幸せの名言集

ヘルマン・ヘッセの名言3選

ドイツ生まれの作家(1877-1962)。ノーベル文学賞

「自分の道を進む人は、誰でも英雄です」

— ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』に関連して語られる言葉(邦訳で流通)

邦訳経由で流通しており原文との対応には揺れがある

他人の道ではなく自分の道を歩むことの尊さ

心理学では
「自分の道を進む」とは、心理学でいう自己一致(目標が自分の価値観や関心から生まれている状態)や本来感(自分らしくいられているという感覚)を生きることである。Sheldon & Elliot(1999)は大学生を対象とした縦断研究で、自分の価値観に沿った目標を追う人ほど努力が続きやすく、目標を達成しやすく、その後の幸福感の高まりとも関連することを示した。またCampbellら(1996)は、自分がどんな人間かがはっきりしている人ほど自尊心が高く、神経症傾向(不安や落ち込みやすさ)が低いことを報告している。いまの目標が他人の期待から選んだものではないかをときどき問い直し、「本当にそうしたいから」と言える目標を一つ持つことが、自分の道を歩む力になる。 参考:Sheldon & Elliot(1999)「Goal striving, need satisfaction, …」/Campbellら(1996)「Self-concept clarity: Measurement,…」 ↗
「鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようとする者は、一つの世界を破壊しなければならない」

The bird fights its way out of the egg. The egg is the world.

— ヘルマン・ヘッセ 『デミアン』(1919)

自分になるとは、与えられた枠を破ること

心理学では
この名言は、マーシャの「アイデンティティ・ステイタス」理論で読み解ける。親や周囲の価値をそのまま受け入れた状態を「早期完了」(探索なき決定)、それを問い直して自ら選び直した状態を「達成」(探索を経た決定)という。Marcia(1966)は男子大学生への面接研究で、達成型ほどストレス下の課題に強く、早期完了型ほど権威を重んじる傾向があることを示した。Krogerら(2010)のメタ分析でも、青年期から成人初期にかけて早期完了が減り、達成が増えることが示されている。殻を破るときの迷いは、成長の自然な過程である。違和感のある「当たり前」を一つ選び、自分の言葉で問い直すことが、自分らしい生き方への一歩になる。 参考:Marcia(1966)「Development and validation of ego-…」 ↗/Krogerら(2010)「Identity status change during adol…」 ↗
「幸福は「何を」ではなく「いかに」に関わる。幸福は対象ではなく、才能である」

— ヘルマン・ヘッセ 随想「幸福」(1949)の趣旨

何を手に入れるか(対象)をいくら変えても、幸福になれない人はなれない。幸福とは、いま目の前にあるものを味わう能力 ── 磨くことのできる「才能」だ、というヘッセ晩年の結論

心理学では
ヘッセの言う幸福の「才能」は、心理学でいう味わう力(セイバリング:よい経験に注意を向け、その喜びを意識的に深めたり長引かせたりする働き)に重なる。Quoidbachら(2010)の質問紙調査では、喜びを人と分かち合う、いまこの瞬間に注意を向けるといった味わい方をよく使う人ほど、幸福感が高かった。さらにHurley & Kwon(2012)は、大学生にセイバリングを日々練習してもらう介入研究を行い、ネガティブ感情や抑うつ症状を減らす効果を見いだした。食事の一口目や仕事が片付いた瞬間に数秒立ち止まって味わう習慣が、この才能を磨く助けになる。 参考:Quoidbachら(2010)「Positive emotion regulation and we…」 ↗/Hurley & Kwon(2012)「Results of a Study to Increase Sav…」 ↗

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