や「ボランティア活動」は、片方のグループでポジティブな気分の高さと関連していました。あなたの場合、子ども食堂より、友だちの相談のほうが夜に響いてる可能性はあるかもしれませんね。
たしかに!相談に乗った日のほうが、ぐったり度が高い気がします。それと、私40代なんですけど、年齢って関係あります?
これがまた興味深くて。「手伝った日にネガティブな気分が高め」という傾向は、若い〜中年の人たちで見られて、年配の人たちでは見られなかったんです。具体的には、一方のグループで43〜62歳くらい、もう一方のグループで25〜44歳くらいの範囲で、その関連がはっきり出ていました。研究者たちは、働き盛りの世代は仕事や子育て、親のことなど時間のやりくりが大変で、そのぶん負担を感じやすいのかも、と考察しています。あくまで考察ですけどね。
なるほど、時間に追われてる世代ほど「しんどさ」を感じやすいんですね。じゃあ、やっぱり減らしたほうがいいのかな…。
ここからが本題です。研究では「1か月単位」でも見たんですね。すると、1か月のあいだに人のために多く時間を使っていた人ほど、「社会的ウェルビーイング」──自分は社会の役に立っている、自分には居場所がある、といった感覚──が高い傾向が、2つのグループ両方で見られたんです。片方のグループでは「心理的ウェルビーイング」──人生の目的がある、自分を受け入れられている、といった感覚──も高めでした。
えっ、1か月で見ると、ちゃんといいほうに出てるんですね!
そうなんです。しかも、1か月単位で見ると、ネガティブな気分ともポジティブな気分とも関連はありませんでした。つまり、その日のイライラも、その日のウキウキも、どちらも比較的短い時間で消えていく。残るのは「意味のある時間だったな」という評価のほう、というわけです。研究者たちはこれを「目の前のことは『楽しいかどうか』で見るけど、時間がたつと『意味があったかどうか』で振り返る」という考え方で説明しています。
あー、わかります。その日は疲れてても、あとから思い出すと「やってよかったな」って思うんですよね。
まさにそれです。ちなみに、1か月単位の「社会の役に立っている感覚」との関連は、一方のグループでは年齢が上がるほど強く、だいたい48歳以上で目立っていました。ただしこれはもう片方のグループでは見られなかったので、あくまで「そういう傾向もあった」くらいで受け止めてくださいね。あと、活動の種類でいうと、「ボランティア活動」が1か月単位のウェルビーイングと一番安定して関連していました。
じゃあ、子ども食堂のほうは続けてよさそう。相談に乗るのも大事だけど、その日は疲れて当然、と思っておけばいいんですね。
いいまとめです!ひとつだけ付け加えると、この研究は「関連」を見たもので、「人を助けたからウェルビーイングが高まった」と言い切れるわけではありません。もともと余裕のある人が多く手伝っている、という可能性もあります。でも少なくとも、「その日の疲れ=向いてない」ではないこと、そして振り返りの単位を少し長くすると見え方が変わること、この2つは覚えておく価値があると思いますよ。
「今日のしんどさ」と「今月の意味」は別物、って感じですね。なんだか気持ちが軽くなりました。帰ったら疲れてもいいから、ちょっとゆっくりお風呂に入ります!
それがいちばんです。疲れた日は、自分にも時間をあげてくださいね。
■ 今日のまとめ
- 人のために多く時間を使った「その日」は、ネガティブな気分とポジティブな気分の両方が高めだった。特に若い〜中年世代でネガティブな気分との関連が見られ、年配の人では見られなかった。
- 「1か月」単位で見ると、人のために多く時間を使っていた人ほど、社会の役に立っている感覚や人生の意味の感覚(社会的・心理的ウェルビーイング)が高い傾向があった。一方、1か月単位ではその日の気分の上下との関連は見られなかった。
- 手伝いの種類で違いがあり、気持ちの面で支える活動はその日のネガティブな気分と、ボランティア活動は1か月単位のウェルビーイングと、比較的安定して関連していた。
■ 出典・注意事項
- Cho, K., Charles, S. T., Almeida, D. M., & Lee, S. (2026). Spending time helping others and well-being of givers: Age differences in immediate and long-term effects on well-being. The Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences(Accepted Manuscript). https://doi.org/10.1093/geronb/gbag210
- データはアメリカの中高年を中心とした全国調査(MIDUS 3:865人、平均約61歳/MIDUS Refresher 1:612人、平均約49歳)に基づくもので、他の国や年代にそのまま当てはまるとは限りません。
- 本研究は相関(関連)を調べたもので、「人を助けると幸せになる」といった因果関係を断定するものではありません。特に1か月単位の分析は因果の順序を特定できないと論文自身が述べています。また一部の結果は2つのグループのうち片方でしか見られていません。
- この対話はフィクションです(内容を分かりやすく伝えるための創作)。
研究自体の紹介はこちら😊
人助けは「その日はしんどい、あとで効いてくる」
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-10-28-1793139180/