どんなレポートか
こども白書は、こども家庭庁が「こども基本法」(令和4年法律第77号)第8条第1項にもとづいて毎年国会に提出する年次報告である。日本のこどもをめぐる状況と、政府が講じたこども施策の実施状況を報告することが目的である。それまで別々に作られていた「少子化社会対策白書」「子供・若者白書」「子供の貧困の状況及び子供の貧困対策の実施の状況」の3つを、一体にして作成・公表している。法定白書としては2024年版(令和6年版)が最初で、2026年版(令和8年版)が3回目にあたる。こども施策の全体像と、こども・若者のウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)にかかわる数字を1冊で追える資料である。
何をどう測っているか
白書は独自の調査を行うのではなく、既存の行政データや各種の統計・調査を集めてまとめる。第2部では、政府の「こども大綱」(こども施策の基本方針)に掲げた指標をもとに、こども・若者や子育て当事者の状況を概説する。指標の例は「どこかに助けてくれる人がいる」「安心できる場所がある」「自分の将来について明るい希望がある」と思うこども・若者の割合などである。こうした自己認識や居場所に関する主観的な数字は、こども・若者総合調査などの調査から引用している。出生数や合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むこどもの数の推計値)、自殺者数、不登校、いじめの重大事態、子どもの相対的貧困率といった客観的な統計もあわせて載せる。第3部では、政府の施策の実施状況をまとめる。第1部には各年のテーマを掘り下げる特集を置く。
これまでの歩み
前身として、2023年12月22日に閣議決定された令和4年度の報告がある。これはこども家庭庁の発足前の年度について、少子化・子ども若者育成支援・子どもの貧困の3分野を1冊にまとめた国会報告で、2023年4月に3法の所管が内閣府から同庁へ移ったことを受けて同庁が取りまとめた。2024年6月21日閣議決定の令和6年版が法定白書として創刊され、特集は「こども大綱」「次元の異なる少子化対策」「日本のこども・若者の意識の現状」の3本であった。2025年6月13日閣議決定の令和7年版は2024年度を扱い、特集は「居場所づくり」「若い世代のライフデザインや出会いの支援」「保育政策の新たな方向性」「こどもの悩みに寄り添う社会」の4本である。2026年6月19日閣議決定の令和8年版は2025年度を扱い、特集は児童手当の拡充などの子育て世帯向け経済的支援、「こども誰でも通園制度」の全国実施、こどもへの性暴力対策の3本である。特集のテーマは、制度の枠組みの説明から、居場所や悩みへの寄り添い、具体的な支援制度の実施へと移っている。
分かってきたこと
身近な支えは9割超、社会の将来像は低い
「どこかに助けてくれる人がいる」と思うこども・若者は2024年版・2025年版で97.1%、2026年版で96.3%と、いずれも9割を超える。2026年版では「安心できる場所がある」も98.1%である。一方、2024年版・2025年版では「自国の将来は明るい」と思う割合が23.1%にとどまる。2025年版は、身近な支えと社会の将来像の間に大きな差があると記している。
少子化は毎年の記録を更新している
2022年の出生数は77万759人で統計開始以来最少、合計特殊出生率は1.26で過去最低となった。2023年は出生数72万7,288人、合計特殊出生率1.20と、さらに最少・最低を更新した。2026年版では、2025年の出生数が67万1,236人、合計特殊出生率が1.14に下がった。
不登校・いじめ・自殺など厳しい数字が続く
2025年版は、不登校といじめの重大事態が過去最多となったことを挙げている。2026年版でも、不登校といじめの重大事態は2024年度に過去最多となった。2026年版では、小中高生の自殺者数は538人である。
自分への満足度と貧困
2024年版では、「自分自身に満足している」に「そう思う」と答えた割合は16.9%で、アメリカ・ドイツ・フランス・スウェーデンより低い。前身の令和4年度報告も、「自分自身に満足している」こども・若者が半数を下回る点を挙げ、ウェルビーイングの向上が重要だとしている。子どもの相対的貧困率は11.5%、ひとり親世帯では44.5%(いずれも2021年、国民生活基礎調査)である。
日常生活を円滑に送れている割合は約3人に1人
「社会生活や日常生活を円滑に送ることができている」と思うこども・若者は、2024年版・2025年版で51.5%、2026年版で36.7%である。2026年版の値は約3人に1人にとどまる。「自分の将来について明るい希望がある」は66.4%から68.8%となっている。