この号の内容
若い成人ほど低く、U字が消えた
これまでの研究では、幸福度は若い時期と老年期に高く中年期に低い「U字」を描くと考えられてきた。しかし本研究で22か国をまとめて分析すると、フラーリッシュは18〜49歳でほぼ横ばいで、その後は年齢とともに上がった。若い成人は年長の成人よりフラーリッシュが低い。紹介ページは、これが人生の一時期の現象ではなく世代の変化であれば、今の若者は年を重ねても自然には抜け出せないと指摘し、政策担当者や教育者への警鐘と位置づけている。
📖 報告書では:公式ページ §1 Key Takeaways 01、§2 Why It Matters、§3 The Story
宗教行事への参加と0.81点の差
宗教行事に週1回を超えて参加する成人は、まったく参加しない人に比べ、フラーリッシュ得点が10点満点で平均0.81点高い。紹介ページは、フラーリッシュ得点が最も高いのは毎週参加する人々だと強調している。子ども時代についても、22か国の成人の41%が12歳ごろに週1回以上宗教行事に参加していたと答えた。多くの国で一貫して見られるこの関連から、紹介ページは精神的・共同体的な道筋にもっと注目すべきだと述べている。
📖 報告書では:公式ページ「Notable finding」、§3 The Story、図「+0.81 points」「41%」
結婚・仕事との関連と国ごとの例外
結婚していること、仕事があること、定期的に宗教行事に参加していることは、いずれも高いフラーリッシュと関連していた。結婚している人のほうが離婚した人よりフラーリッシュが高いという傾向は、ほぼすべての国で共通していた。一方で、インドとタンザニアでは、結婚している人のほうが独身の人よりフラーリッシュが低かった。同じ要因でも国によって関連の向きが変わることがある。
📖 報告書では:公式ページ §3 The Story
子ども時代の経験と大人の状態
親との関係が良かった人、経済的に恵まれた環境で育った人、子どものころの健康状態がとても良かった人ほど、大人になってからのフラーリッシュが高い傾向があった。逆に、虐待を受けた人や、育つ中で自分を「よそ者」のように感じていた人は、後のフラーリッシュが低い傾向があった。虐待との負の関連は「中程度に頑健」とされる。測定されていない別の要因(交絡要因)でこの関連をすべて説明するには、その要因が虐待とフラーリッシュの両方と1.74倍の強さで結びついている必要がある。
📖 報告書では:公式ページ §1 Key Takeaways 02、§3 The Story、図「1.74x」
豊かな国ほど「意味」は低め
国によって強い領域が異なる。豊かな国は経済的な安定が高い一方で、一部の中所得国と比べると意味と目的や人とのつながりが低い傾向があった。紹介ページはここから、お金と生きる目的の感覚は必ずしも連動しないと述べる。さらに、経済成長だけに注力するのでは足りず、意味・人間関係・人柄も重要であり、国が豊かになるとそれらが損なわれることもあると論じている。
📖 報告書では:公式ページ §1 Key Takeaways 03、§2 Why It Matters、§3 The Story
日本の結果
この号の調べ方
調査対象は、インドネシアからスウェーデン、ブラジルから日本まで、人が住むすべての大陸にまたがる22か国の20万人超である。測ったのは、幸福、健康、意味、人柄、人間関係、経済的な安定の6つの側面で、これらをまとめて「フラーリッシュ」として0〜10点で評価する。分析は22か国をまとめた結果と国別の結果の両方を示し、子ども時代の経験は大人が振り返って回答したものである。論文はVanderWeeleらによる『Nature Mental Health』3巻6号(2025年)636〜653ページに掲載された。
この号から言えること
- 幸福の「U字」は見られず、若い成人ほどフラーリッシュが低い。これが世代の変化かどうかが、今後の追跡調査の焦点になる。
- 日本は22か国中で最下位であり、首位インドネシアとの差は2.21点と大きい。
- 結婚や宗教行事への参加といった要因との関連は、多くの国で共通する一方、インドやタンザニアの結婚のように例外もある。
- 豊かな国は経済的な安定が高い反面、意味と目的が低い傾向がある。所得だけでは測れない幸福の側面が浮かび上がっている。
読むときの注意
示された結果は関連(相関)であり、宗教行事への参加や結婚がフラーリッシュを高めると証明したものではない。渡された元資料は研究プロファイル論文の紹介ページであり、第2波データの中身や公開条件(事前登録の要否、2026年の一般公開など)は書かれていないため、これらは本稿の根拠に含めていない。子ども時代の経験は大人になってからの振り返りによる回答である。