ウェルビーイングの調査・報告書

報告書・指針毎年データ:集計表のみ

世界幸福度報告

World Happiness Report(WHR)

オックスフォード大学 ウェルビーイング研究センター(Wellbeing Research Centre)。Gallup、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)、独立した編集委員会と連携

各国の人が自分の人生を0〜10で評価した平均を、3年分まとめて国別ランキングにする年次報告書。
対象
15歳以上
対象の国・地域
147か国(2025年版・2026年版の順位表)
規模
各国 年約1,000人(Gallup World Poll)。順位は直近3年分の回答を合わせて算出
方法
横断調査
頻度・期間
毎年(2012年〜2026年)・例年3月ごろ発表
幸福の測り方
キャントリルの梯子(0〜10。最悪の人生=0、最良の人生=10)の3年平均で国別順位。ポジティブ感情・ネガティブ感情も併記
データの入手
集計表のみ worldhappiness.report/data-sharing/ ↗

日本の生活評価(キャントリルの梯子)の3年平均の推移

日本・15歳以上(Gallup World Poll)(点(0〜10))・各年版の公式資料から
5.876.006.136.065.876.1313151617192021222426

横軸は報告書の発行年で、値はその前の3年間の平均(例:2026年版=2023〜2025年平均)。2012・2018・2023・2025年版は要約に点数が無く順位のみのため除いた。

どんなレポートか

世界幸福度報告(World Happiness Report/WHR)は、世界各国の人々の幸福度を比べ、それをどう高められるかを論じる年次報告書である。2012年4月に初回が出た。初回はジョン・ヘリウェル、リチャード・レイヤード、ジェフリー・サックスの3人が編集し、「幸福は社会ごとに体系的に異なり、その理由は特定でき、公共政策によって変えることもできる」と打ち出した。現在はオックスフォード大学ウェルビーイング研究センター(Wellbeing Research Centre)が発行している。調査会社Gallup、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)、独立した編集委員会と連携している。公式サイトによれば、2012年以来150人を超える著者が100を超える章を執筆し、140か国以上の公開データを提供している。

何をどう測っているか

土台は、Gallupが世界各国で行う世論調査「Gallup World Poll」である。各国で毎年約1,000人の15歳以上に、自分の人生を梯子にたとえて0(最悪の人生)〜10(最良の人生)で評価してもらう。この質問を「キャントリルの梯子」と呼ぶ。直近3年分の回答を平均して国別順位を出し、2026年版は2023〜2025年の平均で147か国を並べた。順位は6つの要因を合成した指数ではなく、人々自身の人生評価という一つの質問だけに基づく。そのうえで報告書は、国ごとの差を6要因でどこまで説明できるかを分析している。6要因とは、1人あたりGDP、社会的支え(頼れる人がいるか)、健康寿命、人生の選択の自由、寛容さ(寄付など)、腐敗の認識である。順位表には推定の誤差を考えた95%信頼区間も示され、ポジティブ感情・ネガティブ感情の頻度も併記される。毎年テーマ章があり、2026年版では、OECDの15歳対象調査PISA、中南米のデータ、欧州社会調査(ESS)など、Gallup以外のデータも使ってソーシャルメディアと幸福の関係を分析している。

これまでの歩み

初回の2012年版は、上位4か国(すべて北欧)の平均7.6と下位4か国(すべてサハラ以南アフリカ)の3.4という大きな差を示した。この差の約8割は少数の要因で説明できたとしている。2013年版は精神疾患を不幸の最大の単一要因と位置づけ、2015年版は世界金融危機をはさんだ変化の国ごとの違いを、統治の質・信頼・社会的な支えと結びつけて分析した。2016年版アップデートは国内の「幸福の格差」の拡大を取り上げ、2017年版は「幸福の社会的基盤」を重点とした。2018年版は移住を特集し、この年フィンランドが初めて首位に立った。2019年版は「幸福とコミュニティ」、2020年版は社会・都市・自然という「幸福のための環境」を特集し、初めて世界186都市を順位づけた。2021年版は全編をコロナ禍にあて、2022年版(創刊10周年)は寄付や手助けの増加を「善意のパンデミック」と呼んだ。その後のテーマは、2023年版が信頼と支え合い、2024年版が「幸福と年齢」、2025年版が「思いやりと分かち合い」、2026年版が「幸福とソーシャルメディア」である。

分かってきたこと

北欧が上位を占め、フィンランドは2018年から首位

首位は、2016年版がデンマーク、2015年版がスイス、2017年版がノルウェーと入れ替わってきた。2018年版以降はフィンランドが首位を続けている。2022年版のフィンランドは7.821点で、デンマーク(7.636)とアイスランド(7.557)が続いた。2026年版では、首位フィンランドの次にアイスランド、デンマーク、コスタリカが並んだ。コスタリカの4位は中南米の国として過去最高である。

国の差は所得だけでなく信頼や支え合いと結びつく

2012年版は、上位国と下位国の差の約8割が、所得・健康寿命・頼れる人の有無・自由・腐敗の少なさなど少数の要因で説明できると示した。2015年版は、金融危機後の変化の違いを統治の質・信頼・社会的な支えと関連づけた。2021年版は、政府や他人への信頼が幸福を支え、コロナ対策の成否と死亡率の差にも深く関わっていたと結論づけている。2025年版は、人々が他人の親切を悲観的に見積もりすぎており、落とした財布が戻る割合は予想よりはるかに高いと報告した。

危機の中でも人生評価は底堅い

2021年版によれば、コロナ禍1年目でも人生全体の評価は「驚くほど」安定していた。一方で、心配や悲しみを感じた人は約10%増えた。2023年版は、コロナ禍、ウクライナでの戦争、世界的なインフレが重なる中でも、世界の生活評価の平均がコロナ前と同水準を保ったと報告している。ただし2026年版は、ネガティブ感情がすべての地域で増えつつあると指摘する。それでもポジティブ感情の頻度は、ネガティブ感情の2倍を保っている。

北米と西欧の若者の幸福度が下がった

2024年版は、北米で15〜24歳の幸福度が2006〜10年以降に大きく下がり、若者のほうが高齢者より幸福度の低い状態になったことを示した。2026年版では、25歳未満の幸福度の変化の順位で、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドが136か国中122〜133位に並ぶ。世界10地域のうち8地域では、最も若い年齢層の人生評価が2006〜2010年より高い。若者の幸福度が大人と比べても絶対値でも下がったのは、この4か国と西欧だけである。

SNSのヘビーユーザーには、特に英語圏と西欧でリスクがある

2026年版によると、47か国の15歳を対象にしたPISAでは、SNSを1日7時間超使う生徒は1時間未満の生徒より幸福度がかなり低い。西欧の女子ではその差がほぼ1点(10点中)で、他地域の女子のほぼ2倍である。中南米のデータでは、交流を助ける型のSNSは幸福と正の関連を示した。逆に、アルゴリズムで選ばれた投稿が流れる型のSNSは、使用量が多いと負の関連を示す傾向があった。報告書は「SNSのヘビーユーザーは、特に英語圏と西欧でリスクにさらされている」と結論づけたうえで、SNSだけで若者の幸福度低下を説明できるわけではないとも述べている。また、学校への帰属感の差に伴う生活満足度の違いは、SNS使用量の差に伴う違いより大きかった。その差は英国・アイルランドの女子で4倍、47か国全体で6倍である。

日本の結果

日本の順位の推移(各年版の公式資料から)
30位50位70位44位43位62位61位1213151617181920212223242526
日本の生活評価は、2013年版(2010〜12年平均)で6.064点・156か国中43位だった。その後は5.9点前後に下がり、2020年版(2017〜19年平均)では5.871点・153か国中62位となった。以降は持ち直し、2024年版で6.060点・143か国中51位、2026年版で6.130点・147か国中61位である。2026年版の順位の95%信頼区間は49〜72位と広い。項目別では、2019年版で健康寿命が2位、1人あたりGDPが24位と高い一方、寛容さは92位、人生の選択の自由は64位だった。2025年版では、見知らぬ人を助けた割合が147か国中147位で最下位だった。同版によれば、若年成人で親しい人が誰もいない割合は日本で30%を超え、22か国平均の17%を大きく上回る。2024年版の年齢層別の順位は、30歳未満が73位、60歳以上が36位だった。

各年版(14)

  • 2026 World Happiness Report 2026(2026年3月) この号を読む → 世界幸福度報告(World Happiness Report)2026年版は、2023〜2025年の平均で国別の幸福度を順位づけた号である。首位は今回もフィンランドで、アイスランド、デンマーク、コスタリカが続く。コスタリカの4位は中南米の国として過去最高である。特集はソーシャルメディア(SNS)で、報告書は「SNSのヘビーユーザーは、特に英語圏と西欧でリスクにさらされている」と結論づけている。
  • 2025 World Happiness Report 2025(2025年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2025年版は、2022〜24年の3年平均で各国の人生評価を順位づけした号である。首位は8年連続ではなく「今年も北欧が上位を占め、フィンランドが首位」と報告書は記し、日本は147か国中55位である。特集テーマは「思いやりと分かち合い(Caring and sharing)」である。最大の話題は、人々が他人の親切を悲観的に見積もりすぎており、落とした財布が戻る割合は予想よりはるかに高いという点である。
  • 2024 World Happiness Report 2024(2024年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2024(World Happiness Report 2024)は、2021〜23年の3年平均で143か国を順位づけた号である。首位は引き続きフィンランドで、デンマークが僅差で続き、北欧5か国がすべて上位10位に入った。一方、中東欧諸国の上昇などを受けて、米国は前年の15位から23位に、ドイツは16位から24位に下がった。特集は「幸福と年齢」である。北米では15〜24歳の幸福度が2006〜10年以降に大きく下がり、若者が高齢者より幸福度の低い状態になったことが、この号の大きな話題である。
  • 2023 World Happiness Report 2023(2023年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2023年版(第11版)は、最初の報告から10年あまり、国連が3月20日を「国際幸福デー」と定めて10年の節目に出た号である。2020〜2022年の3年平均で、フィンランドが6年連続の首位となり、デンマーク、アイスランドが続いた。最大の話題は、コロナ禍、ウクライナでの戦争、世界的なインフレが重なる中でも、世界の生活評価の平均がコロナ前と同水準を保ったことである。報告書は、その背景として信頼、善意、支え合う人間関係の役割を示している。
  • 2022 World Happiness Report 2022(2022年3月) この号を読む → World Happiness Report 2022は、創刊10周年にあたる号である。2019〜2021年の平均による国別順位では、フィンランドが7.821点で5年連続の首位となり、デンマーク(7.636)とアイスランド(7.557)が続いた。いちばんの話題は、コロナ禍でも人生の評価が底堅く保たれたことである。もう一つは、2021年に寄付・見知らぬ人への手助け・ボランティアが世界のすべての地域で増えたことで、報告書はこれを「善意のパンデミック」と呼んでいる。
  • 2021 World Happiness Report 2021(2021年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2021は、シリーズ9冊目であり、全編を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響にあてた号である。2018〜2020年の生活評価の平均による国別順位では、首位フィンランド、2位デンマーク、3位スイスで、日本は149か国中56位である。報告書は、コロナ禍1年目でも人々の人生全体の評価は「驚くほど」安定していたと述べる。一方で、心配や悲しみを感じた人は約10%増えた。もう一つの柱は「信頼」である。報告書は、政府や他人への信頼が幸福を支え、コロナ対策の成否と死亡率の差にも深く関わっていたと結論づけている。
  • 2020 World Happiness Report 2020(2020年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2020は、シリーズ8冊目の報告書である。2017〜19年の平均で国別順位を示し、首位はフィンランド、2位デンマーク、3位スイス、4位アイスランド、5位ノルウェーである。特集は社会・都市・自然の三つの「幸福のための環境」である。いちばんの話題は、初めて世界186都市を住民の生活評価で順位づけしたことである。都市の順位は、その都市がある国の順位とほぼ一致した。
  • 2019 World Happiness Report 2019(2019年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2019は、シリーズ7冊目の報告書である。2016〜18年の平均で、首位はフィンランド、2位デンマーク、3位ノルウェー、4位アイスランド、5位オランダである。日本は5.886点で58位である。特集は「幸福とコミュニティ」で、政府と幸福、投票行動、向社会的行動、デジタルメディアと依存症を取り上げている。
  • 2018 World Happiness Report 2018(2018年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2018年版は、毎年恒例の国別幸福度ランキングに加えて、国内と国境を越えた「移住」を特集した号である。2015〜2017年の調査をまとめた総合順位では、フィンランドが初めて首位に立った。報告書が「最も際立った発見」と呼ぶのは、移民だけの幸福度で国を並べた順位が、住民全体の順位とほぼ同じになったことである。移民の幸福度でもフィンランドが首位だった。
  • 2017 World Happiness Report 2017(2017年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2017(World Happiness Report 2017)は、2017年3月に国連の国際幸福デーに合わせて発表されたシリーズ第5号である。2014〜16年の3年平均による155か国の順位では、前年4位のノルウェーが首位となり、デンマーク、アイスランド、スイスが僅差で続いた。この号は特に、人に頼れること、自由、寛容さ、信頼といった「幸福の社会的基盤」を重点的に取り上げている。テーマ章では、中国、アフリカ、心の健康、仕事、米国を分析し、米国のOECD内順位が2007年の3位から2016年の19位に下がったことを報告している。
  • 2016 World Happiness Report 2016 Update(2016年3月) この号を読む → 世界幸福度報告2016年版アップデート(World Happiness Report 2016 Update)は、2013〜15年の平均で157か国の幸福度を順位づけた号である。首位はデンマークで、スイス、アイスランド、ノルウェー、フィンランドが続く。この号でいちばん大きな話題は「幸福の格差」である。2005〜11年と2012〜15年を比べると、世界全体、10地域のうち8地域、調査国の半数超で、国内の幸福度のばらつきが有意に広がった。日本は5.921点で53位である。
  • 2015 World Happiness Report 2015(2015年4月) この号を読む → 世界幸福度報告2015年版は、2012〜2014年の3年平均の生活評価で158か国を順位づけした号である。首位はスイスで、アイスランド、デンマーク、ノルウェーが続き、この上位4か国の点数は統計的に見分けがつかない。いちばんの話題は、世界金融危機をはさんだ2005〜07年から2012〜14年への変化に国ごとの大きな差があったことである。報告書はその差を、危機の受け方の違いに加え、統治の質・信頼・社会的な支えの違いと結びつけて説明している。日本は5.987点で46位であった。
  • 2013 World Happiness Report 2013(第2回、2013年9月) この号を読む → 世界幸福度報告2013は、2012年の初回に続く第2回の報告書である。ギャラップ世界世論調査(Gallup World Poll)の2010〜12年データをもとに、各国の生活評価を並べ、その差の理由と2005〜07年からの変化を分析している。国別順位はデンマークが首位で、日本は156か国中43位(6.064点)である。テーマ章は、精神疾患を不幸の最大の単一要因と位置づけている。
  • 2012 World Happiness Report 2012(初回、2012年4月) この号を読む → 世界幸福度報告の記念すべき初回号(2012年4月)である。ジョン・ヘリウェル、リチャード・レイヤード、ジェフリー・サックスの3人が編集し、幸福は社会ごとに体系的に異なり、その理由は特定でき、公共政策によって変えることもできると打ち出した。最大の話題は国別の生活評価の大きな差である。上位4か国(すべて北欧)の平均7.6に対し、下位4か国(すべてサハラ以南アフリカ)は3.4で、その差の約8割は所得・健康寿命・頼れる人の有無・自由・腐敗の少なさなど、少数の要因で説明できた。

どう読む・どう使う

研究では、各国の公開データを使って、所得・健康・信頼・社会的つながりと人生評価の関係を国際比較する土台になる。政策面では、初回以来「幸福は政策で変えられる」という立場をとっている。2026年版は、オーストラリアが2025年12月に10のSNSの利用年齢を13歳から16歳に引き上げたことや、デンマーク・フランス・スペインが同様の規制を計画していることに触れ、政策判断の材料としての活用を期待している。同版第4章は、似た研究を見たはずの主要な報告どうしで引用元の重なりが1%未満だったことを示し、証拠のまとめ方に慎重さが要ると説いている。教育の場では、SNSの使用量だけでなく学校への帰属感も幸福度との関連が大きいという分析が参考になる。

読むときの注意

順位は3年平均の推定値で誤差幅があり、近い順位の小さな差に意味はない。日本の2026年版の順位も49〜72位の幅をもつ。対象国数は版によって137〜158か国と変わるため、順位をそのまま年ごとに比べることはできない。各国約1,000人の調査で、国によって調査方法や時期が異なる。6要因の分析は国単位の相関であって因果を示すものではなく、梯子で測る人生評価は日々の感情としての幸福とは別物である。

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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