2026.09.29

日本人は「幸福」「不幸」から何を連想する?

〜幸福は「喜び」を軸につながり、不幸は「貧困」と「孤独」を軸につながる〜

「幸福」「不幸」から連想する言葉についての、日本の最新研究

日本の20〜79歳、2,507人に調査頂きました。


やり方がおもしろくて、
「幸福」から思いつく言葉を5つ、
さらにその言葉から思いつく言葉を3つずつ、
と雪だるま式に連想を膨らませてもらい、
言葉同士のつながりをネットワークにして分析。

「不幸」についても同じことをやっています。


幸福の連想は、8つのかたまりに分かれました。
食(おいしい、満腹)
健康
休息(自由、睡眠、旅行)
富(お金、余裕)
喜び(楽しい、笑顔)
人間関係(家族、友人)
安心(平和、安定)

目標(夢、希望、やりがい)


不幸の連想は9つ。
孤独、貧困、別れ(死別)、病気、争い、失敗、災難(事故)、ストレス、災害

「災害」が独立して出てくるのは、地震の多い日本ならでは。


で、ここからが本題。
「どの要素があるか」より、「要素同士がどうつながっているか」を見ています。
幸福の真ん中にいるのは「喜び」。
人間関係、休息、安心、富、ぜんぶ喜びと強くつながっている。
要は幸福について考える時は、
それが喜びにつながっているか、という観点で見ると良さそう。

逆に喜びにつながっていなければ、それは幸福ではない。


不幸の真ん中にいるのは「貧困」と「孤独」。
貧困はストレス、病気、孤独、別れとつながり、

「病気」→「死」のつながりが不幸の中で一番強い。


ちなみに、
女性は人間関係と喜びを、男性はお金を多く挙げる。
学歴が高い人ほど「夢・希望・やりがい」を多く挙げる。

同じ「喜び」でも、女性は「笑顔」「楽しい」、男性は「ゲーム」「スポーツ」。


幸せ観点で言うと、

  • 幸せの真ん中は「喜び」。笑顔や楽しさが、家族もお金も休みも束ねている。
  • 不幸の真ん中は「貧困」と「孤独」。この2つを防ぐのが、不幸を遠ざける近道。
    という感じ。
    幸せを増やすことと、不幸を減らすことは、別々に考えたほうが良さそうですね。

そして、幸せという言葉は色々と人によって定義がされているからこそ、

ウェルビーイングという新語が大事だなぁとも思うわけです😊


Semantic Schema and Group Differences in Everyday Conceptions of Happiness and Unhappiness: An Investigation with a Word-association Network
幸福と不幸の日常的な概念における意味スキーマとグループ差:単語連想ネットワークによる検討
Zeyu Lyu(東北大学、日本), Zhemeng Xie, Sachiko Yasuda, Aguru Ishibashi, Takaharu Saito & Hiroki Takikawa(東京大学)
Journal of Happiness Studies, 2026/9/26
https://link.springer.com/article/10.1007/s10902-026-01113-4

自由連想ネットワークで解き明かす「幸福」と「不幸」の認知構造(スキーマ) 認知スキーマの探求 幸福 (Happiness) 不幸 (Unhappiness) 話連想調査により、人々が頭の中で「幸福」と「不幸」をどのように構造化しているかを独自の ネットワークを持ち、社会グループによる認識差も往往。 幸福のネットワーク構造 健康 (Health) 家族 (Family) 喜び (Joy) 左人 (People) 家族 (Family) お金 (Money) 幸福の中心は「喜び」、健康、家族、お金が要素関を繋ぐ重要なハブになる。 不幸のネットワーク構造 福音 (Blessing) 貧困 (Poverty) 原因 (Hardship) 孤独 (Loneliness) 不安 (Anxiety) 従業 (Disaster) 病気 (Sickness) 孤立 (Isolation) 不幸の中心は「貧困」と「孤独」。日本独自要素として「災害」が出現し、病気は「死」や「孤立」に繋ぐ。 性別による認識のギャップ 経済・成果 お金 (Money) 成功 (Success) ゲーム (Game) 男性 関係性・感情 笑顔 (Smile) 楽しさ (Fun) つながり (Connection) 女性 男性は「経済・成果」を、女性は「関係性・感情」を重視する傾向。 学歴による認識のギャップ 自分 (Self) 目標 (Goal) 自己実現 (Self-Realization) 幸 (Happiness) 仕事の成果 (Work Outcome) 高学歴ほど幸福において「目標・自己実現」を重視し、夢や仕事の成果を高く評価。 心の星座 データが明かす「幸福」と「不幸」の地図 2,500人の頭の中を可視化して見ててきた。 私たちの感情の本当のカタチ。 120° 90° 60° 180° 0° Genius Notebook 幸せは、単なる「点数」ではない。 これまで、私たちは幸福を1から10のスケールで測ろうとしてきました。 しかし、現実の感情は一次元ではありません。 それは無数の意味や経験が複雑に絡み合った「ネットワーク」としてのなの中に存在しています。 THE MYTH 不幸 幸福 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 THE REALITY トップダウンの質問から、ボトムアップの「連想」へ。 最初のキーワード 幸福 5つの言葉と連想 家族 お金 健康 食事 旅行 笑顔 安心 愛 さらに3つの言葉と連想 研究者が決めた選択肢ではなく、2,500人の日本人が「幸福感に関いている言葉」を抽出し、 8つの島からなる「幸福」の地図 人間関係 豊かさ 健康 休息 喜び 食事 安心 目標 「喜び」と「人間関係」が中心の引力となり、他のすべての島を引き寄せている。 Geness Notebook 9つの領域が交差する「不幸」の地勢 貧困 孤独 失敗 別れ 病気 対立 不運 ストレス 喧嘩 不幸の構造は、「農園」と「庭園」という複カテゴリーホールを中心に回転している 不幸は、単なる「幸福の欠如」ではない。 幸福の中心 喜び 人間関係 安心 不幸の中心 貧困 孤独 ストレス 幸福が「喜び」という感覚をハブにして広がるのに対し、不幸のネットワークは「貧困」という物理的・経済的要因が「孤独」や「ストレス」を引き起こす構造になっている。 まったく異なる2つの「心のルール」が存在する。 領域をつなぐ「架け橋」となる言葉 健康 家族 喜び 安心 「健康」は、幸福の島々をつなぐ最大のインフラ。 病気 貧困 死 孤独 「病気」は、貧困の苦しみを「孤独」や「死への恐怖」へと直結させてしまう最も危険な橋。 日本人の心に刻まれた「特有のカタチ」 喜び 食事 人間関係 個人の喜びとしての「食」。 欧米では食は「社会的な絆」に結びつきやすいが、 日本では「個人の純粋な喜び」として機能している。 地震 火災 災害 火災 不幸の独立峰「災害」。 地震や自然災害が、日常のストレスには別次元の 「独立した不幸の概念」として定着している。 性別によって見ている「景色」は異なる 人間関係 喜び 孤独 感情と繋がりの重視。 女性は人間関係や感情体験を幸福の中心に置き、ネガティブな感情(孤独)にも敏感である。 富 資源と達成の重視。 男性は、社会的な階待ちに影響され、経済的豊かさ(富)を幸福の重要な要素として捉える傾向が強い。 Gemma Notebook 同じ「喜び」という言葉でも、思い浮かべる世界が違う 幸福の同じ「島」に立っていても、男性は「活動や趣味」を通して喜びを語り、 女性は「感情や美情」を通して喜びを語っている。 ゲーム スポーツ 遊ぶ ゲーム スポーツ 遊ぶ 女性 活動 プレイ 速ぶ 遊ぶ 直ぶ 速楽 ゲーム スポーツ 遊ぶ 速ぶ 活動 遊ぶ 速楽 直ぶ 速楽 スポーツ 遊ぶ 速楽 喜び 笑顔 楽しい 喜び 実頼 美頼 こっくり 喜ぶ 嬉しい 喜ぶ 喜ぶ 実頼 喜ぶ 美情 16:9 学びが広げる、未来への「視座」 希望 夢 目標 未来 教育水準が高くなるについて、幸福の地図の中で「目標」という領域の比重が大きくなる。 教育は単なる知識の蓄積ではなく、自己実現や「未来の夢」を幸福の一部として捉える力を育む。 「10点満点」の呪縛から解放されるために 私たちは皆、異なる「心の地図」を持って生きています。年齢、性別、環境によって、重視する島も、架けられている橋も違います。 経験 自己 理解 環境 価値観 他者 背景 共感 感情 視点 誰かの幸せや悲しみを本当に理解するためには、相手の点数を争うのではなく、相手が「どんな地図を歩いているのか」を想像することから始まるのです。 © Genius Notebook
投稿者による補足(3件)
補足 1

【研究背景】

■ この研究が立っている土台:幸福をどう捉え、どう測ってきたか

この論文(Lyu, Xie, Yasuda, Ishibashi, Saito & Takikawa, 2026)は、「ふつうの人にとって幸福とは何か、不幸とは何か」を、単語連想ネットワークという方法で調べたものです。その前提となる既存研究を、論文の流れに沿って整理します。


■ 1. 幸福は古くからの関心事であり、いまや政策の対象にもなっている

▼ 哲学から実証研究へ
  • 幸福は、アリストテレスの「エウダイモニア(人間としての善き生・自己実現的な幸福)」から、現代の「主観的ウェルビーイング(本人が自分の人生や気分をどう評価しているか)」の実証研究まで、人間の根本的な関心事とされてきました(Diener, Lucas & Oishi, 2018; Kahneman, Diener & Schwarz, 1999; Ryff, 1989)。
  • 近年は各国政府がウェルビーイング指標を意思決定に取り入れるなど、公共政策の中心的な標的にもなっています(Diener et al., 2018)。
▼ それでも残る問い
  • 幸福とは何か、人は「幸福」という言葉を聞いたとき何を思い浮かべるのか、どんなイメージと結びつけているのか、という点には依然として多くの議論があります。
  • 論文は、日常語としての幸福は無秩序なものではなく、意味のある形で組織化されている、つまり社会学でいう「スキーマ」として組織されていると考えます。しかし、人々が幸福をどう知覚し、その構成要素をスキーマの中でどう配置しているかについての包括的理解は欠けている、というのが出発点です。

■ 2. 「スキーマ」という見方:幸福観は要素のリストではなく、つながりを持った構造

▼ スキーマとは
  • スキーマとは、情報を解釈し、対象を評価し、行動を導く心的モデル(頭の中の枠組み)のことです(Axelrod, 1973; Rumelhart, 1980)。
  • 文化社会学は、認知科学に由来するこのスキーマ概念を社会学的文脈に取り込んできました(DiMaggio, 1997; Boutyline & Soter, 2021)。日常的な幸福観をスキーマとして捉える視点は Uchida & Kitayama (2009) にも見られます。
▼ 文化的スキーマの2つの特徴
  • Boutyline & Soter (2021) は文化的スキーマを「自動的認知において展開可能な、社会的に共有された表象」と定義しています。
  • 「社会的に共有」とは、親や友人との直接のやりとり、あるいはマスメディアを通じた間接的な経路で獲得される知識・表象であることを指します(Boutyline & Soter, 2021)。
  • もう一つの特徴は「自動性」です。スキーマはしばしば意識されないまま働くため、明示的な言説や熟慮よりも直接的に行動を動機づけると考えられています(DiMaggio, 1997)。
▼ ネットワークとしてのスキーマ
  • アルゴリズムの水準では、スキーマは「知覚・解釈・行動を促進する、深く、大部分が無意識的な神経連合のネットワーク」と定義され、概念をノード(点)、暗黙の連合をエッジ(線)とする「暗黙の概念ネットワーク」として表現できるとされます(Boutyline & Soter, 2021)。
  • 幸福に当てはめれば、幸福という概念は健康、おいしい食事、社会的絆といった要素と暗黙的・自動的に結びつき、逆に「温かい家」「穏やかな日々」といったイメージから幸福が想起される、という関係になります。こうした連想のつながりが価値判断を形づくり、行動を導くと論文は述べています。
▼ 関連する社会学的な系譜
  • 共有された理解を関係的な構造として捉える手法としては、Goldberg (2011) の関係クラス分析や、Hunzaker & Valentino (2019) の概念連想ネットワークがあります。
  • Wood, Stoltz, Van Ness & Taylor (2018) は、スキーマを複雑で戦略的に展開可能な構造として認知を捉える視点を示しており、論文はこの立場から「要素間の関係のネットワーク」を調べる必要性を導いています。

■ 3. 日常的な幸福観をどう測ってきたか:3つの系譜とその限界

▼ 系譜1:質問紙(トップダウン)
  • 広く使われてきたのは、既存理論から導いた幸福の構成要素を項目化した質問紙です(Rojas, 2005)。
  • こうした研究では、一般の人々の幸福観が主要な理論的視点とよく対応する、という結果が得られがちです(Furnham & Cheng, 2000; McMahan & Estes, 2011)。
  • しかし、回答者は研究者が事前に定めた項目に答えるだけで、自分自身の考えを表現する機会が限られます。そのため理論を確認する結果は出やすい一方、日常的な幸福観の全体像はとらえきれず、新しい知見も生まれにくいと指摘されています(Shin, Suh, Eom & Kim, 2018)。
  • 数値尺度は幸福の意味の多様性を捉える力を制限しがちだという批判もあります(Ponocny, Weismayer, Stross & Dressler, 2016)。
  • こうした背景から、事前カテゴリーを押しつけるのではなく、本人の表現から出発するボトムアップ型のアプローチが主張されてきました(Cabanas & González-Lamas, 2024)。
▼ 系譜2:自由回答(ボトムアップ)
  • 「あなたにとって幸福とは何ですか」と問う方法(Uchida & Kitayama, 2009)や、幸福について思い浮かぶ単語を列挙してもらう方法(Bojanowska & Zalewska, 2016; De Paola, Wagner, Pirttilä-Backman & Lehtonen, 2021; Shin et al., 2018; Sotgiu, 2016)があります。
  • 内容分析やテキスト分析で自由回答から素朴な幸福観を抽出した研究も蓄積されています(Cabanas & González-Lamas, 2024; Carlquist et al., 2017; Doi, 2026; Nilsson, Hellryd & Kjell, 2022; Nilsson, Eichstaedt, Lomas, Schwartz & Kjell, 2024; Uchida & Kitayama, 2009)。
  • ただし限界もあります。多くは人手によるコーディングに頼るため、分類が事前に想定された枠組みに依存しやすいこと。また、テキストマイニングを用いた最近の研究(Nilsson et al., 2022, 2024)も、構成要素の特定が主眼で、要素同士がどう組織されているかにはあまり注意が向けられていないことです。
▼ 系譜3:テキスト分析(自然に生じた文章から意味を回収する)
  • 辞書、政治演説、書籍など、文章資料に埋め込まれた意味から幸福の理解を回収しようとする研究もあります。
  • Mogilner, Kamvar & Aaker (2011) は1200万件以上の個人ブログを分析し、「happy」と共起する感情から、幸福の意味が生涯の段階によってどう変わるかを調べました。
  • Oishi, Graham, Kesebir & Galinha (2013) は多様な文章資料で幸福がどう定義・記述されているかを分析し、国や時代による意味の変化をたどりました。
  • 自然な文脈での理解に迫れる強みがある一方、文章資料には個人単位の人口統計的属性が含まれないことが多く、特定の意味を特定の社会集団と結びつけたり、集団差を細かく調べたりするのが難しいという限界があります。
▼ 系譜4:スキーマ/ネットワークに基づく手法
  • Hunzaker & Valentino (2019) は、文化的スキーマを直接測定する概念連想ネットワーク手法を導入し、貧困スキーマの構造(概念がどうまとまり、どうつながるか)がリベラルと保守で系統的に異なり、それが政策選好を予測することを示しました。
  • Teulings et al. (2026) は評定尺度の項目からウェルビーイングのネットワークを構築し、ウェルビーイングの各領域の境界は明確に分離できるものではなく、構造的に曖昧で相互に浸透していることを示しました。
  • こうした手法は、従来法では見えない構造的性質を明らかにできますが、対象概念の構成要素があらかじめ特定されている場合に最も有効です。幸福には構成要素についての合意がないため、ボトムアップの手法が必要になる、というのが論文の位置づけです。

■ 4. この研究が採用する「単語連想」の方法論的基盤

  • 論文が用いるのは Wulff & Mata (2022) が示した自由連想に基づくマッピング法(ミニ・スノーボール単語連想課題)です。まず対象概念(例:幸福)から連想する単語を挙げ、次にその単語から連想する単語をさらに挙げてもらい、単語をノード、連想をエッジとしてネットワークを作ります。ネットワーク内のコミュニティ(密につながる単語の集まり)を検出することで、概念を下位のまとまりに分解できます。Wulff & Mata (2022) では、同じコミュニティに属する単語は意味的・文脈的に近い関係を持つと想定されています。
  • 単語連想から得た意味表象は、テキストの共起データから得たものよりも人間の判断や行動を正確に予測することが示されています(De Deyne, Navarro, Perfors & Storms, 2016)。
  • この方法は、スキーマを概念連想のネットワークとして捉える文化社会学の近年の展開とも整合します(Boutyline & Soter, 2021; Hunzaker & Valentino, 2019; Vaisey, 2009)。
  • 個人の意味ネットワークを自由連想で測る際、手がかり語ごとの回答数が重要であることも指摘されています(Aeschbach, Mata & Wulff, 2025)。
▼ 日本語の手がかり語について
  • 日本では「幸福(こうふく)」が調査研究でhappinessに対応する語として一般的に使われ、「ウェルビーイング」というカタカナ語より日常語に根づいています。
  • もう一つの一般的な語「幸せ(しあわせ)」は、日本では主にヘドニックなウェルビーイング(快や満足の感覚)と結びつきやすいという研究があります(Kumano, 2018)。多次元的なスキーマを捉えるため、論文は「幸福」とその対義語「不幸」を手がかり語としています。

■ 5. 幸福観の集団差:何を挙げるかは調べられてきたが、どう組織するかは手薄

  • 幸福の「水準」が人口統計的・社会経済的集団で異なることは多くの研究が示しています(Fujita, Diener & Sandvik, 1991; van der Meer, 2014; Veenhoven, 2010)。
  • 幸福の「理解」が性別、年齢、国によって異なることを示す研究も増えています(Bojanowska & Zalewska, 2016; Delle Fave et al., 2016; Karasawa et al., 2011; McMahan & Estes, 2012; McMahan, Ryu & Choi, 2014)。
  • ただし、これまでの研究の多くは「人々が何を挙げるか」の差を捉えてきたのであって、「要素をどう組織するか」の差までは捉えていない、と論文は整理しています。
▼ 性別
  • 女性は対人関係や感情経験の重要性を強調しやすく、男性のウェルビーイングは雇用などの社会経済的要因の影響をより強く受けるようだ、という知見があります(van der Meer, 2014)。
  • こうした差は、性格特性の遺伝的差異(Briley & Tucker-Drob, 2017; Schmitt, Realo, Voracek & Allik, 2008; Weisberg, DeYoung & Hirsh, 2011)や、ジェンダー役割期待の差によって部分的に説明されるとされます。役割期待への同調は社会的に報われ、逸脱は制裁や反発を招きやすいため、性別によって異なる「良い人生」の理想が内面化されやすい、とされます(Good & Wood, 1995)。
  • 女性は感情表出が豊かだと見なされ、感情を表す社会的許容も大きいとされます(Grossman & Wood, 1993)。
  • 男性については「稼ぎ手」であることを重視する社会的役割があり、社会経済的地位と自尊心が密接に結びつくため、地位の達成・維持に失敗すると特に深刻な影響が出うる、とされています(Bowman, 2023; Kowalewska & Vitali, 2024)。
▼ 教育
  • 古典的枠組みとして Maslow (1954) の欲求階層説があり、地位の低い人は基本的欲求の充足に、地位の高い人はより高次の欲求に焦点を当てると論じます。
  • Nussbaum (2000, 2006) は、感覚・想像力・思考といった人間の「ケイパビリティ(人が価値ある目的を実現できる能力)」が教育を通じて育まれると論じています。
  • 実証的には、高学歴の人は幸福を徳や自己充足の観点で定義しやすいことが報告されています(Rojas, 2005)。
  • 教育とエウダイモニック・ウェルビーイング、特に自律性や人生の目的との正の関連も示されており(Curhan et al., 2014; Ryff, 2014)、人格的成長と人生の目的は学歴と最も強い正の関連を示すとされます(Ryff, Boylan & Kirsch, 2021)。

■ 6. 不幸は幸福の「裏返し」ではない

▼ 独立した概念としての不幸
  • 不幸を幸福尺度の低い端と見るのではなく、それ自体を独立した概念として検討する重要性が強調されてきました(Kagan, 2014)。
  • ポジティブ感情とネガティブ感情が独立であるという古典的知見(Diener & Emmons, 1984)を踏まえ、論文は幸福と不幸を「部分的に重なりつつも異なる経験領域」として捉えます。
  • 幸福と不幸を並べて分析した研究は、共通する意味要素と固有の意味要素の両方を見いだし、両者が単純な正反対ではないことを示しています(De Paola et al., 2021; Uchida & Kitayama, 2009)。
▼ 不幸の多面性
  • Headey, Holmstrom & Wearing (1985) は、経済的困難、健康問題、社会的支援の欠如など多くの要因が不幸に寄与することを示しました。
  • Møller & Roberts (2019) は、親密な関係が人々の最悪の経験の中心にあり、愛する人の死、否定的な人間関係、家庭内の不和などが挙げられ、とくに近しい人の喪失が最も頻繁に言及されたことを報告しています。
  • 不幸に関する自由回答の分析も進められてきました(De Paola et al., 2021; Sotgiu, 2016; Uchida & Kitayama, 2009)。しかし論文は、不幸をスキーマとして見たとき、その構成要素と要素間の関係の双方がまだ十分に捉えられていないと指摘します。
▼ 不幸における集団差
  • 性別については、女性は男性よりネガティブ感情が強い一方でポジティブ感情も強く、結果として全体の幸福水準は両性で同程度になる、という研究があります(Fujita et al., 1991; Headey & Wooden, 2004)。
  • 女性の感情表出傾向を考慮しても、女性はなお男性より大きな苦痛を経験する傾向があるとされ、ジェンダー化された幸福・不幸の経験に社会構造が関わることが示唆されています(Mirowsky & Ross, 1995)。
  • 男性については、稼ぎ手としての期待から社会経済的地位が自尊心と結びき、その達成・維持の失敗が不幸に特に深刻な結果をもたらしうるとされます(Crowley, 1998)。
  • 教育については、教育は幸福を直接高めないという研究(Veenhoven, 2010)と、情緒的・身体的な苦痛を減らしうるという研究(Ross & Van Willigen, 1997)があります。さらに Nikolaev (2018) は、高等教育が生活満足度と負の関連を示す一方、エウダイモニック(意味・目的)やヘドニック(快)なウェルビーイングにはその関連が及ばないことを見いだしており、教育と幸福の関係は、どの次元のウェルビーイングを見るかに依存する複雑なものと考えられています。

■ 7. 背景のまとめ:この研究が埋めようとした空白

  • 幸福は理論的にも政策的にも重要だが、一般の人々がそれをどう理解しているかは、質問紙(トップダウン)では捉えきれず、自由回答やテキスト分析(ボトムアップ)でも「構成要素のリスト」の把握にとどまりがちだった。
  • 文化社会学のスキーマ論は、幸福観を「概念の連想ネットワーク」として捉える視点を与えるが、既存のネットワーク手法は構成要素が事前に分かっている場合に向いており、合意のない幸福にはボトムアップの手法が必要だった。
  • 集団差は主に「何を挙げるか」の水準で調べられ、「どう組織するか」の差は手薄だった。
  • 不幸は幸福の裏返しではないことが示されてきたが、スキーマとしての不幸の構成要素と構造は十分に調べられていなかった。
  • こうした空白に対して、論文は Wulff & Mata (2022) の単語連想法と De Deyne et al. (2016) が示した連想データの妥当性を土台に、日本での調査を通じて幸福と不幸のスキーマの構成要素・構造・集団差を同時に扱おうとしています。
補足 2

【研究内容】

■ この研究が明らかにしようとしたこと

「幸福とは何か」を普通の人々はどう考えているのか。この論文(Lyu et al., 2026)は、幸福に結びつけられる要素を列挙するだけでなく、それらの要素がどのように結びつき、どれが中心的な位置を占めるのかという「構造」まで捉えようとしています。

著者たちは、日常的な幸福の観念を「スキーマ」として捉えます。スキーマとは、人が情報を解釈し、物事を評価し、行動を導くために用いる、心の中の組織化された知識構造のことです。Boutyline & Soter (2021) の定義では、文化的スキーマは「自動的な認知の中で用いられる、社会的に共有された表象」であり、概念をノード(点)、暗黙の連想をエッジ(線)とする「概念ネットワーク」として表せるとされます。幸福なら、健康・おいしい食事・人とのつながりなどが自動的に結びついて想起される、という具合です。

研究の問いは3つに整理できます。

  • 幸福と不幸の日常的観念は、どんな構成要素からなり、どのような構造で組織されているか。
  • その構造は性別や学歴といった社会的属性によって異なるか。
  • 不幸は単に幸福の反対(スコアの低い側)なのか、それとも別の構造を持つ概念なのか。

■ 先行研究の限界と、この研究の位置づけ

▼ 従来の測定法の問題点
  • 質問紙法:研究者が理論に基づいて用意した項目に答えてもらう方式。理論と一致する結果が出やすい一方、回答者自身の考えを表現する余地が小さい。
  • 自由記述法:「あなたにとって幸福とは?」と尋ねる方式(Uchida & Kitayama, 2009 など)。ボトムアップだが、多くの研究では人間による分類(コーディング)に依存し、暗黙の枠組みが入り込みやすい。また、要素の同定に重点が置かれ、要素同士の関係はあまり検討されていない。
  • テキスト分析:ブログや書籍などを分析する方式。自然な文脈を扱える反面、個人の属性情報が乏しく、集団間の差を調べにくい。
▼ この研究のアプローチ

Wulff & Mata (2022) が「リスク」の意味表現の研究で用いた「ミニ・スノーボール単語連想課題」を幸福・不幸に適用しました。連想語を集めてネットワークを作り、コミュニティ検出(つながりの密なグループを自動的に見つける手法)で要素を抽出するため、研究者があらかじめカテゴリーを決める必要がありません。また、調査に人口統計変数を組み合わせることで、集団差も分析できます。連想課題から作った意味表現は、テキストの共起データから作ったものより人の判断や行動をよく予測することが示されています(De Deyne et al., 2016)。

Hunzaker & Valentino (2019) が「貧困」のスキーマ構造が政治的立場によって異なることを示したように、スキーマ・ネットワーク的手法は構造的な違いを可視化できます。ただし既存手法は構成概念が事前に定まっている場合に有効で、幸福のようにコンセンサスがない概念にはボトムアップ型が必要だ、と著者らは論じています。


■ 方法

▼ 調査と連想課題
  • 日本で20〜79歳を対象にオンライン調査を実施。性別・年齢層で層化し、計2,507件の回答を得た。
  • 手がかり語は「幸福」と「不幸」。日本語の「幸せ」は快楽的な幸福(ヘドニック)に結びつきやすいという研究(Kumano, 2018)を踏まえ、多次元的な観念を捉えるために「幸福」が選ばれた。
  • 参加者はまず「幸福」「不幸」それぞれから連想する語を5つ挙げ、次にその5語それぞれについてさらに3語を挙げた。深く考えず自発的に答えること、文章ではなく単語で答えることが求められた。
▼ データ処理
  • 「わからない」「特になし」などの無効回答を除外。幸福課題で有効回答が全くなかった202名、不幸課題で215名を、それぞれの分析から除いた。
  • 幸福で78.6%、不幸で76.5%の回答者は無効回答率が10%未満で、多くの人が比較的完全に回答していた。
  • 表記が異なるが意味が同じ語(例:仮名と漢字)は手作業で統合。結果として幸福で11,320種、不幸で11,124種のユニークな回答語が得られた。
▼ ネットワークの構築
  • 出現頻度が2を超える語を対象に、語のペアを結んで無向ネットワークを作成。エッジの重みは連想ペアの出現回数。
  • 次数(つながる相手の数)が2未満のノードは除外。
  • 最終的に幸福ネットワークはノード1,436、エッジ8,905。不幸ネットワークはノード1,392、エッジ8,110。
  • Louvainアルゴリズム(モジュラリティという指標を最大化して、つながりの密なグループを見つける手法)でコミュニティを検出。同じコミュニティの語は意味的・文脈的に近いと解釈し、それぞれを幸福・不幸の「構成要素」とみなした。
▼ 集団差の分析(2段階)
  1. コミュニティ(要素)レベル:各参加者がそれぞれの要素に属する語を何個挙げたかを数え、負の二項回帰(カウントデータ用の回帰モデル)で予測。説明変数は性別(女性=1)、学歴(中学卒から大学院卒までの6段階)、統制変数として年齢層(20代を基準)、収入、無効回答数。
  2. 単語レベル:各単語について、集団ごとの出現回数と他の語の出現回数から分割表を作り、ポアソン対数線形モデルを推定。交互作用項の係数が、その語の相対的な出現頻度が集団間でどれだけ異なるかを示す。多重比較にはBenjamini–Hochberg法(偽発見率の調整)を用い、コミュニティごとに補正。著者らはこの単語レベル分析を「探索的・記述的」なものと位置づけている。

■ 結果1:幸福と不幸の構成要素

▼ 幸福の8つの要素(中心的な語の例)
  • 食(Food):食事、満腹、食べ物、おいしい
  • 健康(Health):健康、元気、家族の健康、快適、生きる
  • 休息(Rest):自由、睡眠、時間、リラックス、旅行
  • 富(Wealth):お金、財産、豊か、余裕、収入
  • 喜び(Joy):楽しい、笑顔、幸せ、満足、趣味
  • 関係(Relationships):家族、友人、子ども、愛、家庭
  • 安心(Security):平和、安定、安心、安全、日常
  • 目標(Goal):夢、希望、将来、仕事、やりがい
▼ 不幸の9つの要素
  • 孤独(Loneliness):孤独、孤立、うつ、寂しい、絶望
  • 貧困(Poor):金欠、貧しい、貧困、借金、失業
  • 別離(Separation):死、別れ、悲しみ、死別、家族の死
  • 病気(Illness):病気、不健康、痛み、家族の病気、入院
  • 争い(Conflict):戦争、けんか、いじめ、裏切り、不和
  • 失敗(Failure):失敗、人生の後悔、後悔、挫折、失望
  • 災難(Misfortune):事故、けが、傷、不運、交通事故
  • ストレス(Stress):ストレス、仕事、疲労、不安、不便
  • 災害(Disaster):災害、自然災害、地震、火事、被害

著者らは、「災害」が独立した要素として現れたのは、自然災害の多い日本の文脈を反映している可能性が高いと述べています。


■ 結果2:要素同士のつながりと「橋渡し語」

▼ 要素間の結びつきの強さ

異なるコミュニティ間のエッジ重みを合計し、ネットワーク内の最大値で割って正規化(最大が1.00)しました。

幸福スキーマでは、「喜び」が多くの要素と強く結びついていました。

  • 喜び–関係:1.00(最強)
  • 喜び–休息:0.56
  • 喜び–安心:0.44
  • 喜び–富:0.39
    また「富–安心」が0.52と強く、経済的な豊かさが安心感と密接に結びついて捉えられていることが示されました。

不幸スキーマでは「貧困」がより中心的な位置を占め、「孤独」のような否定的感情の要素も多くの要素と結びついていました。

▼ 媒介中心性が高い語(複数のコミュニティを橋渡しする語)

媒介中心性とは、ネットワーク内で他のノード同士の最短経路上にどれだけ位置するかを表す指標で、高いほど「橋渡し」の役割が大きいことを意味します。

幸福ネットワーク:

  • 健康(0.366):最も高く、幸福スキーマの主要な橋渡し語。
  • 家族(0.326):喜びコミュニティの「笑顔」と最も強く結びつき、これはネットワーク全体で最も重いコミュニティ間エッジ。家庭内の温かさや調和が喜びの中心的な源であることを示唆。
  • お金(0.273):目標コミュニティの「仕事」と最も強く結びつく。

不幸ネットワーク:

  • 病気(0.513):最も高く、幸福側の「健康」(0.366)を上回る。最も強いコミュニティ間の結びつきは別離コミュニティの「死」で、これはネットワーク全体で最も重いエッジ。病気が死への直接の経路として捉えられていることを示す。病気は「お金」(貧困)、「孤独」「絶望」(孤独)とも結びつく。
  • 死(0.419)
  • 貧しい(0.260)、貧困(0.206)、お金(0.201)、金欠(0.100):経済的困窮が不幸スキーマで重要な役割を果たす。「貧しい」はストレスコミュニティの「不便」「不安」と最も強く結びつき、貧困の主な経験が不安だけでなく自由の制約として捉えられていることを示唆。さらに「絶望」(孤独)、「悲しみ」(別離)ともつながる。

■ 結果3:性別・学歴による差(要素レベル)

▼ 性別
  • 女性は男性より、幸福の要素として「関係」と「喜び」に属する語を多く挙げた。
  • 女性は不幸の要素として「孤独」に属する語を多く挙げた。
  • 男性は女性より、幸福の要素として「富」に属する語を多く挙げた。
  • 不幸側の「貧困」については、性別による有意な差はみられなかった。

著者らは、女性の結果は、女性が心理的・感情的な問題に敏感で親しい人から情緒的支援を求めやすいとする先行研究(Bedrov & Gable, 2022; Fuhrer et al., 1999)と整合すると述べています。男性の結果は、社会的期待や男性的自己アイデンティティが男性により大きな経済的要求を課すとする研究(Crowley, 1998 など)と一致するとしています。

▼ 学歴
  • 学歴が高いほど、幸福の要素として「目標」(夢、希望、達成に関わる意味)に属する語を多く挙げた。
    著者らはこれを、教育が人間の能力を育むとする能力アプローチ(Nussbaum, 2000, 2006)や、有利な立場の人が高次の欲求を前面に出しやすいとする欲求階層説(Maslow, 1954)と関連づけて解釈しています。

■ 結果4:単語レベルの差

同じ要素の中でも、集団によって強調する語が異なることが示されました。性差が最も顕著だった「富」と「喜び」が例示されています。

▼ 富コミュニティ
  • 男性は「お金」「資産」「収入」といった語を相対的に多く挙げた。幸福を財務的な側面と結びつけていることを示す。
▼ 喜びコミュニティ
  • 要素全体としては女性のほうが多く挙げていたが、語ごとに見ると男性は「ゲーム」「スポーツ」「遊び」を相対的に多く挙げた。
  • 女性は「笑顔」「楽しい」「喜び」といった感情的にポジティブな体験を表す語を相対的に多く挙げた。

つまり、同じ「喜び」という要素でも、集団によって込められている意味が異なりうる、ということです。


■ 考察

▼ 先行理論との整合と日本的な特徴
  • 抽出された要素は研究者が事前に設定したものではなく、回答から自発的に浮かび上がったものである。
  • 「喜び」は感情的・快楽的な次元(Diener et al., 2018)、「目標」は目的志向的・エウダイモニア的な次元(Ryan & Deci, 2000)に対応し、既存理論と整合する。
  • 関係、健康、富、喜び、目標、休息は、他国で報告された幸福の要素(Delle Fave et al., 2016)と共通する。
  • 一方、インド・南アフリカ・ブラジルなどで目立つ「スピリチュアリティ・宗教」は日本の回答者では顕著な要素として現れなかった。
  • 「食」が幸福の構成要素として浮かび上がった。食と幸福の関係は研究されてきたが(Neve et al., 2025)、幸福の構成要素として同定されることは稀だった。
▼ 構造から見えること
  • 幸福スキーマでは「喜び」が中心にあり、ポジティブな感情が他の要素を統合する役割を果たしていることが示唆される。
  • 不幸スキーマでは「貧困」が中心にあり、「孤独」も多くの要素とつながる。経済的困窮と否定的感情が不幸を組織する重要な要素になっている。
  • 「食」は「関係」より「喜び」と強く結びついていた。先行研究では他者と食事を共にすることが幸福や社会的つながりと関連するとされる(Neve et al., 2025)が、日本を含む東アジアでは共食の頻度が比較的低いことを踏まえ、著者らは日本では食の役割が社会的絆よりも個人的な快楽・満足として表れている可能性を示唆しています。ただしこれは今後検証すべき解釈として提示されています。
▼ 不幸は幸福の裏返しではない
  • 「富」と「貧困」は概念上は対応するが、幸福スキーマで「富」は「安心」と最も強く結びつくのに対し、不幸スキーマで「貧困」は「ストレス」「孤独」といった感情的な要素と強く結びついていた。
  • 「富」には性差(男性が重視)があったが、「貧困」には対応する性差がなかった。
  • つまり対応する要素であっても、2つのスキーマの中で異なる位置を占め、異なる社会的意味を持ちうる。幸福と不幸を別個の概念として捉える必要性を裏づける結果とされています。
▼ 手法の意義

著者らは、単語連想ネットワークが、幸福・不幸の日常的観念の要素・構造・集団差を捉える有用な枠組みであると結論づけ、人生の意味、健康、社会関係など他の概念にも応用できる可能性を挙げています。また、より文化的に根ざした測定尺度の開発への実践的示唆があるとしています。


■ 研究の限界(著者らの指摘)

  • 非確率標本のオンライン調査であるため、代表性は保証されず、一般化には限界がある。
  • 要素間の関係や集団差についての説明は先行研究に基づく解釈であり、本研究内で検証されたものではなく、仮説的なものにとどまる。
  • 二次連想語の数を3語に限定した。回答負担を抑えるためだが、表現の複雑さが制限され、意味のある連想が漏れた可能性がある。自由連想で個人の意味ネットワークを構築するには手がかり語ごとの回答数が重要である(Aeschbach et al., 2025)。
  • 表記揺れの統合方法は結果に影響しうる。本研究は意味の豊かさを保つため最小限の統合にとどめたが、これは仮名・漢字の表記選択が属性を反映しうる(Shioda, 2018)ことも考慮した判断であり、トレードオフがある。
  • 「わからない」といった回答を除外したが、これらも概念理解に関する情報を持つ可能性があり、今後の検討課題とされている。

データとコードは公開リポジトリで入手可能とされています。

補足 3

会話形式での紹介はこちら😊
はぴテク相談室:「わたしの幸せって何?」を頭の中の地図で探してみる
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-09-29-1790615641/

論文紹介 やってみようありがとうなんとかなる 主観的幸福・幸福測定文化と幸福・日本的幸福

📮 毎週土曜の朝、メールで届きます

その週にご紹介したウェルビーイング研究のダイジェストを無料でお届けします。

確認メールのリンクで登録完了。いつでも配信停止できます。 📧 サンプルを見る

← 検索にもどる