ウェルビーイングの調査・報告書

国際比較調査毎年データ:集計表のみ

Gallup グローバル職場環境調査(State of the Global Workplace)

State of the Global Workplace(SOGW)

Gallup

世界の働く人の仕事への熱意(エンゲージメント)と、ストレスや人生の評価を国別に比べる年次報告書。
対象
働く人(15歳以上)
対象の国・地域
140以上の国・地域(2026年版で)
規模
263,810人(うち就業者141,444人)(2026年版の2025年データで)
方法
横断調査
頻度・期間
毎年(2026年)
幸福の測り方
従業員エンゲージメント(GallupのQ12。熱意あふれる/熱意なし/やる気のない社員の3区分)、人生の評価にもとづく「繁栄している(Thriving)」割合、前日のストレス・怒り・悲しみ・孤独
データの入手
集計表のみ gallup.com/workplace/349484/state-of-the… ↗

従業員エンゲージメント(熱意あふれる社員の割合)の推移

日本(%)・各年版の公式資料から
5785582223242526

年は報告書の発行年で、データはその前年まで。国別値は3年移動平均(2022年版は2019〜2021年平均、2025年版も3年移動平均と明記)。

どんな調査か

State of the Global Workplace(SOGW、グローバル職場環境調査)は、米国の調査会社Gallupが毎年発行する、世界の働く人の状態をまとめた報告書である。Gallupはこれを「従業員の経験についての、継続中の調査として世界最大のもの」と位置づけている。仕事への熱意(エンゲージメント)、人生の評価、前日の感情、仕事の見つけやすさ(ジョブ・クライメート)などを、世界・地域・国の単位で示す。2026年版(2025年データ)は140以上の国・地域を10の地域に分けて扱い、副題は「AI革命の人間的側面(The Human Side of the AI Revolution)」である。データの蓄積は2009年から2025年まで続いており、通算の回答者は5,754,327人(うち就業者2,616,488人)にのぼる。

何をどう測っているか

主なデータは、2005年から無作為抽出で世界の成人を調べているGallup World Pollから取る。調査は通常、年1回、対面または電話で行い、対象は15歳以上の一般市民で、本報告書では雇用主のもとで1時間以上働く人の回答を使う。米国ではウェブ調査による働く人の大規模な無作為標本を加えている。2025年データは2025年1〜12月に集めた263,810人(うち就業者141,444人)である。エンゲージメントはGallup独自の12項目「Q12」(例:「職場で自分に何が期待されているか分かっている」「この1年、学び成長する機会があった」)を5段階で答えてもらい、独自の計算式で「熱意あふれる」「熱意なし(静かな退職)」「やる気のない(騒がしい退職)」の3区分に分ける。ウェルビーイングはキャントリルの梯子(0〜10で今の人生と5年後の人生を評価する質問)を使い、今が7以上かつ5年後が8以上の人を「繁栄している(Thriving)」、両方4以下の人を「苦しんでいる(Suffering)」、それ以外を「もがいている(Struggling)」とする。前日の感情は「昨日一日の多くの時間にストレス・怒り・悲しみ・孤独を感じたか」で測り、生産性損失の金額はQ12と業績の関係を示すメタ分析と標準的な効用分析をもとに各国GDPから推計して合計している。

これまでの歩み

2022年版(2021年データ)は、エンゲージメント21%、Thriving 33%がともに前年から1ポイント上がった一方、前日に強いストレスを感じた人が44%と過去最高を更新したことを伝え、従業員のウェルビーイングを職場の新たな必須課題とした。2023年版(2022年データ)は、エンゲージメントが23%と2009年の測定開始以来の最高になったことを伝え、59%を占める「静かな退職」層の立て直しが経済成長のカギだと強調した。2024年版(2023年データ)はエンゲージメント23%の横ばい、Thrivingの35%から34%への低下を示し、従業員のメンタルヘルスを中心テーマに、孤独・ストレス、経済状況や労働法、管理職の役割を論じ、損失を8.9兆ドル(世界GDPの9%)と推計した。2025年版(2024年データ)はエンゲージメントが21%に下がったことを伝え、主な原因を管理職のエンゲージメント低下(30%→27%)と結論づけ、管理職の研修・育成を立て直しの鍵とした。また2025年版から、地域のデータを3年分の調査をまとめた値で示すようになった。2026年版(2025年データ)はエンゲージメントが20%となり初めて2年連続で下がったこと、損失を約10兆ドル(GDPの9%)と推計したこと、AIと職場の関係を新たに大きく扱ったことが特徴である。

分かってきたこと

エンゲージメントは2022年の23%をピークに下がり続けている

世界の熱意あふれる社員の割合は、2022年の23%から2025年には20%となり、2020年以来の低さである。2年連続の低下は測定史上初めてで、2025年に上がった地域は一つもなく、最も大きく下がったのは南アジア(−5ポイント)である。それでも2009年の最初の測定より8ポイント、10年前より5ポイント高い。報告書によれば1ポイントはおよそ21百万人(21 million)の働く人に相当する。

管理職の「エンゲージメントの上乗せ」が縮んでいる

管理職のエンゲージメントは2022年以降で9ポイント下がり、2024年から2025年の1年で27%から22%へと最大の下げ幅を記録した。報告書は、管理職はかつて部下より熱意が高かったが、次第に部下と同程度になりつつあると指摘する。南アジア(主にインド)では管理職のエンゲージメントが8ポイント下がると同時に管理職の割合も減っており、報告書は組織のフラット化が一因である可能性を挙げている。一方、ベストプラクティス組織では管理職の79%が熱意あふれる状態で、世界平均のほぼ4倍である。

リーダーは人生の評価が高いが、日々の負担も重い

役職別に見ると、リーダー層はエンゲージメント26%、Thriving 43%と最も高い。ところが前日の強いストレス46%、怒り33%、悲しみ34%、孤独31%と、負の感情も多い。一般社員と比べるとストレスは7ポイント、怒りは12ポイント、悲しみは11ポイント、孤独は10ポイント高く、笑った・楽しんだといった前向きな感情も少ない。ただし熱意あふれる管理職(リーダーを含む)は、すべての負の感情が一般社員より少なく、Thrivingの割合も平均的なリーダーより14ポイント高い。

ウェルビーイングは持ち直したが、負の感情はコロナ前より高いまま

Thrivingは2018〜2022年に5年続けて改善したあと下がっていたが、2025年に33%から34%へ3年ぶりに上向いた。上昇が大きかったのは中南米・カリブとヨーロッパ(ともに+2ポイント)である。一方、前日のストレス・怒り・悲しみの割合はピークからは下がったものの、2020年以前より高い水準にとどまっている。PERSOLとWellbeing for Planet Earth財団との共同分析では、仕事を楽しみ、他者の役に立つと感じ、仕事に選択肢があると思う人ほど、ウェルビーイングとエンゲージメントが高い傾向がある。

AIの効果は個人には見えるが組織には届いていない(米国データ)

この章は世界調査ではなく米国の調査にもとづく。AIを導入した組織の米国の働く人の65%がAIは自分の生産性にプラスだと答えた一方、AIが組織の仕事の進め方を変えたと強く同意した人は12%にとどまる。管理職がチームのAI利用を積極的に支えていると強く同意する人は、AIが仕事の進め方を変えたと強く同意する割合が8.7倍だが、そうした支援があると強く同意する人は3分の1に満たない。また2026年第1四半期には米国の働く人の18%が、今後5年以内に自動化やAIで仕事がなくなる可能性があると答えた。

日本の結果

日本は東アジア地域(中国、香港、日本、モンゴル、韓国、台湾)に含まれる。2026年版で日本の熱意あふれる社員は8%で、世界(20%)の半分以下、東アジア全体(18%)と比べても低さが際立つ。人生が繁栄している(Thriving)人は31%(世界34%、東アジア32%)、前日に強いストレスを感じた人は39%(世界40%、東アジア46%)、前日に孤独を感じた人は11%である。熱意あふれる社員の割合は2022年版・2023年版の5%(東アジア最下位)から、2024年版6%、2025年版7%、2026年版8%と少しずつ上がっているが、東アジアでは下位にとどまる。2024年版では「今は仕事を見つけやすい時期」と答えた人が40%(前回から+15ポイント)、2025年版では53%(+13ポイント)と伸びており、2022年版では前日に一日中敬意をもって扱われなかったと答えた人が26%と東アジアで最も高く、世界平均の11%を大きく上回った。

各年版(5)

  • 2026 State of the Global Workplace: 2026 Report(The Human Side of the AI Revolution) この号を読む → Gallupが毎年出す世界の職場調査の2026年版で、副題は「AI革命の人間的側面(The Human Side of the AI Revolution)」である。いちばんの話題は、2025年の世界の従業員エンゲージメント(仕事・チーム・雇用主への心理的な結びつき)が20%となり、初めて2年連続で下がったことである。低下の大半は管理職によるもので、管理職のエンゲージメントは1年で27%から22%へ5ポイント下がった。一方、人生がうまくいっている(Thriving)人の割合は33%から34%へ、3年ぶりに上向いた。
  • 2025 State of the Global Workplace: 2025 Report この号を読む → Gallupが毎年まとめる世界の職場調査の2025年版で、2024年のデータを扱う号である。最大の話題は、世界の「熱意あふれる社員」の割合が23%から21%に下がったことである。この低下は過去12年で2020年に次ぐ2回目で、下げ幅はコロナ禍のロックダウンの年と同じ2ポイントである。報告書は、主な原因を管理職のエンゲージメント低下(30%→27%)と結論づけ、管理職への研修と育成を立て直しの鍵としている。
  • 2024 State of the Global Workplace: 2024 Report この号を読む → Gallupが毎年出す、世界の働く人の「仕事への熱意」と「暮らしの調子」をまとめた報告書の2024年版である。2023年の世界のエンゲージメント(仕事への熱意と関与)は23%で横ばいだった。人生がうまくいっている「繁栄している」人は35%から34%に下がった。今号の中心は従業員のメンタルヘルスで、孤独・ストレス、経済状況や労働法との関係、マネジャー(管理職)の役割を論じている。低いエンゲージメントによる世界経済の損失は8.9兆ドル(世界GDPの9%)と推計している。
  • 2023 State of the Global Workplace: 2023 Report この号を読む → Gallupが世界の働く人の声をまとめる年次報告「State of the Global Workplace」の2023年版(2022年のデータ)である。最大の話題は、仕事に熱意をもって取り組む「エンゲージメント」の高い社員が23%となり、2009年の測定開始以来の最高を記録したことだ。一方で、前日に強いストレスを感じた人は44%と、2021年の過去最高に並んだまま下がっていない。報告書は、59%を占める「静かな退職」層をどう立て直すかが経済成長のカギだと強調している。
  • 2022 State of the Global Workplace: 2022 Report この号を読む → Gallupが世界の働く人の声をまとめた年次報告書の2022年版で、新型コロナの流行2年目にあたる2021年の仕事と生活の状態を扱う。仕事に熱意をもって取り組む人(エンゲージメント)は21%、人生がうまくいっている「繁栄している」人は33%で、ともに前年から1ポイント上がったが、エンゲージメントは2019年の最高値を下回ったままである。いちばんの話題は、前日に強いストレスを感じた人が44%に達し、2020年に続いて過去最高を更新したことである。報告書は、従業員のウェルビーイングを職場の新たな必須課題と位置づけている。

どう読む・どう使う

国や地域の働く人の状態を、同じ質問・同じ基準で毎年並べて見られるため、国際比較や長期の動きをつかむ基礎資料として使える。管理職のエンゲージメント低下や役職ごとの感情の違いの分析は、企業が管理職の育成や負担軽減を考える手がかりになる。前日のストレスや孤独、ジョブ・クライメート(仕事の見つけやすさ)の国別データは、労働政策やメンタルヘルス施策の議論で、自国の位置を確かめる材料になる。日本にとっては、エンゲージメントが世界・東アジアで低い水準にあることを、教育や職場の研修で現状を共有する入口として使える。

読むときの注意

エンゲージメントはGallup独自のQ12と非公開の計算式による指標で、学術研究で使われる「ワーク・エンゲイジメント」の尺度とは別物である。日本の割合の低さには、肯定的な回答を控えめにする答え方の傾向も影響しうるため、数字の差をそのまま職場の実態の差と読まないほうがよい。生産性損失の金額は効用分析による推計で、各国の標本は全国の働く人を代表するものなので、企業内で行うエンゲージメント調査の数字とは比べられない。国別値は3年移動平均で示されている年があり、地域データも2025年版から3年分の集計に変わったほか、AIの章は米国中心の別調査、2024年の中国はウェブの自己回答方式で集めたなど、版や項目で方法が異なる点に注意が要る。

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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