この号の内容
24か国・地域で始まった第1波
第1波の参加国・地域は24である。日本、米国、オーストラリア、スウェーデン、フィンランド、メキシコはいずれも1981年に調査した。カナダ、ハンガリー、南アフリカ、韓国は1982年、アルゼンチンは1984年に調査した。ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、英国、イタリアなど13か国・地域は「EVS」と記されている。これらは欧州価値観調査(European Values Study)として実施された調査である。
📖 報告書では:WVS公式ページ「World Values Survey Wave 1(1981-1984)」参加国と調査年
日本調査の設計
日本調査の対象は全国の18歳以上の男女個人である。実施は1981年3月で、有効回収数は1,204である。標本は層化多段無作為抽出で選んだ。層化多段無作為抽出とは、地域などで層に分けてから段階的に無作為に選ぶ方法である。調査員が訪問して面接する訪問面接法を用い、実施者は株式会社日本リサーチセンターである。個票データは電通総研が寄託し、東京大学SSJデータアーカイブ(調査番号1452)から利用申請を経て入手できる。
📖 報告書では:SSJDA「世界価値観調査(日本調査)Wave1,1981」概要
幸福から宗教まで問う質問票
生活・社会の項目には、幸福感、健康状態、世帯の経済状況への満足度、生活満足度、人生の自由度が含まれる。人生の自由度とは、人生を自分で自由に動かせると感じる程度を指す。ほかに、仕事で重視する点(給与の良さなど)や、子どもに望む資質(礼儀正しさ、自主性、勤勉さなど)も尋ねている。結婚観、政治関心と政治活動(署名、不買運動、合法的なデモなど)、一般的信頼、組織への信頼も対象である。宗教と神の重要性、国のために戦う意思、国民としての誇りまで扱う。
📖 報告書では:SSJDA概要「主要調査事項」(1)〜(7)
生活満足度は北欧が上位
1981〜84年のWVSで、生活満足度の質問は「すべてを考え合わせて、今の生活全体にどの程度満足しているか」である。回答は1(不満)〜10(満足)で求める。国別平均の1位はデンマークの8.19で、アイスランド8.09、スウェーデン8.01、メキシコ7.97、フィンランド7.91、ノルウェー7.90が続く。オーストラリアは7.88で7位、米国は7.73で9位である。下位は日本6.59(20位)、南アフリカ6.30(21位)、韓国5.33(22位)である。
📖 報告書では:Leigh & Wolfers(2006)NBER WP11925 付録「Australia's Rank in Happiness Surveys since the 1940s」1981-84 WVS生活満足度(PDF p.20)
幸福感はアイスランドが首位
幸福感の質問は「全体として、あなたは幸せだと思いますか」である。回答は4(非常に幸せ)〜1(まったく幸せでない)の4段階で、この表では数値が大きいほど幸せとなるよう符号化している。1981〜84年のWVSで、国別平均の1位はアイスランドの3.40である。アイルランド3.36、英国3.34、カナダ3.31が続き、5位はオーストラリアである。元資料の抜粋では、この表の日本の順位と値は確認できない。
📖 報告書では:Leigh & Wolfers(2006)付録 1981-84 WVS幸福感(PDF p.21)
前後の国際調査でも日本は下位
Leigh & Wolfersの付録は、第1波より前の国際調査も並べている。1975年のケタリング調査(Kettering Survey)では、キャントリルの梯子(0〜10で自分の人生を評価する質問)で日本は5.76、12か国中10位だった。同じ調査の生活満足度(0〜10)では、日本は6.05で11か国中10位である。1979年の余暇開発センター調査の生活満足度(5段階)では、日本は3.45で13か国中12位となり、韓国の3.27だけが下にあった。
📖 報告書では:Leigh & Wolfers(2006)付録 1975 Kettering Survey・1979 Leisure Development Center調査(PDF p.18–20)
日本の結果
この号の調べ方
第1波は1981〜1984年に24か国・地域で実施した。欧州の13か国・地域は、欧州価値観調査(EVS)として行われた。幸福感は4段階、生活満足度は1〜10、人生の自由度は1〜10で尋ねている。Leigh & Wolfersの国別順位は、WVSの重み付き個票データから算出した国別平均である。北アイルランドのように国の一部だけを対象とした調査は、この順位から除いている。
この号から言えること
- 1981〜84年の生活満足度は北欧諸国が上位を占める。日本は6.59で22か国中20位と、比較対象国の中で低い位置にあった。
- 1975年と1979年の別の国際調査でも、日本の生活満足度はほぼ最下位層にある。第1波の結果だけが例外というわけではない。
- 日本調査の個票データは東京大学SSJデータアーカイブで公開されている。幸福感だけでなく、宗教・家族・政治・信頼などとの関係を自分で分析できる。
読むときの注意
国別順位は、Leigh & Wolfers(2006)がWVSの個票から計算した平均値の比較である。順位の差が統計的に意味のある差かどうかは、この付録表には示されていない。また、WVSのデータセットには欧州価値観調査(EVS)が実施した国が含まれておらず、これらは欧州価値観調査のサイトで別に提供されている。