2026.08.05

はぴテク相談室:「欲張りな自分」は幸せになれないのか?の話

相談者

はぴテクさん、ちょっと自己嫌悪の相談なんですけど。。。私、欲張りなんですよ。何かを手に入れても、すぐ「次はあれが欲しい」って考えちゃう。資格を取ったら次の資格、昇格したら次のポジション。全然満足できないんです。

はぴテクさん
はぴテクさん

ほうほう。それで、何がお悩みなんですか?

相談者

「足るを知る者は富む」って言うじゃないですか。欲を手放した人が幸せになれるんだって。私みたいにずっと「もっともっと」って言ってる人間は、一生幸せになれないんじゃないかと。。。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど。実はそのテーマ、今年出たばかりの面白い研究があるんですよ。心理学では、あなたのような「もっと欲しい、どれだけあっても満足できない」という性格傾向を「特性的強欲」と呼んで研究されています。

相談者

強欲って。。。名前からしてもう悪者じゃないですか。

はぴテクさん
はぴテクさん

実際、これまでの研究では悪者扱いでした。強欲な人は人と比べがちで、満足度が低くて、ズルもしやすい、と。ところが中国の大学生586人を調べた最新研究では、予想と真逆の結果が出たんです。強欲さは、生活満足度とも、人生の意味とも、全部弱いプラスの関連だった。

相談者

えっ。欲張りな人の方が幸せだったんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

「弱いプラス」なので、そこまで言うと言い過ぎですけどね。面白いのは関連の強さの順番です。強欲さと一番つながっていたのは「人生の意味を探し求めること」、次が「面白くて多様な経験に満ちた人生」。つまり「もっと」のエネルギーは、満足度よりも、探求や経験の豊かさと結びついていたんです。

相談者

あー。。。たしかに私、次々欲しがるせいで、いろんなことに手を出してはいますね。

はぴテクさん
はぴテクさん

でしょう。そしてこの研究の一番のポイントは別にあります。参加者を統計的に分けると、欲が強いタイプ、平均タイプ、欲がすごく薄いタイプの3つに分かれたんですが、経験の豊かさと意味の探求が一番低かったのは、どのタイプだったと思います?

相談者

えっ、そりゃ欲が強いタイプでは?

はぴテクさん
はぴテクさん

逆です。欲が薄いタイプでした。

相談者

ええー!「足るを知る」の人たちが一番低い??

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。「欲がない=満ち足りている」とは限らなくて、「欲がない=新しいものを求める動きが少ない」だけかもしれない。欲を手放して満ちている状態と、そもそも心が動いていない状態は、外から見ると似ているけど中身が違う可能性があるわけです。

相談者

うわ、それは刺さります。じゃあ私、このまま欲張りでいていいんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

まあまあ、注意点もありますよ。この研究は一時点の調査なので、欲があるから人生が豊かになるのか、豊かな人生だから次の経験が欲しくなるのかは分かりません。参加者も中国の19〜20歳の大学生です。それから著者たち自身が「強欲が良いという証拠ではない」と何度も釘を刺しています。

相談者

若い人のデータなんですね。それって関係あります?

はぴテクさん
はぴテクさん

大ありです。実は大人を対象にしたヨーロッパの調査などでは、強欲は生活満足度とマイナスの関連が出がちなんです。若いうちの「もっと」は、これから積み上げる目標や希望として働く。でも、いろいろ達成した後でも消えない「もっと」は、何をしても満たされない慢性的な不満に変わっていくのかもしれません。

相談者

うっ。私はどっちなんだろう。。。

はぴテクさん
はぴテクさん

良い問いですね。見分けるヒントを一つ。あなたの「次はあれが欲しい」は、手に入れる過程を楽しめていますか?それとも、手に入れた瞬間に価値がゼロになって、虚しさだけが残りますか?

相談者

うーん。。。過程は楽しいです。資格の勉強も、やってる間は面白かった。ただ、取った後に自分を褒めずに次に行っちゃうのがダメなのかも。

はぴテクさん
はぴテクさん

それなら、直すべきは「欲」ではなく「味わい方」かもしれませんね。「もっと」のエネルギーはそのまま探求の燃料にして、達成したら一晩くらいはちゃんと喜ぶ。欲を消す修行より、その方がずっと現実的ですよ。

相談者

欲を捨てなきゃと思ってたのに、まさか「ちゃんと喜べ」という結論になるとは。。。なんか気が楽になりました!

はぴテクさん
はぴテクさん

「欲の過剰」より「欲の不在」の方が心配、というのが最新研究からの意外なメッセージです。あなたの「もっと」は、人生を面白くしている側かもしれませんよ。

■ 今日のまとめ

  • 最新研究では、強欲さ(もっと欲しいという性格傾向)は幸せの各側面と弱いプラスの関連。特に「意味の探求」と「経験の豊かさ」とつながっていた
  • 経験の豊かさが一番低かったのは、欲が強い人ではなく欲が薄い人。「欲がない=満ち足りている」とは限らない
  • ただし若者のデータであり、大人では逆の結果も。「もっと」が目標への燃料になっているか、慢性的な不満になっているかの見極めが大事

■ 出典・注意事項

  • Ma, X., Liu, D., Dang, J., & Wu, C. (2026). How do profiles of greed map onto multifaceted well-being? Behavioral Sciences, 16(8), 1286. https://doi.org/10.3390/bs16081286

  • 一時点の横断調査のため、因果関係(欲が人生を豊かにするのか、その逆か)は分かりません

  • 中国の大学生586名(平均約20歳、女性・教育学専攻が大多数)のデータであり、日本の大人にそのまま当てはまるとは限りません

  • 関連の大きさは全体的に小さめで、著者らも「強欲が良いという証拠ではない」と強調しています

  • 対話後半の「大人ではマイナスの関連」は本論文ではなく、成人対象の別の研究群(オランダLISSパネル等)に基づく補足です

投稿者によるコメント・補足(1件)
コメント 1

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強欲とウェルビーイング
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-08-05-1785970260/

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