「幸福以外の何かに心を向けている者だけが幸福である」
Those only are happy who have their minds fixed on some object other than their own happiness.
— ジョン・スチュアート・ミル 『ミル自伝』(1873)
幸福は直接追うと逃げる。目的への没頭の副産物として訪れる
- 心理学では
- ミルの言葉は、心理学でいう「幸福追求のパラドックス」(幸福そのものを目標にするほど、かえって幸福感が遠のく現象)を言い当てている。Maussら(2011)は相関研究で、幸福を強く重視する人ほど、ストレスの少ない穏やかな状況でも幸福感や満足感が低いことを示した。実験でも、幸福の大切さを説く文章を読んだ人は、楽しい映像を見たあとの幸福感が、読まなかった人より低かった。Maussらは、高すぎる期待がいまの気分との落差を生み、失望を招くためと考察している。日々の暮らしでは、自分の気分を点検するより、打ち込める仕事や人の役に立つ活動に注意を向ける。その没頭が、幸福を呼び込む近道になる。 参考:Maussら(2011)「Can seeking happiness make people …」 ↗