大人のBTSファンの幸せについての、韓国の最新研究(韓国語です)
30〜60代のファン14人に、1人1〜2時間じっくりインタビューした調査です。
「推し活で幸せになる」って、
なんとなく分かるけど、
実際どういう順番で幸せになっていくの?
を、当事者の語りから丁寧に描いた研究。
結果としては、大きく4段階。
①音楽とメッセージに慰められる
抗がん治療中に「ひとりじゃない」と思えた、
「傷跡さえ星になる」の歌詞で自分の傷を受け入れられた、など。
②ファン仲間とつながる
「病気の時、家族より先に連絡くれたのはARMYの友達だった」
「20代も60代もいるけど、年齢は全く意識しない」
③へこんでも立ち直る力がつく
チケット落選や活動休止でへこんでも、音楽で気持ちを整理して日常に戻る。
「コンサートの日まで健康に生きようという目標ができる」
④人生そのものが変わる
「ただ生きるのが目標だったのが、どんな人間として生きるか考えるようになった」
「私も誰かの慰めになる人になりたい」
面白いのは、
推し活が「いいことばかり」じゃないと正直に書いてあるところ。
ファン同士の対立でストレスを感じたり、
「のめり込みすぎでは?」と自分で不安になったり。
それでも、その気持ちを自分で調整して戻ってくる、
その繰り返し自体が「立ち直る力」になっている、と。
というわけで、
推し活は単なる娯楽や消費じゃなくて、
慰め→つながり→立ち直り→人生の意味、
と幸せが育っていくプロセスである。という結果。
幸せの4つの因子で言えば、
- 「ありのままに」(自己受容)
- 「ありがとう」(仲間)
- 「なんとかなる」(立ち直る力)
- 「やってみよう」(生きる目標)
が上から順に揃っていく感じですかね。
そう考えると、ありのまま、について歌っている歌手の方を推すのが良いかもデスね。(ありのままだけ歌詞から学んでいるので)
推しがいない人も、
「慰められるもの」と「それを一緒に語れる仲間」があれば、
同じ回路が動きそうですね。
※14人・全員女性・熱心な長期ファンの語りなので、
「誰でもこうなる」ではなく「こういう流れがありうる」という研究です。
Exploring the process of Psychological Well-Being Formation Among Adult Fans Through BTS Fandom Activities
BTSファンダム活動経験に見られる成人ファンの心理的ウェルビーイング形成過程の探索
Jung-Khil Kang(韓国歌唱学会、韓国)、Rohan Kim(国民大学校)、Hee-Jung Seo(ソウル科学技術大学校)
Journal of the Edutainment(에듀테인먼트연구)Vol.8 No.4, 2026/8/23
https://doi.org/10.36237/koedus.8.4.295
癒やしと成長の星座 大人の「心理的ウェルビーイング」はいかにして形成されるのか? ―BTSファンダム活動に見る、社会的つながりとレジリエンスのメカニズム 「エデュテインメント研究」(2026) 論文ベース分析レポート Cornelis Notebook パラダイムシフト:受動的消費から「能動的な文化療法」へ 旧求の視点 (Traditional) | BTSモデル (BTS Model) 動機 (Motivation) | 現実逃避、単なる娯楽 | 🌟現実への適応力強化、自己受容 共同体 (Community) | 閉鎖的なオタク文化 | 🌟国境と世代を越えたグローバル・デジタル共同体 影響 (Impact) | 時間と資源の消費 | 🌟心理的回復と利他的成長のインフラ Gemmai Notebook 誰が、なぜ救いを求めているのか? 日常の重圧(Pain) ・病気(抗がん剤治療など) ・家族の問題 ・喪失のトラウマ ・職場での過労やストレス 解毒剤(Antidote) ・音楽とメッセージ ・ファンとの連帯 ・プロジェクトへの参加 データハイライト:研究参加者14名(30~60代)。専門職、自営業、公務員など、社会的中核を担う「大人たち」のリアルな姿。 点から面へ広がる「ウェルビーイング」の設計図 1. 感情的癒めと 自己受容 (Catalyst) 2. 社会的つながり (Ecosystem) 3. レジリエンスの強化 (Shock Absorber) 4. 心理的ウェルビー イングの拡張 (Destination) Core Insight: これは単発の「癒やし」ではない。4つの段階を経て個人の 内面から社会への還元へと連結する「心理的成長プロセス」である。 Gemini Notebook Step 1: 「心の防波堤」としての音楽 介入点:BTSの音楽 現実の苦難のどん底で、音楽が 感情の底打ちを防ぎ、日常を 維持する力となる。 「抗がん剤治療中… 一人ではないと感じました。」 「セウォル号のトラウマがひどかった時、『春の日』を聴いて… 生者と死者が繋がる感覚でした。」 単なる慰めから「自己受容(Love Yourself)」への認知変容 白己否定 (Self-Denial) LOVE YOURSELF 自己受容 (Self-Acceptance) 「傷跡さえも星になるという歌詞で、自分の傷も人生の一部として受け入れられました。」 「自分自身の価値を知っている人間になりました。」 BTSのメッセージは、ファン自身の欠点と傷を人生の一部として肯定する視線へと、自己認識のフィルターを書き換える。 Step 2: 国境と世代を超越する「共感のエコシステム」 人生の伴侶 共感と支持 同じ趣味の人 BTS 単なるファンクラブではない。 年齢(20代~60代)や言語の 壁を超越し、「ARMY」という 共通のアイデンティティの下で、 家族以上に感情を共有できる 連帯が形成される。 「家族より頻繁に連絡する。 お互い辛いことがあれば 一番に話す仲になった。」 © Cerebral Notebook 競争社会に対する「対抗空間(カウンター・スペース)」 競争 (Competition) 社会的評価 (Social Evaluation) 社会的評価 (Social Evaluation) 孤立 (Isolation) 「私もそうだったよ」 という無条件の共感 弱さを隠すべき現実社会とは対照的に、ここでは共感が循環する。 この安全圏(Safe Haven)が、強固な社会的つながりの基盤となる。 Gemini Notebook Step 3: レジリエンスの強化 ―現実に立ち向かう「ショックアブソーバー」 人生の衝撃・ストレス (Life's Shocks) ファンダムリソース (音楽、共同体の支持) ファンダムリソース (音楽、共同体の支持) 日常への適応と跳ね返り (Rebound to Daily Life) 因難から逃避するのではなく、 因難を受け止め、再び日常の バランスを取り戻すための心 理的ハネとして機能する。 「辛いことが起きると自然に 音楽を探す。聴き終えると、 再び心を整理できる。」 Genralist Notebook 未来への期待が「現在」の行動を変える 単調な日常に「未来の明確な目標」が設定されることで、 そこに向かって「健康に生きよう」「活動を楽しもう」 という積極的な現在への生存動機が生まれる。 無気力な日常の反復 コンサート/ファン活動 (明確な目標) 現在の活力と態度への刺激づけ 「コンサートの日程が決まると、 その日まで健康に生きようと いう目標ができる。」 🄬 Gemini Notebook ユートピアではない:摩擦を包み込む「自己調整機能」 「否定的な感情に埋没しないようマインドコントロールする。」 過度な没入・チケット落選の絶望 現実生活の維持 自己調整とマインドコントロール (Self-Regulation) ファンダム活動は常に肯定的な感情だけをもたらすわけではない。挫折や不安という負の感情を認識し、適切な心理的距離を保つ自律性こそが、大人のレジリエンスを証明している。 Step 4: 最終到達点 — 心理的ウェルビーイングの拡張 心理的ウェルビーイングの拡張 幸福感の 増加 人生の意味 の再発見 他者への 肯定的な態度 個人の「楽しみ」を超越、 自身の人生を肯定的に再解釈し、 他者を尊重し、社会に良い 影響を与えたいという利他的な 生き方への昇華。 BTSファンダム活動 © Gemini Notebook 概念の統合:受信から発信へ循環する「巨大なエコシステム」 受信(Input) 音楽の思め/自己受容 統合 (Integration) 発信(Output) 共鳴/共同体への支持 利他的行動 レジリエンス /動機づけ 全ては独立した変数ではなく、連鎖している。音楽から「受け取った」自己受容が、コミュニティへの「発信」となり、それが社会に「還元」されていく持続可能なサイクル。 新たな地平:「エデュテインメント」としての生涯学習 フォーマル教育(Classroom) • 構造化されたカリキュラム • トップダウンの知識伝達 • 義務的な参加 インフォーマル学習(Fandom) • 情熱に突き動かされた自発的探求 • ピア(仲間)主導の相互学習 • 語学、多様性の理解、社会参加(寄付等) 大衆文化は、もはや単なる消費対象ではない。自身の価値観の省察が自発的に行われる、極めて高度な「非形式的学習」の場である。 Geeked Notebook 文化消費の再定義 「ファンダムとは、成人の日常において 『情緒・関係・回復・成長』が相互作用する、 現代の重要な社会文化的インフラである。」 メンタルヘルスケアや文化福祉プログラムへの応用可能性。 孤立する大人たちに必要なのは、臨床的な介入だけでなく、 自発的に「癒やしと成長の星座」に参加できる環境である。
【背景】
■1. 出発点:ファンダムは「消費」ではなく「参加」である
▼大衆音楽の位置づけの変化
▼Jenkinsの「参加文化」論
■2. なぜBTSなのか:影響力とメッセージ性
▼世界的な影響力の根拠
▼メッセージ性
▼ファンダム「ARMY」に関する研究
■3. 社会的背景:大人のストレスと孤立の増加
→ こうした状況の中で、個人の心理的ウェルビーイングが重要な生活の質の指標として注目されている、という流れになる
■4. 中心概念①:心理的ウェルビーイング(Ryff)
▼ファン活動とウェルビーイングをつなぐ先行研究
■5. 中心概念②:社会的つながり感(Lee & Robbins)
■6. 中心概念③:レジリエンス(Masten)
▼音楽と回復をつなぐ先行研究
■7. ファン活動そのものに関する先行研究と「研究の隙間」
▼ファン活動の肯定的効果を示した研究
▼これまでの研究に足りなかったもの
■8. 概念的分析枠組み:4つの理論を一本の流れにつなぐ
論文の図1は、上記の先行研究を次のように並べて分析の枠組みにしている
→ 音楽・メッセージ、公演・コンテンツ参加、SNS・コミュニティ活動、ファンプロジェクト・社会参加
→ 慰めと共感、自己受容と肯定的認識、情緒的安定と癒し
→ 共同体への所属感、共感と支持の関係、情緒的絆と連帯
→ 困難への対処と回復、ストレス緩和、日常の活力と動機
→ 自己受容と満足、肯定的関係、人生の意味と成長
つまり「ファン活動の理論(Jenkins)→ つながりの理論(Lee & Robbins)→ 回復の理論(Masten)→ ウェルビーイングの理論(Ryff)」という順番で、先行研究が一本の道筋として組み立てられている
■9. 研究方法を支える先行研究
■まとめ:先行研究から見た本研究の位置
■出典・注意事項
【研究内容】
■研究の問い
この研究は、次の4つの問いを立てています
ポイントは「影響があるか」を検証するのではなく、「どういう流れで形づくられるのか」を当事者の語りから描くことにあります
■方法
▼研究デザイン
▼調査の枠組み(表1)
▼参加者(表2)
▼データ収集
■分析方法
▼継続的比較分析(constant comparative analysis)
▼手順
▼分析の偏りを防ぐ工夫
→ ファン内部の対立、チケット取得失敗、活動休止への不安、過度な没入への自己警戒など
■真実性と倫理
▼真実性(trustworthiness:質的研究における信頼性・妥当性の基準)
▼倫理
→ 研究者自身がファンダム現象に関心と理解を持っているため、経験を肯定的に解釈しがちな可能性を認識し、中立的態度を維持。解釈と一致しない語りも排除せず分析に含めた
■結果:4つの上位カテゴリーと11の下位カテゴリー(表3)
これらは、BTSファン活動が単なる文化消費を超え、情緒的慰めと自己受容→社会的関係の形成→心理的回復→心理的ウェルビーイングへと広がるプロセスを示すものと解釈されています
■結果1:音楽とメッセージによる情緒的慰めと自己受容
▼人生の困難を慰める音楽
▼自分を受け入れさせるメッセージ
▼解釈
■結果2:ファン共同体による社会的つながり感の形成
▼新しい関係の形成
▼共感と支持が存在する共同体
▼国境と世代を超える連帯経験
▼解釈
■結果3:ファン活動によるレジリエンスの強化
▼困難を耐えさせる心理的資源
▼否定的な経験と、その調節
▼生きる動機と活力の回復
▼肯定的自己認識の形成
▼解釈
■結果4:心理的ウェルビーイングの拡張
▼幸福感と生活満足の増加
▼人生の意味の再発見
▼肯定的な人生の態度の形成
▼過度な没入への自己警戒(否定的事例)
▼解釈
■考察
▼全体像:4つの経験は「変数」ではなく「連続したプロセス」
▼第1の論点:慰めから自己受容への拡張
▼第2の論点:共同体経験は自動的にウェルビーイングを保証しない
▼第3の論点:レジリエンスは「個人の能力」ではなく「関係的・文化的資源」とともに現れる
▼第4の論点:心理的ウェルビーイングは「結果」ではなく「形成プロセス」
▼重要な但し書き:これは因果モデルではない
▼エデュテインメントの視点
▼核心的な発見
■結論と提言
▼結論
▼限界
▼提言
■論文に出てきた曲
▼Answer : Love Myself(アンサー:ラブ・マイセルフ)
▼Love Yourself(ラブ・ユアセルフ)
▼春の日(봄날 / Spring Day)
▼Magic Shop(マジック・ショップ)
▼走れバンタン(달려라 방탄 / Run BTS)
■整理して見えること
動画解説はこちら😊
https://youtu.be/QH3w3lGLlCA
会話形式での紹介はこちら😊
はぴテク相談室:推し活って、現実逃避なんでしょうか?
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-09-25-1790306400/