ウェルビーイングの調査・報告書

2025年版テーマ:世界の平和・ウェルビーイング・健康のつながり(Connecting Global Peace, Wellbeing and Health)

State of the World's Emotional Health 2025(Global Emotions Reportの改称版、2024年データ、144の国・地域、2025年10月)

Gallup

ギャラップ(Gallup)が毎年出してきた「世界の感情レポート」は、2025年版から「State of the World's Emotional Health(世界の感情的健康の現状)」に名前を変えた。今回はその初号で、2024年に144の国・地域で行った145,000件の面接調査をもとにしている。いちばんの話題は、前日に強い心配を感じた成人が39%、ストレスが37%にのぼり、負の感情が10年前より高いままだという点である。あわせて、暴力や紛争の多い国、平和を支える制度が弱い国ほど、怒りや悲しみが多いという関係を初めて示した。

この号の内容

負の感情は10年前より高い

2024年に前日の多くの時間で感じた負の感情は、心配39%、ストレス37%、身体の痛み32%、悲しみ26%、怒り22%だった。身体の痛みを除き、どれもパンデミック期のピークからは下がったが、10年前よりはかなり高い。心配は前年から1ポイント下がってパンデミック前の水準に戻ったものの、2014年より5ポイント、2006年より10ポイント近く高い。身体の痛みは2ポイント上がり、過去最高に並んだ。ストレス・悲しみ・怒りは前年と変わらなかった。報告書は、世界平和度指数(GPI)で暴動・ストライキ・反政府デモが2011〜2019年に244%増えたことも紹介している。

📖 報告書では:「Key Findings」p.5、「The World Is Still in a Bad Mood」p.6、図1(Chart 1)

前向きな経験は安定し、敬意は88%

前日に「敬意を持って扱われた」と答えた成人は88%で、2023年より3ポイント高く、ギャラップの記録の中でも最も高い部類に入る。「笑った・ほほえんだ」(73%)と「楽しんだ」(73%)は長期平均並みで推移した。「よく休めた」は72%で、過去10年ほぼ横ばいである。「面白いことを学んだ/した」は52%で、2023年よりやや下がったが、2014年の水準は上回っている。報告書は、前向きな感情は負の感情よりも危機の中で崩れにくいと説明している。

📖 報告書では:「But It Hasn't Lost Its Sense of Humor」p.7、図2(Chart 2)

女性と中年層に重い負担

女性は男性より、悲しみ・心配・身体の痛みを多く報告している。この差は20年近く続いており、パンデミック期には特に悲しみ・心配・痛みで広がった。同年代が普通にできる活動を妨げる健康問題を抱える人は、女性24%、男性22%だった。この男女差は過去5年で最も小さい。一方、人生評価で「充実している(thriving)」に当たる人は、女性29%、男性27%で、女性がやや多い。年齢別では、15〜49歳で怒りが多く、30〜49歳はストレスが最も多いうえ「よく休めた」が最も少ない。50歳以上は悲しみと心配が多い。

📖 報告書では:「Differences Across Demographics」p.8–9、図3・図4

脆弱国家で苦痛が最大

怒りが多かったのは、チャド、ヨルダン、アルメニア、北キプロス、シエラレオネ、イラクなどである。チャドでは2024年に怒りと悲しみがともに過去最高に達した。シエラレオネとチャドでは、人口の3分の2以上が前日に強い身体の痛みを感じていた。心配はシエラレオネ、ギニア、チャド、モザンビークで多く、経済成長の続くマルタでも61%と高かった。ウクライナでは心配が2021年の31%から、ロシアの侵攻後の2022年に52%へ上がり、2025年には57%と過去最高を記録した。レバノンでは経済崩壊期に2018年の40%から2019年の65%へ急増し、2025年は57%だった。

📖 報告書では:「Countries at the Extremes」「Fragile States Show the Most Distress」p.10–12、図5〜図9

前向きな感情には文化も影響

デンマークでは10人に9人近くが前日に敬意を持って扱われたと答え、笑いや楽しみを報告した人も大多数だった。笑い・楽しみ・敬意で上位に入りやすいのは、デンマーク、パラグアイ、インドネシアである。メキシコ、パナマ、グアテマラも上位の常連だ。報告書は、前向きな感情は豊かな国や安全な国だけのものではないと指摘している。さらに、喜びを表に出すことを良しとする文化もあれば、控えめさを重んじる文化もあり、国ごとの差には文化的な規範も表れていると述べている。

📖 報告書では:「Countries at the Extremes」p.10、「Laughter, Enjoyment and Respect: Context Matters」p.13、図10

負の感情は平和の弱さと強く関連

報告書は、国別の感情データを2つの指数と照らし合わせた。1つは暴力や紛争の少なさを測る世界平和度指数(GPI)、もう1つは公正な統治など平和を支える制度の強さを測る積極的平和指数(PPI)で、どちらも値が高いほど平和が弱いことを表す。GPIとの相関係数(関係の強さを表す数値)は最大0.46、PPIとは最大0.59だった。悲しみ・心配・怒りは、GDPの影響を差し引いてもGPIとの関連が残った。PPIでは、怒り・悲しみ・身体の痛みの関連がGDPを差し引いても強く残った。一方、楽しみや敬意といった前向きな感情は、GDPを差し引くと平和指数との関連が消えた。報告書はこれを「悪いことは良いことより心に重くのしかかる」という負の偏り(ネガティビティ・バイアス)で説明し、日々の苦痛は国の脆さを知らせる早期警報になりうると結論づけている。

📖 報告書では:「The Peace–Emotions Nexus」p.14–16、図11・図12、注27

政策への3つの提言

報告書によると、負の感情が多い国ほど出生時の平均余命が短い傾向がある(負の相関)。報告書は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、目標3(健康と福祉)と目標16(平和と公正)は切り離せないと述べている。そのうえで政策担当者に3つを求めている。①感情を先行指標として追跡する、②平和と健康の戦略を一体で進める、③感情を社会の健康をリアルタイムで示すインフラとして扱う、である。

📖 報告書では:「Implications」p.17

この号の調べ方

ギャラップ世界世論調査(Gallup World Poll)のデータを使っている。2024年に144の国・地域で、15歳以上の成人を無作為に抽出し、各国の人口構成を代表する標本に電話または対面で調査した(総計145,000件、1か国あたり通常1,000人)。質問は「昨日の多くの時間で、次の気持ちを経験しましたか」で、答えは「はい/いいえ」の2択である。結果は「はい」の割合で示している。全国標本の誤差は、95%の信頼水準で±2.1〜±5.4ポイントである。

この号から言えること

  • 前日に心配を感じた人は39%、ストレスは37%で、パンデミック期のピークからは下がったが、10年前の水準には戻っていない。
  • 敬意(88%)・笑い(73%)・楽しみ(73%)は安定しており、前向きな経験は危機の中でも崩れにくい。
  • 怒り・悲しみなどの負の感情は、GDPの影響を差し引いても平和の弱さと関連が残る。前向きな感情は、平和よりも経済状況との結びつきが強い。
  • 女性は日々の苦痛を多く報告する一方で、人生を「充実している」と評価する割合は男性と同じかやや高い(29%対27%)。

読むときの注意

平和指数と感情の関係は、国単位での相関であり、どちらが原因かを示すものではない。感情の表し方は文化によって異なるため、国どうしの比較には文化的な規範の違いも含まれる。この号には日本についての記述も数値もない。

出典

主に参照した箇所:本文PDF p.3–18(Introduction、Key Findings、The Global Emotional Landscape、Differences Across Demographics、Countries at the Extremes、The Peace–Emotions Nexus、Implications、Methodology)。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

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