ウェルビーイングの調査・報告書

2026年版テーマ:幸福とソーシャルメディア(Happiness and Social Media)

World Happiness Report 2026(2026年3月)

オックスフォード大学 ウェルビーイング研究センター(Wellbeing Research Centre)。Gallup、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)、独立した編集委員会と連携

世界幸福度報告(World Happiness Report)2026年版は、2023〜2025年の平均で国別の幸福度を順位づけた号である。首位は今回もフィンランドで、アイスランド、デンマーク、コスタリカが続く。コスタリカの4位は中南米の国として過去最高である。特集はソーシャルメディア(SNS)で、報告書は「SNSのヘビーユーザーは、特に英語圏と西欧でリスクにさらされている」と結論づけている。

この号の内容

首位はフィンランド、4位に中南米国

北欧諸国が今回も上位を占め、フィンランドが単独首位、続く2〜4位はアイスランド、デンマーク、コスタリカである。5・6位はスウェーデンとノルウェー、7〜10位はオランダ、イスラエル、ルクセンブルク、スイスである。2006〜2010年を基準とした変化では、比較できる136か国のうち有意に上昇した国が79か国あり、有意に低下した41か国のほぼ2倍である。1点以上上がった21か国の多くは中・東欧の国で、1点を超えて下がった8か国の多くは大きな紛争地域かその近くにある。一方、西側の工業国の多くは2005〜2010年より幸福度が下がっており、有意な低下は15か国、有意な上昇は4か国である。

📖 報告書では:第1章「Executive summary」の第2章要約「Trends in global happiness」(p.8)

北米・豪州・NZで若者の幸福が急落

25歳未満の幸福度の変化を国別に並べると、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド(報告書の呼び名はNANZ地域)は136か国中122〜133位にとどまる。10の地域のうち8地域(世界人口の約9割)では、最も若い年齢層の生活評価が2006〜2010年より高い。若者の幸福が絶対値でも大人との比較でも下がったのは、NANZと西欧だけである。25歳未満の生活評価を2006〜2011年と2020〜2025年で比べると、NANZは7.542から0.812点下がった。西欧は0.312点、英国・アイルランドは0.416点下がり、中南米は0.264点上がっている。ネガティブ感情(心配・悲しみ・怒り)はすべての地域で増えている。ただしポジティブ感情は依然としてネガティブ感情の2倍の頻度で現れ、若い世代が上の世代より高いという優位が消えたのはNANZだけである。

📖 報告書では:第1章 p.8、第2章 表2.2「Changes in happiness for under-25s」(p.41)、図2.5・2.6(p.37–38)

1日7時間超のSNS利用と生活満足度

OECDの学習到達度調査PISA(47か国の15〜16歳、27万人超が回答した2022年調査)では、SNSを1日7時間を超えて使う生徒は、1時間未満の生徒より生活満足度がかなり低い。西欧の女子ではその差がほぼ1点(10点満点)に達し、他地域の女子のほぼ2倍である。男子の差は、西欧でほぼ0.5点、それ以外の35か国ではほぼゼロである。女子では、利用が1時間未満の層で満足度の平均が最も高く、利用時間が長いほど下がる。男子でこの傾向が見られたのは西欧と英語圏だけである。また、最も長く使う層(7時間以上)とSNSを使わない層では、満足度が最高(10)の生徒も最低水準(0〜4)の生徒も多く、軽度・中程度の利用者よりばらつきが大きい。

📖 報告書では:第1章 p.7、第5章要約(p.10)、第5章 表5.1(p.145)

使い方と種類で結びつきが変わる

PISAで調べた7種類のネット利用のうち、連絡・ニュース・学習・コンテンツ制作は生活満足度の高さと、SNS・ゲーム・娯楽目的の閲覧は低さと結びついている。どの利用も極端に長くなると満足度は低くなり、その傾向は女子と、PISAに参加した英語圏の2か国である英国・アイルランドで特に強い。中南米のデータでは、人とのつながりを主目的とするプラットフォームは幸福度とはっきり正の関係にある。これに対し、アルゴリズムで選ばれたコンテンツが中心のプラットフォームは、利用が多いと負の関係を示す傾向がある。SNSの普及率や利用パターンはどの国でも似ているが、生活評価との結びつきは英語圏と西欧で強い。ただし報告書は、この違いだけでは両地域の若者の幸福の大きな低下は説明できないとしている。

📖 報告書では:第1章の第2章要約「Happiness and social media」(p.8–9)、第2章まとめ(p.61–62)

学校への帰属感はSNSの4〜6倍

学校への帰属感(学校に居場所があると感じる度合い)が低い水準(下位10%の位置)から高い水準(上位90%の位置)に移ったときの生活満足度の差を、SNS利用が多い水準から少ない水準に移ったときの差と比べた。英国・アイルランドの女子では、帰属感の差がSNSの差の4倍、PISAの47か国全体では6倍である。報告書は、この点を政策を検討する際に考慮すべきだとしている。学業成績、学校への帰属感、生活満足度の3つでは、SNSの利用が中程度のときに結果が最も良い(「ゴルディロックス仮説」と呼ばれる)。一方、学校の出席率だけは、ネットは使えるがSNSを使わない生徒で最も高い。

📖 報告書では:第1章 p.9、第2章まとめ(p.59–62)

害の主張と、その証拠の扱い方

第3章で、SNS批判の代表的論者であるハイト(Jonathan Haidt)とラウシュ(Zach Rausch)は、若者への調査、企業の内部文書、SNSを減らす実験など7系統の証拠を挙げる。そのうえで、ネットいじめや性的脅迫(セクストーション)といった直接の害については圧倒的な証拠があると主張する。さらに、2010年代初めのSNSの急速な普及が、多くの西側諸国で起きた精神疾患の増加に大きく寄与したと結論づけている。これに対し第4章は、注目度の高い3つの公的報告書を分析している。3報告書は似た種類の研究を引用していながら、引用文献の重なりは1%未満で、結論や政策提言も異なる。報告書全体としては、SNSが若者の幸福低下のすべてを説明するわけではないが、特に一部の国では重要な説明の一部になっているとまとめている。

📖 報告書では:第1章 p.7、第3章・第4章の要約(p.9–10)

大学生の本音、所得差、中東・北アフリカ

第6章では、米国の大学生の多数が「SNSが存在しなければよかった」と考えていると報告する。他人が使うから自分も使っている、という構図である。第7章は43か国の若者を分析し、問題のあるSNS利用(依存的な使い方)がすべての国で心身の不調の多さや生活評価の低さと結びついていることを示す。この結びつきは家庭の社会経済的地位が低い層ほど強く、2018年から2022年にかけて強まった。第8章は欧州社会調査(30か国、2016〜2024年)を用い、ネット利用と幸福度の関係がZ世代で強い負、ミレニアル世代で中程度の負、X世代でほぼゼロ、ベビーブーマーでわずかに正であることを示す。第9章によると、中東・北アフリカでは2023〜2024年に利用者の20〜40%が1日5時間を超えてSNSを使っている。若者の幸福は低下していないものの、ヘビーユーザーほどストレスや抑うつ症状が多い。

📖 報告書では:第1章 p.7、第6〜9章の要約(p.10–12)

日本の結果

日本の生活評価は6.130点で61位(147か国中)である。順位の95%信頼区間(推定の誤差を考えた幅)は49〜72位と広い。前後は60位モンテネグロ(6.139)と62位キプロス(6.126)で、近隣国では中国が65位(6.074)、韓国が67位(6.040)である。第3章が取り上げたMeta社の内部調査は日本を含む6か国が対象で、10代女子の3人に1人が「Instagramで体型の悩みが悪化した」と答えている。第5章のPISA分析では、日本は「アジア」地域の一国として扱われている。

この号の調べ方

国別順位は、Gallup世界世論調査のキャントリルの梯子(0=最悪の人生、10=最良の人生として、自分の人生が今どこにあるかを答える質問)を2023〜2025年の3年分平均したものである。若者の動向は2006〜2025年のGallupデータ(図2.5では165か国・584,847件)で分析している。SNSとの関係は、2022年のPISA(47か国の15〜16歳、27万人超)、中南米の調査、欧州社会調査(30か国)、43か国の若者調査などで検証している。

この号から言えること

  • SNS利用が長い若者ほど生活満足度が低い傾向があるが、その結びつきの強さは地域で大きく違い、英語圏と西欧で強く、中南米などでは利用が多くても若者の幸福度が高い。
  • 問題は利用時間だけでなく使い方とプラットフォームの種類にある。つながりを主目的とするものは幸福度と正の関係、アルゴリズムによるコンテンツ中心のものは利用が多いと負の関係を示す傾向がある。
  • 学校への帰属感と生活満足度の結びつきはSNS利用の4〜6倍大きく、報告書は政策を考えるうえでこの点を重視するよう求めている。
  • オーストラリアは2025年12月に10のSNSの利用年齢の下限を13歳から16歳に引き上げ、デンマーク・フランス・スペインも同様の規制を計画している。報告書は、そうした政策の評価に本書の証拠が役立つことを期待している。

読むときの注意

報告書の分析の多くは、SNS利用と幸福度の関連(相関)を示すものである。因果を強く主張する第3章と、証拠のまとめ方に慎重さを求める第4章が同じ号に並んでいる。また、若者の幸福が最も大きく下がったNANZ諸国は2022年のPISAで生活満足度を集計しておらず、PISAの満足度分析には含まれていない。日本の順位も信頼区間が49〜72位と幅があるため、近い順位の国との細かな差は誤差の範囲にある。

出典

主に参照した箇所:本文PDF 第1章 p.5–12(全章要約)、第2章 p.37–41・p.59–62、第3章(Meta内部調査の記述)、第5章 表5.1(p.145)、国別順位図(日本61位の箇所)。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

あわせて読む 世界の主要ウェルビーイング研究 → 調査の数字の背景にある研究を。幸せの研究の著名論文2,358本を、要旨・研究の系譜・28の概念で。 最新の論文は 世界の最新ウェルビーイング研究 → AIが毎日集める最新の論文データベース。調査を使った新しい研究もここに。
URL・数字は公式の資料で確かめたものだけを載せ、各ページに確認日を添えています。順位や割合は版によって変わるので、引用するときは各版の公式資料をご確認ください。調べものと記入はAI(Claude)を活用し、はぴテックが確認しました。 調査・報告書の一覧(Excel)
© 株式会社はぴテック