ウェルビーイングの調査・報告書

国際比較調査不定期データ:公開

世界価値観調査

World Values Survey(WVS)

世界価値観調査協会(World Values Survey Association、本部ウィーン・法人所在地ストックホルム)。各国の研究チームが実施

1981年から世界の人々の価値観を同じ質問で比べてきた調査。幸福感と生活満足度も含む。
対象
18歳以上(日本調査の場合)
対象の国・地域
累計120以上の社会。第7波は77か国・地域(WVS-7の実査状況ページの記載)
規模
各国1,000〜3,200人、第7波の合計約12.9万人(第7波で)
方法
横断調査
頻度・期間
不定期(1981年〜2024年)
幸福の測り方
幸福感(「全体として、あなたは幸せだと思いますか」:非常に幸せ〜まったく幸せでないの4段階)、生活満足度(1〜10)、人生を自由に動かせる感覚(1〜10)
データの入手
公開 worldvaluessurvey.org/WVSEVStrend.jsp ↗

幸福感で「幸せ」(非常に幸せ+やや幸せ)と答えた人の割合の推移

日本(全国18歳以上、近年は18〜79歳)(%)・各年版の公式資料から
77.783.489.077.789.088.490950005101924

調査方法は1990年・1995年が訪問面接法、2000年が郵送法、2010年が訪問留置法、2024年が郵送法と回によって異なる。1990年の選択肢は資料上「とても幸せ+かなり幸せ」と表記されている。

どんな調査か

世界価値観調査(World Values Survey、WVS)は、政治・経済・労働・宗教・家族などについて人々が何を大切にしているかを、世界各国で同じ質問票を使って尋ねる国際比較調査である。運営するのは世界価値観調査協会(World Values Survey Association、WVSA)で、各国の研究チームが自国で調査を実施する。協会の会長はウィーン大学のクリスティアン・ハープファー(Christian Haerpfer)で、事務局本部はウィーン、法人の所在地はストックホルムの未来研究所(Institute for Future Studies)、データアーカイブはマドリードに置かれている。調査は1981年に始まり、協会の創設者は政治学者ロナルド・イングルハート(Ronald F. Inglehart)である。これまでに累計120以上の社会が参加しており、幸福感と生活満足度を初期から尋ねているため、国ごとの長期の推移を追える。

何をどう測っているか

調査は数年ごとの「波(Wave)」と呼ばれる単位で行われ、各国で全国を代表するように選んだ1,000〜3,200人に同じ質問票で尋ねる。第7波(2017〜2022年)の回答者は合計約12.9万人である。幸福に関する主な質問は三つある。一つ目は幸福感で、「全体として、あなたは幸せだと思いますか」に「非常に幸せ」から「まったく幸せでない」までの4段階で答える。二つ目は生活満足度で、生活全般への満足を1〜10の10段階で答える。三つ目は「人生を自由に動かせる感覚」で、これも1〜10で答える。日本の発表では、幸福感は「非常に幸せ」と「やや幸せ」の合計を「幸せ」、生活満足度は6〜10を「満足」として集計している。日本調査は1990年から電通総研が参加し、対象は18歳以上(近年は18〜79歳)で、方法は訪問面接法(1981年・1990年・1995年)、郵送法(2000年・2024年)、訪問留置法(2010年)と回によって異なる。

これまでの歩み

第1波(1981〜1984年)は24か国・地域が参加し、日本は1981年3月に1,204人を訪問面接で調査した。第2波(1990〜1994年)は公式ページに47か国・地域が並ぶが、このうち欧州の調査は欧州価値観研究(EVS)として別に提供され、WVSの統合データは18か国・社会、24,558人である。第3波(1995〜1998年)は56か国・地域、第4波(1999〜2004年)は中東・アフリカ・アジアの国々が多く参加した41か国・地域、第5波(2005〜2009年)は58か国・地域で実施された。第6波(2010〜2014年)は60か国・地域の85,000人超が回答した。第7波(2017〜2022年)は2020年7月に初回データが公開され、実査状況ページでは77か国・地域、最終版(6.0版)のデータには66か国・地域が収められている。第8波は2024年に実査が始まり、日本調査は2024年7〜8月に郵送法で1,272人に行われた。EVSと合わせた1981〜2022年の統合データ(約120か国)も無料で公開されている。

分かってきたこと

日本の幸福感は1995年以降9割近くで安定している

日本で「幸せ」と答えた人は1990年に77.7%だったが、1995年に89.0%へ大きく上がった。その後は2000年86.5%、2005年87.3%、2010年86.5%、2019年88.3%、2024年88.4%と、9割弱の水準が続いている。イングルハートらの論文は、長期的に幸福度が上昇した国の一つとして日本を挙げている。

生活満足度は幸福感より上下が大きい

生活全般に「満足」と答えた人は、1990年71.7%、1995年72.6%、2000年69.3%、2005年80.9%、2010年73.8%、2019年74.4%、2024年71.2%である。最高は2005年、最低は2000年で、1990〜2024年の7回の中で約11ポイントの幅がある。2010年調査では生活や家計の満足度が直近5年で約7ポイント下がり、自分の生活程度を「中の下」とみる人が増えた。個人の幸福感が安定する一方で、満足度は時期によって動いている。

「勤勉なら成功できる」という考えは弱まり続けている

「勤勉に働けば成功する」と考える人は1995年に70.2%で時系列最高だったが、2005年に57%へ約13ポイント下がり、2024年には53%で過去最低となった。2024年には「成功は運やコネが大きい」と考える人が過去最高となった。2005年には、収入は平等より成果報酬を支持する人が多かった(65.9%対28.1%)。

人生を自由に動かせる感覚は長期で高まった

人生を「自由に動かせる」と答えた人は1990年に45.8%だった。2000年は63.0%、2005年は62.4%、2010年は50.0%と上下したが、2024年には68.9%と2019年から約11ポイント増えた。

政治への信頼は低く、社会の行方への見方は厳しい

国会を信頼する人は1995年に24.2%、2000年に19.7%にとどまり、2000年の新聞・雑誌への信頼70.2%とは大きな差があった。2024年の時系列レポートは、政府・政党への不信が強まり、国が「悪い方向に向かっている」が48%にのぼり、日本の経済競争力への悲観が急増したと報告している。2010年には日本に不安を感じる人が93%に達した。

日本の結果

第1波(1981年)の生活満足度(1〜10)の平均で、日本は6.59と22か国中20位で、日本より下は南アフリカ(6.30)と韓国(5.33)だけ、首位デンマーク(8.19)との差は1.6点であった。第7波の日本調査(2019年9月、実施は日本リサーチセンター)では、新聞とテレビニュースから毎日情報を得る人がそれぞれ57.5%と89.8%で、ともに48か国中1位である。同じ調査で「経済成長が落ちても環境保護を優先すべき」への賛成は77か国中74位、「わからない」は32.6%で77か国中もっとも多く、「成人したら両親の長期介護を担う義務がある」への賛成は25.5%で77か国中73位であった。生活における仕事の重要度は2010年の84.2%から2019年に80.0%へ、同性愛を「認められる」とした人は33.2%から54.4%へ変化した。2024年は「日本」を身近に感じる人が92%、「世界」が18%である。

各年版(8)

  • W8 World Values Survey Wave 8(2024-、日本調査は2024年7〜8月。電通総研・同志社大学「世界価値観調査 1990〜2024年 日本時系列分析レポート」2024年12月) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey)の第8回(2024年)日本調査を、電通総研と同志社大学が1990年以降の時系列で分析したレポートである。「幸せ」と答えた人は88.4%で、1995年以降続く9割弱の高い水準を保った。一方、生活全般に「満足」と答えた人は71.2%で、2019年から約3ポイント下がった。個人の幸福感が安定しているのに対し、政府・政党への信頼の低下、「成功は運やコネが大きい」の過去最高、日本の経済競争力への悲観の急増など、社会や国の行方に対する厳しい見方が目立つ号である。
  • W7 World Values Survey Wave 7(2017-2022、初回データ公開2020年7月) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey、WVS)は、各国の研究チームが同じ調査票で人々の価値観を尋ねる国際調査である。第7波(Wave 7)は2017〜2022年が対象で、2020年7月に初回データが公開され、最終版(6.0版)には66か国・地域が収められている。日本では2019年9月に調査が行われた。日本の結果では、幸福度と生活満足度が高い水準のまま微増した一方、仕事観や多様性への意識が9年前より大きく変わった点が目立つ。
  • W6 World Values Survey Wave 6(2010-2014) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey)の第6回調査(Wave 6、2010〜2014年)は、60か国・地域の85,000人超に共通の質問票で価値観を尋ねた国際調査である。日本の調査は2010年11〜12月に実施され、東京大学と電通総研が担当した。日本の結果でいちばんの話題は、「幸せ」と答えた人が86.5%と高い一方で、生活や家計の満足度が直近5年で約7ポイント下がり、自分の生活程度を「中の下」とみる人が増えた点である。不安と、助け合いや堅実さを重んじる姿勢が同時に見える号である。
  • W5 World Values Survey Wave 5(2005-2009) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey、WVS)の第5波(Wave 5、2005〜2009年)は、58か国・地域で同じ質問票を使って価値観を調べた国際調査の回である。日本の調査は2005年7月に実施され、1,096人が回答した。日本の2005年の結果では、「幸せ」と答えた人が87.3%、生活全般に「満足」と答えた人が80.9%である。この満足の割合は、1990〜2024年の7回の調査の中で最も高い。
  • W4 World Values Survey Wave 4(1999-2004) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey、WVS)の第4波(Wave 4、1999〜2004年)は、41か国・地域で実施された価値観の国際調査である。中東・アフリカ・アジアの国々が多く参加し、日本は2000年7月に調査した。日本の2000年調査では、「幸せ」と答えた人が86.5%で、9割近い高さだった。一方、生活満足度は69.3%で、1990〜2024年の7回の中で最も低い。
  • W3 World Values Survey Wave 3(1995-1998) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey、WVS)の第3波(Wave 3)は、1995〜1998年を中心に56か国・地域で実施された国際比較調査である。日本の調査は1995年11月に行われ、有効回収数は1,054人である。日本では「幸せ」と答えた人が89.0%に達し、1990年の77.7%から大きく上がった。電通総研の時系列レポートによれば、この9割近い水準は2024年まで続いている。
  • W2 World Values Survey Wave 2(1990-1994) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey)の第2回調査(Wave 2、1990〜1994年)の号である。公式ページには47か国・地域が並ぶが、このうち「EVS」と記された欧州の調査は別のデータで提供される。世界価値観調査として公開されている統合データは18か国・社会、回答者24,558人である。日本は1990年9月に調査を行い、全国の18歳以上の男女1,011人が答えた。この号で注目すべき点は、1990年の日本の数値が、その後2024年まで続く日本の時系列比較の出発点になっていることである。
  • W1 World Values Survey Wave 1(1981-1984) この号を読む → 世界価値観調査(World Values Survey、WVS)の第1波(Wave 1、1981〜1984年)は、各国の人々の価値観や幸福感を共通の質問票で測った国際調査の最初の回である。24か国・地域が参加し、日本は1981年3月に全国調査を実施した。最大の話題は、この回で測られた生活満足度の国際順位である。日本は生活満足度6.59で22か国中20位と、欧米諸国より低い位置にあった。

どう読む・どう使う

研究では、約120か国の統合データを無料で使い、国ごとの価値観や幸福感の長期的な変化を比べられる。公式サイトの月例ウェビナーでは、音楽の好みと文化的価値観、宗教と主観的な社会階層、ラテンアメリカの経済格差と政治・社会的信頼、102か国・地域を対象にした個人主義・集団主義の新指標など、WVSを用いた研究が紹介されている。政策の場では、人々の価値観や態度のデータを政策設計に取り入れることの意義がウェビナーで論じられている。日本の個票データは東京大学社会科学研究所のSSJデータアーカイブ(SSJDA)でも公開されており(1990年調査は調査番号1453)、授業や職場の学習で日本の時系列を自分で確かめる材料になる。

読むときの注意

国ごとに調査時期・方法・翻訳が異なり、同じ波でも実査年がずれるため、国際順位は幅をもって読む必要がある。4段階の幸福感は回答が「やや幸せ」に集まりやすく、国の差が出にくい。日本の数値は電通総研・同志社大学など日本の研究チームの発表によるもので、「幸せ」「満足」の区切り方はその発表の定義に従っている。日本調査自体も訪問面接、郵送、訪問留置と方法が回ごとに変わっている点に注意が要る。

日本語版・邦訳

電通総研・同志社大学「世界価値観調査2019」日本結果(2020年3月26日発表):group.dentsu.com/jp/news/release/pdf-cms… ↗

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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