ウェルビーイングの調査・報告書

2026年版テーマ:AI導入の成否を左右する管理職と、職場の感情(The Human Side of the AI Revolution)

State of the Global Workplace: 2026 Report(The Human Side of the AI Revolution)

Gallup

Gallupが毎年出す世界の職場調査の2026年版で、副題は「AI革命の人間的側面(The Human Side of the AI Revolution)」である。いちばんの話題は、2025年の世界の従業員エンゲージメント(仕事・チーム・雇用主への心理的な結びつき)が20%となり、初めて2年連続で下がったことである。低下の大半は管理職によるもので、管理職のエンゲージメントは1年で27%から22%へ5ポイント下がった。一方、人生がうまくいっている(Thriving)人の割合は33%から34%へ、3年ぶりに上向いた。

この号の内容

熱意ある社員は20%に低下

2025年の世界のエンゲージメントは20%で、ピークだった2022年の23%から下がった。2年連続の低下は調査史上初めてで、前年比で上がった地域は一つもなく、最大の落ち込みは南アジアの−5ポイントである。内訳は、熱意あふれる社員20%、熱意なし64%、やる気のない社員16%である。報告書は、低いエンゲージメントによる生産性の損失を世界で約10兆ドル(GDPの9%)と試算している。長期で見ると、初回測定の2009年より8ポイント、10年前より5ポイント高く、1ポイントは約21百万人(21 million)の従業員に相当する。

📖 報告書では:「The Engagement Slump Continues」p.5–6、Global Summary p.17、Employee Engagement p.18

管理職の「上乗せ」が縮む

管理職のエンゲージメントは2022年以降で9ポイント下がり、2024年から2025年にかけて27%から22%へ5ポイント下がった。これが前年比で最大の下げ幅である。報告書は、管理職がかつて持っていた「エンゲージメントの上乗せ」が失われ、部下と同じ程度にしか熱意を持てなくなりつつあると指摘する。南アジア(主にインド)では管理職のエンゲージメントが8ポイント下がり、管理職の割合も減った。一方、優良事例の組織では管理職の79%が熱意あふれる状態にあり、世界平均の約4倍である。

📖 報告書では:「The Shrinking Perk of Being a Manager」p.7–8、図「Manager Engagement (2022-2025)」p.8

AI活用のカギは管理職

MITの研究では、約$40 billionの企業投資にもかかわらず95%の組織で利益への測定可能な効果がなかった。NBERの調査では、経営者の89%が過去3年間にAIによる労働生産性への影響はなかったと答えている。AI導入組織の米国の従業員では、65%がAIは自分の生産性に良い影響があったと答えた(悪い影響は7%)。しかし、AIが組織の仕事の進め方を変えたと強く同意する人は12%にとどまる。2026年第1四半期の米国調査では、AIの頻繁な利用に結びつく上位2要因は、既存システムへの統合と、管理職が主導する導入であった。ところが、管理職がチームのAI利用を積極的に支援していると強く同意する人は米国で3分の1未満、ドイツでは21%である。

📖 報告書では:「From the CEO」p.4、p.6、p.9

求人市場の見方は52%

2025年に「今は仕事を見つけるのに良い時期だ」と答えた従業員は52%で、前年より1ポイント上がった。ただし、2019年の最高値55%には届いていない。上昇分はすべて、リモート勤務ができない完全出社の人(+2ポイント)によるものである。一方、完全リモートの人は−5、リモート可能なのに完全出社の人は−14と悲観が強まった。地域別では、オーストラリア・ニュージーランドが−12、米国・カナダが−10と大きく下がった。米国・カナダは2019年の70%から47%へ23ポイント下がり、下から2番目の地域になった。仕事の選択肢が多いと感じる人ほど、良い時期だと答える割合が50%近く高く、この傾向はすべての地域で見られる。

📖 報告書では:「The Future of Jobs」p.10–11

AIによる失職不安が拡大

2026年第1四半期には、米国の従業員の18%が、今後5年以内に自動化やAIなどの技術革新で自分の仕事がなくなる可能性が「非常に」または「ある程度」あると答えた。AI導入組織に限ると、この割合は23%に上がる。業種別では金融32%、保険32%、テクノロジー31%と高い。ドイツのAI利用組織では19%である。AI導入組織のうち従業員1万人以上の大企業では、人員を「削減中」(33%)が「拡大中」(30%)を上回った。一方、5,000〜1万人規模では「拡大中」38%が「削減中」23%を上回った。報告書は、雇用への影響は一様にマイナスではないとしている。

📖 報告書では:「The Future of Jobs」p.12、図「Perceived Likelihood Job Will Be Eliminated in Next 5 Years」

幸福は改善、日々の感情は重い

人生の評価は、キャントリルの梯子(0〜10の梯子で、今の人生と5年後の人生を評価する質問)でたずねる。これにもとづく「繁栄している(Thriving)」人の割合は、2025年に33%から34%へ3年ぶりに上がった。上昇幅が大きかったのは中南米・カリブと欧州(各+2ポイント)である。一方、前日に多くのストレスを感じた人は40%、怒り22%、悲しみ23%、孤独22%で、パンデミック前より高い水準が続く。上位の役職ほどエンゲージメントと人生の評価は高いが、リーダーは一般社員に比べ、前日のストレスが+7、怒りが+12、悲しみが+11、孤独が+10ポイント多い。ただし、熱意ある管理職は負の感情がどれも一般社員より少なく、繁栄している割合も平均的なリーダーより14ポイント高い。

📖 報告書では:「Managing the Emotional Workplace」p.13–15、Global Summary p.17、Life Evaluation p.19

日本の結果

日本は東アジア地域(中国、香港、日本、モンゴル、韓国、台湾)に含まれ、国別の推移はp.221に載っている。この号の日本の値は、エンゲージメント(熱意あふれる社員)8%、人生がうまくいっている(Thriving)31%、前日に多くのストレスを感じた人39%である。世界全体(20%、34%、40%)と比べると、エンゲージメントは半分以下で、Thrivingは3ポイント低く、ストレスは1ポイント低い。東アジア地域(エンゲージメント18%、Thriving 32%、ストレス46%)と比べても、エンゲージメントの低さが際立つ。なお、仕事とウェルビーイングの関係を探る分析は、日本に拠点を置く人材サービス企業パーソル(PERSOL)とWellbeing for Planet Earth財団がGallupと共同で行ったものである。

この号の調べ方

報告書は、従業員体験に関する世界最大の継続調査として、2025年の年次結果をまとめている。エンゲージメントはGallup独自の12項目の質問(Q12)で測り、測定は2009年に始まった(2010・2011・2017年はデータなし)。世界のエンゲージメント20%の誤差は±0.1ポイント未満である。AIや雇用不安の多くは、2026年第1四半期の米国従業員調査と、ドイツでの別調査にもとづく。地域サマリーの変化幅は3年移動平均どうしの比較で示されている。

この号から言えること

  • 世界のエンゲージメント低下の主因は管理職の熱意低下であり、管理職が部下に対して持っていた「上乗せ」が消えつつある。
  • 報告書は、AI投資の成果が組織の成果に表れない理由として、技術よりも管理職の関わり方を挙げ、管理職が積極的に支援する職場ほどAIの価値を実感する人が多いと示している。
  • 人生の評価は3年ぶりに改善したが、日々のストレスや悲しみはパンデミック前より高い。リーダーほど人生の評価は高い一方で、前日の負の感情も多い。
  • 日本はエンゲージメント8%と、世界平均20%や東アジア18%を大きく下回る。

読むときの注意

エンゲージメントや仕事の選択肢と幸福度・求人市場への楽観との関係は、同時点の相関であり、報告書のデータだけでは因果を示していない。AIや失職不安の数字の多くは米国とドイツの調査にもとづき、世界全体の値ではない。地域の値は3年移動平均にもとづく比較であり、単年の国別値とは性質が異なる。

出典

主に参照した箇所:本文PDF p.4–15(CEOメッセージと4つの主要章)、p.17–19(Global Insights)、p.61(East Asia地域サマリー)、p.218–221(東アジアの国別推移、日本はp.221)。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

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