この号の内容
3つの法定報告を1冊に
本報告は、少子化社会対策基本法第9条第1項、子ども・若者育成支援推進法第6条第1項、子どもの貧困対策の推進に関する法律第7条第1項(あわせて「3基本法」)にもとづき、毎年国会へ出す報告である。3基本法は令和5年4月のこども家庭庁設置に伴い、内閣府から同庁へ移管された。今回の対象は、同庁発足前の令和4年度の状況である。それまでは内閣府が別々に報告していたが、今回は冊子1冊にまとめている。
📖 報告書では:概要p.2(別表)、p.3「1.趣旨」
4部構成と3大綱の柱
構成は次の4部である。第1部は、こども・若者や子育て当事者を取り巻く現状を記す。第2部は少子化への対処施策、第3部は子ども・若者育成支援施策、第4部は子どもの貧困対策である。第2部以降は、少子化社会対策大綱(令和2年5月閣議決定)、子供・若者育成支援推進大綱(令和3年4月6日決定)、子供の貧困対策に関する大綱(令和元年閣議決定)の柱立てに沿っている。記載は令和4年度に講じた施策が中心である。
📖 報告書では:概要p.3「2.構成」、p.4
出生数・出生率が過去最低
報告は、出生数の減少が予測を上回る速さで進み、人口減少に歯止めがかかっていないと指摘する。2022年の出生数は77万759人で統計開始以来最少となり、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むこどもの数に相当する指標)は1.26で過去最低を記録した。報告は、少子化の流れを反転させるには、若い世代が将来に明るい希望をもてる社会をつくることが不可欠だとしている。
📖 報告書では:概要p.4「(主なポイント)」2点目、図「出生数と合計特殊出生率の推移」
子どもの貧困とひとり親家庭
国民生活基礎調査によると、相対的に貧困の状態にあるこどもの割合(相対的貧困率)は11.5%(2021年)である。相対的貧困とは、社会の標準的な所得と比べて所得が低い状態を指す。なかでもひとり親家庭の貧困率は44.5%(同年)と高い。第4部では、教育支援、生活の安定に役立つ支援、保護者の就労支援、経済的支援の4つを重点施策として整理している。あわせて、こどもの貧困に関する調査研究と推進体制も記載している。
📖 報告書では:概要p.4「(主なポイント)」3点目、第4部第1〜3章
自己満足感は諸外国より低い
報告は、「自分自身に満足している」こども・若者の割合が半数を下回り、諸外国と比べて低いと記す。そのうえで、多様な指標を参照しながら、日本社会に根差したこども・若者のウェルビーイングの向上を図ることが重要だとしている。概要版には、この割合の具体的な数値や比較対象国は示されていない。
📖 報告書では:概要p.4「(主なポイント)」3点目
家族関係社会支出は上昇
報告は、さまざまな施策を充実させた結果、家族関係社会支出の対GDP比が上昇したとしている。家族関係社会支出とは、児童手当や保育などの家族向け公的支出を指す。第2部では、少子化対策の重点課題を5つ挙げる。たとえば、結婚・子育て世代が将来の展望を描ける環境づくり、多様化する子育て家庭のニーズへの対応、結婚・妊娠・出産・子育てに温かい社会づくりである。施策は、結婚前・結婚・妊娠出産・子育てというライフステージ別にも整理されている。
📖 報告書では:概要p.4「(主なポイント)」1点目、図「家族関係社会支出の推移」、第2部第1〜2章
日本の結果
この号の調べ方
対象は令和4年度(こども家庭庁発足前)の日本のこども・若者と子育て当事者である。少子化・子ども若者育成支援・子どもの貧困という3分野の法定報告を1冊に統合している。数値は人口動態の出生統計、国民生活基礎調査にもとづく相対的貧困率、家族関係社会支出の推移などから引いている。今回参照したのは全4ページの概要版である。
この号から言えること
- 少子化の加速が最大の論点である。出生数77万759人、合計特殊出生率1.26はいずれも過去最低・最少で、報告は若い世代が将来に希望をもてる社会づくりが不可欠だとしている。
- ひとり親家庭の貧困率は44.5%で、子ども全体の相対的貧困率11.5%の約4倍にあたる。家庭の形によって状況に大きな差がある。
- 経済指標だけでなく「自分自身に満足している」という主観的な指標も取り上げ、日本社会に根差したウェルビーイングの向上を政策目標として打ち出している。
読むときの注意
本記事が参照したのは4ページの概要版である。抽出テキストでは数値の一部(家族関係社会支出の対GDP比など)が欠けているため、具体値は本文PDFで確認する必要がある。「自分自身に満足している」割合の数値や比較対象国も概要版には載っていない。また、施策の充実と支出の上昇、出生数の推移の関係は、概要版では因果として検証されていない。