この号の内容
20か国超・20万人超の追跡調査
GFSは、20か国を超える国々の20万人超を5年間追いかける縦断研究(同じ人を時間を追って繰り返し調べる研究)である。総額43.4百万ドル($43.4 million)の事業で、ギャラップ(Gallup)、COS、ベイラー大学とハーバード大学の研究者が協働している。発表は、1か国内で回答者を追跡した研究はいくつもあるが、GFSの範囲と広がりは前例がないと位置づけている。データは研究者、ジャーナリスト、政策立案者、教育者のための資源になるとされる。
📖 報告書では:COS発表ページ 冒頭段落(Feb. 13, 2024)、「About the Global Flourishing Study」
データ入手の3つの道
データの入手方法は3通りである。1つ目は事前登録(分析を始める前に分析計画を公開の場に登録すること)で、計画を登録すれば今すぐ第1波データにアクセスできる。2つ目は学術誌に登録報告(Registered Report)を投稿する方法である。3つ目は一般公開で、事前登録をしない人も、各波の初回公開から1年後に機微でないデータを入手できる。
📖 報告書では:COS発表ページ「Researchers can access GFS data in three ways」の箇条
登録報告が防ぐ「出版バイアス」
登録報告では、学術誌が事前の分析計画を審査し、結果がどうであれ掲載することを約束する。発表は、この仕組みが出版バイアス(目立つ結果ばかりが論文になりやすい偏り)を防ぐと説明している。事前登録を入口に置くことで、膨大なデータから都合のよい結果だけを拾う分析を抑える設計になっている。
📖 報告書では:COS発表ページ「Registered Report」の項
OSFを通じた透明な公開
データはCOSが運営する無料・オープンソースの研究管理ツール、オープンサイエンス・フレームワーク(Open Science Framework、OSF)を通じて提供される。共同ディレクターのバイロン・ジョンソン博士(ベイラー大学)は、この規模の事業ではデータを学界だけでなく世界中に開くことが不可欠であり、COSは透明・倫理的・再現可能な形での公開を保証できると述べている。COSのファジン・ワン博士は、世界中の誰もがこの前例のないデータにアクセスできるよう管理を担うと語っている。
📖 報告書では:COS発表ページ 本文中盤(ジョンソン博士、ワン博士の発言)
主導者と資金提供者
もう一人の共同ディレクター、タイラー・ヴァンダーウィール博士(ハーバード大学ヒューマン・フラーリシング・プログラム所長)は、GFSを人間のウェルビーイング研究のための縦断データ資源と表現している。ギャラップのジョン・クリフトンCEOは、本データの公開を人間の状態を理解するための重要な一歩と述べている。資金提供者はジョン・テンプルトン財団、テンプルトン宗教トラスト、テンプルトン世界慈善財団、フェッツァー研究所など8団体である。
📖 報告書では:COS発表ページ 本文後半(ヴァンダーウィール博士、クリフトン氏の発言)、「About the Global Flourishing Study」
この号の調べ方
対象は地理的・文化的に多様な20か国超から選ばれた20万人超で、確率に基づくパネル(無作為抽出で選んだ同じ回答者を繰り返し調べる調査集団)として構成される。期間は5年間で、調査はギャラップが担う。本号は第1波データの公開を告知するもので、測定項目や指標の具体的な中身は本発表には記されていない。
この号から言えること
- 本号は調査結果ではなく、データの入手経路を定めた「公開ルール」の告知である。事前登録者が先に使い、一般の利用は1年遅れるという順序がこの号の核心である。
- 事前登録と登録報告を入口にした設計は、出版バイアスを防ぐための仕組みとして説明されている。
- 1か国内の追跡にとどまらず、20か国超を同じ枠組みで5年間追う点が、発表が「前例がない」とする根拠である。
読むときの注意
本発表には国別の数値や幸福度の結果は一切含まれず、日本についての記述もない。フラーリッシュ指数の構成(5領域×2問など)も本発表には書かれていないため、指標の詳細は別の報告書で確かめる必要がある。対象者数は「20万人」と「20万人超」の両方の表現で記されている。