ウェルビーイングの調査・報告書

2025年版テーマ:思いやりと分かち合い(Caring and sharing)。食事を共にすること、同居、若者のつながり、助け合いと絶望死、信頼とポピュリズム、寄付の効果を章ごとに扱う

World Happiness Report 2025(2025年3月)

オックスフォード大学 ウェルビーイング研究センター(Wellbeing Research Centre)。Gallup、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)、独立した編集委員会と連携

世界幸福度報告2025年版は、2022〜24年の3年平均で各国の人生評価を順位づけした号である。首位は8年連続ではなく「今年も北欧が上位を占め、フィンランドが首位」と報告書は記し、日本は147か国中55位である。特集テーマは「思いやりと分かち合い(Caring and sharing)」である。最大の話題は、人々が他人の親切を悲観的に見積もりすぎており、落とした財布が戻る割合は予想よりはるかに高いという点である。

この号の内容

首位フィンランド、北欧が上位

国別順位は、ギャラップ世界調査(Gallup World Poll)のキャントリルの梯子(0〜10で自分の人生を評価する質問)の2022〜24年平均にもとづく。今年も北欧諸国が上位を占め、フィンランドが首位である。公式発表では2位デンマーク、3位アイスランドで、コスタリカ(6位)とメキシコ(10位)が上位10位に入った。北欧諸国は財布が戻ると予想される割合と実際に戻る割合でも上位にある。図2.1では所得・社会的支援・健康寿命・自由・寛大さ・腐敗認識の6要因による説明が色分けされるが、順位はこれらの指数ではなく本人の人生評価そのものにもとづく。

📖 報告書では:第2章「Happiness ranking」p.15・p.17、図2.1、Key Insights

善意の行動はコロナ前より1割多い

寄付・ボランティア・見知らぬ人の手助けの3つの善意の行動は、コロナ禍の2020年に急増した。2024年は2023年から有意に減り、寄付は34.6%→31.7%、見知らぬ人の手助けは61.4%→58.8%、ボランティアは24.2%→22.9%となった。それでも2017〜19年と比べると、いずれかを行った人は63%→70%、寄付28%→31.7%、手助け50%→58.8%、ボランティア20%→22.9%と、どれも10%以上高い水準を保つ。見知らぬ人の手助けは全地域でコロナ前を上回り、世界平均で18%高い。

📖 報告書では:第2章「How is global benevolence changing?」p.34–35、図2.2・2.3、注58・59

財布は予想よりずっと戻る

40か国で財布を落とす実験では、現金なしの財布は40%、現金入りは51%が持ち主に戻った。実際の返却率は、人々が予想した返却率の平均1.83倍である。報告書は、人々が地域の親切さを悲観的に見積もりすぎていると結論づけている。個人の幸福度との関係では、財布が戻ると予想する効果は善意の行動をする頻度の効果のほぼ2倍で、暴力犯罪や心の病といった害の予想よりも強い予測因子である。

📖 報告書では:第2章 Key Insights p.15、p.34、図2.4、注54・114・115

国内の幸福格差は拡大

国内の幸福度の格差は過去20年で約4分の1拡大し、変動係数は2005〜10年の0.35から2020〜24年の0.44に上がった。一方、国と国の間の格差はほぼ一定である。人々が社会を公正で親切だと予想している国ほど、幸福度の格差が小さい傾向がある。善意の行動が与える側・受ける側の幸福につながりやすいのは、思いやりあるつながり・自発的な選択・明確な良い効果の「3つのC」がそろうときである。

📖 報告書では:第2章 Key Insights p.15、図2.5・2.6・2.7、注119、「Benevolence and happiness」p.37

食事を共にする人ほど幸福

他人と食事を共にする回数は、生活満足度・ポジティブ感情と強く関係し、その大きさは所得や失業の影響に匹敵する。週あたりの共食回数はラテンアメリカ・カリブ地域が約9回で最多、南アジアは4回未満で、国別ではセネガルが11.7回で首位である。米国では2023年に約4人に1人が前日の食事をすべて一人で取り、2003年から53%増えた。報告書は、一人で食べる人の増加を米国の幸福度低下の一因としている。

📖 報告書では:第1章 p.7–8、第3章「Sharing meals with others」p.57–、図3.2

同居・若者の孤立・絶望死

メキシコと欧州では世帯人数4〜5人で幸福度が最も高く、一人暮らしの人は幸福度が低い傾向がある。2023年、世界の若年成人の19%が頼れる人がいないと答え、2006年より39%増えた。自殺・アルコール・薬物による「絶望死」は59か国の75%で2000年以降減ったが、米国と韓国では高く増加している。助け合いをする人の割合が10ポイント高いと、人口10万人あたり年約1人絶望死が少ない関係がある。第7章は不幸と不信がポピュリズムを説明するとし、第8章は最良の慈善団体は他より数百倍効率よく幸福を増やすと推計する。

📖 報告書では:第1章 p.9–11(第4〜8章の要約)、第4章 p.93–、第5章 p.123–、第6章 p.159–、第7章 p.193–、第8章 p.227–

日本の結果

日本は人生評価で147か国中55位である。善意の指標では寄付131位、ボランティア104位、見知らぬ人の手助けは147位で最下位だが、財布が戻ると予想される割合は隣人36位・見知らぬ人26位・警察34位と比較的上位にある。若年成人で親しい人が誰もいない割合は日本が30%超で、22か国平均17%を大きく上回り、日本では若者が全年齢層で最もつながりが少ない。夕食を共にする回数は韓国・日本・モンゴルで週1〜2回と、米国などの約5回の半分以下であり、日本は寄付・ボランティア・手助けの減少が速い国の一つにも挙がっている。紐付きでない政府開発援助(ODA)は対GDP比0.19%で援助国中10位である。

この号の調べ方

主なデータはギャラップ世界調査で、各国で毎年おおむね1,000人に回答を求め、人口を代表するよう重みづけした平均を2022〜24年の3年分平均して147か国を順位づけている。善意の行動は過去1か月の寄付・ボランティア・見知らぬ人の手助けの有無で測り、財布の返却予想は2019年のロイズ・レジスター財団世界リスク調査、実際の返却は40か国の財布落とし実験による。若者のつながりは22か国のグローバル・フラリッシング調査(GFS)、共食は約500人規模の国別調査などを用いる。

この号から言えること

  • 人々は他人の親切を過小評価しており、財布の実際の返却率は予想の平均1.83倍である。報告書は、他人の本当の親切を知ることで幸福度が高まりうるとしている。
  • コロナ禍で増えた善意の行動は2024年に減ったものの、コロナ前より1割以上高い水準を保っている。
  • 日本は順位55位に加え、見知らぬ人の手助けが147位で最下位、若者の孤立が30%超と、つながりの面で目立つ課題が示されている。
  • 共食・同居・助け合いが多い人や国ほど幸福度が高く、絶望死が少ない傾向があるが、多くは相関であり因果の解明は今後の課題とされている。

読むときの注意

共食や助け合いと幸福の関係の多くは相関であり、第3章自身が因果関係の理解にはなお大きな空白があると述べている。財布の返却予想は2019年のデータで、順位には信頼区間があり近い国同士の差は小さい。日本の共食回数は2023年の設問文の変更で有意に上がっており、東アジアでは家族を「知っている人」に含めない解釈の違いも影響しうるとされる。

出典

主に参照した箇所:本文PDF p.7–11(第1章要旨)、p.15–17・p.28–35(第2章、図2.1・表2.2・2.3)、第3章 p.57–(注13–15)、第5章 p.131、第6章 p.176–177。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

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