幸せの名言集

ランドルフ・ネシーの名言2選

米国の精神科医・進化医学者(1948-)。進化精神医学の創始者の一人

「不安の誤報が多いのは、故障ではない。煙探知機は、本物の火事を一度も見逃さないために、パンにも鳴るように設計されている」

— ランドルフ・ネシー 「煙探知機の原理」(進化精神医学、『Good Reasons for Bad Feelings』2019)

不安が実際の危険より頻繁に鳴るのは、進化的には正しい設計だという理論。祖先の環境では「危険の見逃し(命を失う)」のコストが「誤報(少し疲れる)」のコストより桁違いに大きかったため、警報は過敏な方に調整された

心理学では
この名言は「煙探知機の原理」(危険を見逃す損失が誤報の損失よりはるかに大きいとき、警報は過敏に設定されるのが合理的だという考え)を表している。Nesse(2005)は、信号検出理論(警報の当たり外れを損得で分析する枠組み)を使って、この原理を理論的に示した。また、Jamiesonら(2012)の実験では、人前で話す課題の前に、緊張を「体が課題に備える有益な反応」と捉え直した人ほど、心臓や血管の反応がより適応的で、脅威への注意の偏りも小さかった。不安を「故障」ではなく「設計通りの働き」と見ることで、不安への不安を和らげられる。胸がざわついたら「探知機がちゃんと働いている」と受け止め、本当に火事かどうかを落ち着いて確かめることが助けになる。 参考:Nesse(2005)「Natural selection and the regulati…」 ↗/Jamiesonら(2012)「Mind over matter: Reappraising aro…」 ↗
「自然選択は、あなたの幸福を気にかけていない。感情は、あなたのためではなく、遺伝子の利益のために形づくられた」

Natural selection does not care about our happiness.

— ランドルフ・ネシー 『Good Reasons for Bad Feelings(なぜ心はこんなに脆いのか)』(2019)

不安・嫉妬・落ち込みなどの「嫌な感情」は、幸福の邪魔者ではなく、祖先の生存と繁殖に役立ったから残っている道具である、という進化精神医学の視点。「幸福であり続けること」は、そもそも進化の設計目標に入っていない

心理学では
この名言は、感情の機能主義(感情は生存と繁殖の課題に対処するために進化した道具だとする考え方)と、快楽順応(良い出来事にも慣れて幸福感が元に戻る傾向)を言い表している。Brickmanら(1978)は、宝くじの高額当選者が一般の人と比べて特に幸福なわけではないことを示した。またFordら(2018)は、実験室・日記・縦断の研究を通じて、嫌な感情や思考を受け入れる人ほど抑うつ症状が少なく、心の健康が良好であることを報告している。不安や落ち込みを「故障」ではなく「警報」と受け止め、何を知らせているかに耳を傾けることが、感情と上手に付き合う第一歩になる。 参考:Brickmanら(1978)「Lottery winners and accident victi…」/Fordら(2018)「The psychological health benefits …」 ↗

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