この号の内容
学校外の学習時間が約2割減
1日あたりの学校外の学習時間は、11年間で高校生が22分、中学生が19分、小4〜6生が17分、小1〜3生が9分減った。減少幅はどの学校段階も約2割である。内訳では、どの段階でも「宿題」の時間の減少がもっとも大きく、次に宿題以外の「家庭学習」が大きい。時間は「しない」を0分、「4時間より多い」を300分のように置き換えて計算している。塾の時間は1回あたりの学習時間に週あたりの通塾回数をかけ、7で割って1日あたりに直している。
📖 報告書では:調査結果詳細1、p.2、図1-1・図1-2
「勉強が好き」が減り目的も見えず
「勉強が好き」(「とても好き」と「まあ好き」の合計)と答える割合は、とくに小学生で減った。「何のために勉強しているのかわからない」と答える割合は、すべての学校段階で増えた。「勉強のやり方を工夫する」といった学習の自己調整(自分で学び方を考えて調整すること)ができる子どもは、小中学生で減っている。これらの質問は小1〜3生にはたずねていない。また、勉強の目的は2016年・2019年・2025年のみ、学び方の工夫は2017年以降のみたずねている。
📖 報告書では:調査結果詳細2、p.3、図2-1〜図2-3
成績による差は家庭学習で開く
2025年のデータでは、成績上位層は下位層より学校外の学習時間が長い。差がとくに大きいのは、宿題以外の家庭学習の時間である。11年間で成績中位層と下位層の家庭学習時間が減り、上位層との差が広がった。成績層は、国語・算数などの成績の自己評価を合算し、上位・中位・下位がそれぞれ3分の1になるように分けている。
📖 報告書では:調査結果詳細3、p.4、図3-1・図3-2
家庭の経済状況による差も拡大
SES(社会経済的地位=保護者の学歴・職業・世帯年収から算出した、家庭の豊かさを表す指標)で分けて比べると、宿題以外の家庭学習の時間に大きな差がある。SESは各層が25%ずつになるように、L・LM・UM・Hの4層に分けている。11年間で、もっとも低いL層の家庭学習時間が減り、もっとも高いH層との差が広がった。一方、宿題の時間には、成績やSESによる大きな差はみられない。
📖 報告書では:調査結果詳細4、p.5、図4-1・図4-2/解説 p.7
家庭学習0分層が4〜5割に
宿題以外の家庭学習を「しない」と答えた子ども(家庭学習0分層)は、11年間でどの学校段階も10ポイント前後増え、4〜5割となった。2025年の小4〜6生のデータでは、この層は成績下位層ほど、またSESが低い層ほど多い。さらに、勉強が嫌いな子ども、学ぶ目的がわからない子ども、学び方を工夫しない子どもにも多い。報告書は、この層を「一部の子どもに限られた存在ではなく」無視できない層と位置づけている。
📖 報告書では:調査結果詳細5、p.6、図5-1・図5-2/解説 p.7
報告書の解釈と提言
報告書は、学習時間が減った背景には、学びへの興味・関心や目的意識の弱まりと、自分なりに工夫・試行錯誤しながら学ぶ機会の減少があると考えられる、としている。家庭学習は、与えられることが多い宿題と異なり、子ども自身が何をどう学ぶかを選んで取り組む時間である。このため報告書は、0分層の増加を、意欲や学びを調整する力を育む機会が十分に得られていない可能性を示すものとしている。そのうえで、授業の楽しさ、信頼できる周囲のかかわり、デジタルやAI技術の適切な活用を挙げている。さらに、子どもの置かれた状況によらず放課後などの学習機会を確保することが求められると結論づけている。
📖 報告書では:解説「自ら学ぶ子どもを育むために」、p.7
日本の結果
この号の調べ方
全国の小学1年生〜高校3年生の子どもとその保護者、約2万組を、2015年から2025年まで毎年7〜9月に追跡したパネル調査(同じ人を繰り返し調べる調査)である。第1〜11回にあたる。調査方法は年によって異なり、2016〜20年は郵送、2015年と2021年は郵送とWEBの併用、2022〜25年はWEBで実施した。小1〜3生は保護者が、小4生以上は子ども自身が回答している。
この号から言えること
- 学習時間の減少は特定の学年だけでなく、小1から高3までどの段階でも約2割にのぼる。
- 宿題の時間には成績やSESによる大きな差がないのに対し、宿題以外の家庭学習の時間では差が大きく、しかも広がっている。
- 家庭学習0分層は4〜5割を占め、勉強が嫌い、学ぶ目的がわからない、学び方を工夫しないといった意識と重なって現れる。
読むときの注意
学習時間は選択肢を分数に置き換えて計算した値で、成績も自己評価にもとづく。さらに、調査方法が郵送からWEBへ移っている点にも注意が必要である。家庭学習0分層と学習意欲や成績との関係は同時にみられる傾向(関連)であり、どちらが原因かを示すものではない。また、主な指標として挙げた「自分は今、幸せだ」の結果は、今回の元資料には載っていない。