この号の内容
幸せ9割弱、満足は7割強
「幸せ」(「非常に幸せ」+「やや幸せ」)と答えた人は、1990年の77.7%から1995年に89.0%へ上がり、以後9割弱で推移して2024年は88.4%である(2019年は88.3%)。生活全般に「満足」(1〜10の6〜10)と答えた人は2005年の80.9%が最も高く、2019年74.4%、2024年71.2%と下がった。家計に「満足」は1995年の67.9%から2010年に54.2%へ落ち込んだが、2024年は61.9%まで戻った。自分の生活の程度を「中の中」とする人は2010年の41.3%を底に微増し、2024年は43.9%である。
📖 報告書では:「生活に関する意識①②」p.6–7、図1-1〜図1-4
人生を自由に動かせる感覚が上昇
自分の人生をどの程度自由に動かせるかを1〜10で尋ねる質問で、「自由になる」(6〜10)は2010年に50.0%へ大きく下がったが、2019年58.4%、2024年68.9%と増え、2019年から約11ポイント上昇した。一方、人生の意味や目的を考える機会が「ある」は69.3%と多数だが、2010年の79.3%から10ポイント下がった。「ない」は28.8%で約13ポイント増えた。
📖 報告書では:「人生に関する意識」p.8、図1-5・図1-6
勤勉への信頼が過去最低
生活で「余暇時間」を重要とする人は92%、「仕事」は79%で、仕事より余暇を重視する傾向が続く。現在の仕事に「満足」は1990年の69%から2024年は53%へ約17ポイント減った。「勤勉に働けば成功する」は2019年の62%から53%へ下がって過去最低、「成功は運やコネが大きい」は約13ポイント増の45%で過去最高である。収入については文言変更で単純比較はできないが、「成果報酬をより多く」が69%と「収入はもっと平等に」を再び上回った。仕事を「重要ではない」とする人は2019年より男性70歳以上で約12ポイント、男性18〜29歳で約10ポイント増えた。
📖 報告書では:「仕事に関する意識①〜③」p.9–11、図1-7〜図1-12
政府・政党・メディアの信頼低下
「政府」を信頼する人は2019年の40%から2024年は30%へ約10ポイント下がり、信頼しない人は約15ポイント増の67%である。「政党」を信頼しない人は77%で調査開始以来最も高い。「国会」を信頼する人は26%、「行政」は43%だが、行政を信頼しない人が53%と過半数になった。「新聞・雑誌」の信頼は64%(2019年から5ポイント減)、「テレビ」は59%(約5ポイント減)である。情報源への接触では「ソーシャルメディア」が約17ポイント増の61%、「インターネット」が約11ポイント増の87%となり、「新聞」は約9ポイント減の66%だった。
📖 報告書では:「メディアに関する意識①②」p.17–18、図2-4〜図2-6/「政治に関する意識②③」p.20–21、図2-9〜図2-12
国の行方は「悪い方向」48%
この国の方向について「悪い方向に向かっている」は48%で、「良い方向」の19%を大きく上回り、「わからない・無回答」も33%いる。「日本が悪い方向に向かっているもの」では「経済競争力」が最も高く、2019年から約26ポイント増えた。国家目標では「物価の抑制」が約18ポイント増の61%で調査開始以来最高、向こう10年の目標では「高い経済成長の維持」が73%で最も高い。「大きな社会変革が必要」は2019年の29%から44%へ約15ポイント増え、「そう思わない」を上回った。
📖 報告書では:「自国に関する意識①〜⑤」p.25–29、図3-1〜図3-9
気候変動とAIへの意識
気候変動の問題を個人として「重要」と答えた人は93%、取り組みに個人の責任を「感じる」は65%である。「環境保護を優先」か「経済成長・雇用を優先」かでは、2019年に約10ポイントあった差が縮まり、2024年はどちらも3割程度で並んだ。「科学技術によって世界はより良くなっている」は65%で「より悪くなっている」の30%を上回るが、2019年から約4ポイント減り、「悪くなっている」は約10ポイント増えた。人工知能(AI)は人類にとって「どちらかというと良い」が58%、「どちらかというと悪い」が24%である。
📖 報告書では:「地球環境・気候変動に関する意識①②」p.12–13、図1-13〜図1-15/「科学技術に関する意識」p.16、図2-2・図2-3
日本の結果
この号の調べ方
第8回日本調査は2024年7〜8月に全国18〜79歳の男女を対象に、消費者パネルから国勢調査結果に基づく地域・性・年齢別割当で抽出し、郵送法で実施した(実施機関は日本リサーチセンター、有効回収1,272人)。標本誤差は信頼区間95%で最大±2.748%である。世界価値観調査は約120か国・地域が参加し、基本的に共通の調査票(70問228項目)を用いる国際調査で、日本の過去の回は訪問面接法や郵送法など方法が回ごとに異なる。幸福感は4段階、生活満足度や人生を自由に動かせる感覚は1〜10の尺度で尋ね、6〜10を「満足」「自由になる」として集計している。
この号から言えること
- 個人の幸福感(88.4%)は30年近く高水準で安定している一方、政府・政党への信頼や国の行方への評価は2019年より厳しくなっており、個人の暮らしの評価と社会への評価は同じ動きをしていない。
- 人生を自由に動かせるという感覚は2010年の50%から69%へ高まったが、勤勉が成功につながると考える人は過去最低の53%であり、「自分の人生」と「社会での成功の仕組み」への見方が分かれている。
- 物価の抑制を国家目標に挙げる人が61%で過去最高、経済競争力が悪い方向とする人が約26ポイント増と、経済への不安が数字に強く表れている。
- ソーシャルメディアやインターネットからの情報接触が大きく増え、新聞・テレビへの信頼と接触はともに減っている。
読むときの注意
調査方法は回によって訪問面接法・郵送法、無作為抽出・割当法と異なり、2024年は生活満足度・競争・成果報酬などで質問文が変わっているため、単純な時系列比較には限界がある。本レポートは時系列変化が見られた項目を中心に紹介したもので、国際比較は各国の調査完了後に後日報告予定とされている。示されているのは割合の推移であり、ある項目が幸福度を変えたといった因果関係は示していない。