この号の内容
23か国の中学校の学習環境
本号はTALISの最初の報告書であり、23か国の学校の教授・学習環境について、政策に役立つ数量的情報を示している。対象は前期中等教育(日本の中学校段階にあたる)に絞られている。公式の一行メモによれば、参加は24か国で、そのうち基準を満たした23か国が分析対象となった。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)/公式一行メモ
学習環境の質を最重要視
報告書は、学校効果研究が一貫して「学習環境の質こそ、生徒の学習と成果にとって政策で変えられる最も重要な要因である」と示していると述べる。この認識に立ち、TALISは学習環境を形づくる主要な政策と実践を調べている。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)
校長のリーダーシップの役割
効果的な学校づくりに学校の指導者が果たす役割は、よく知られている。TALISは、しばしば大きく異なる状況に置かれた校長が、学校内でどのような役割と機能を担っているかを描いている。さらに、それらの役割が教員の仕事をどう支えているかを検証している。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)
研修と評価・処遇の不足
報告書は、効果的な教員の確保と育成をすべての学校制度の優先課題とし、教員の仕事がどう認められ、評価され、報われているか、また職能開発(研修)のニーズにどの程度応えられているかを調べている。公式の一行メモによれば、教員の89%が研修に参加したが、半数を超える教員がもっと受けたいと答えた。また4分の3の教員が、仕事の質を高めても評価されないと答えている。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)/公式一行メモ(本文の該当章・頁は抜粋に含まれない)
授業時間の3割を失う教員
公式の一行メモによれば、教員の4人に1人は、授業時間の30%以上を授業妨害や事務作業に奪われていた。授業に充てられる時間の確保は、学習環境の質にかかわる論点である。
📖 報告書では:公式一行メモ(本文の該当章・頁は抜粋に含まれない)
教員の指導観と指導実践
報告書は、TALISで最も新しい点として、教員が教室に持ち込む指導観(教えることについての考え方)と、実際に採っている指導方法についての知見を挙げている。ただしTALISは、どの実践や考え方が最も効果的かは測定できないと明記している。示せるのは、それらが効果的な学校教育の前提条件の一部とどう関連しているか、という点である。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)
この号の調べ方
OECDが実施した教員と学校の国際調査で、前期中等教育(中学校段階)の教員を対象とする。公式の一行メモによれば24か国が参加し、基準を満たした23か国が分析された。報告書はOECD Publishingから2009年7月20日に公表された(DOI: 10.1787/9789264068780-en)。
この号から言えること
- 研修への参加率は89%と高い一方、半数超がもっと受けたいと答えており、研修の量や内容が教員のニーズに追いついていない。
- 4分の3の教員が「仕事の質を高めても評価されない」と答えており、教員の評価・処遇の仕組みが本号の大きな論点である。
- 4人に1人が授業時間の30%以上を授業妨害や事務作業で失っており、授業に使える時間の確保が課題として示されている。
- 指導観・指導実践の分析は効果の優劣を測るものではなく、効果的な学校教育の前提条件との関連を示すものである。
読むときの注意
今回の元資料は公式ページの要旨と一行メモに限られ、本文PDFの章・頁・図は確認できていない。主な指標に挙げたストレスの程度、心身への悪影響、仕事への満足度、離職意向の数値は元資料に含まれていない。また、利用者から示された情報によれば、日本はこの回(TALIS 2008)に参加しておらず、日本の結果は存在しない。