この号の内容
楽観と幸福感が2割超低下
EU内の一部の国では、楽観性と幸福感の水準が20%以上低下した。楽観性が最も高いのはデンマークとスウェーデンで、最も低いのはギリシャ、イタリア、ポルトガルである。報告書は、これらの結果がいくつかの興味深い例外を除いて、おおむね各国の経済の実態を反映していると述べている。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第1段落
3人に1人超が家計悪化
3分の1を超える人が、過去5年間で家計の状況が悪化したと答えた。前回調査の2007年以降、十分な収入があり質の良い住宅に住んでいた人の中にも、失業、借金、住まいの不安定さ、サービスの利用しにくさに苦しむ人が増えた。報告書は、今日のEUの社会状況を「複雑で入り組んだ物語」と表現している。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第1段落
やりくり「非常に苦しい」7%
家計のやりくりが「非常に苦しい(great difficulty)」と答えた人は7%であった。加盟国間の差は大きく、最も高いギリシャの22%から最も低いフィンランドの1%まで開きがある。多くの人にとって、生計を立てることがより難しくなっている。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第2段落
急な借金は7割が家族頼み
急にお金を借りる必要があるとき誰に頼むかを尋ねると、欧州の人の70%は家族や親戚に頼ると答えた。友人・近所の人・その他の人が12%、サービス提供者や機関が8%である。10人に1人(10%)は誰にも頼めないと答え、所得が最も低い4分の1の層ではこの割合が15%に上る。EU全体で8%の人が、私的な借金を予定どおりに返済できなかった。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第2段落
政府・議会への信頼が低下
政府や議会など主要な公的機関への信頼は、過去5年間で低下した。低下幅が最も大きいのは、スペインやギリシャなど最も深刻な経済的困難に直面している国である。公的機関への信頼が最も高いのはデンマーク、フィンランド、ルクセンブルク、スウェーデンで、その主な理由はこれらの国の国政機関への信頼がほかに例のない高さにあることである。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第3段落
新設の質問と扱う分野
概要報告書は、雇用、所得、住宅と生活環境、家族、健康、仕事と生活の両立、生活満足度、社会の質の感じ方を扱っている。質問票の約半分は前回調査と同じで、時系列の変化を追えるようにしてある。新たに、仕事と生活の両立、否定的な感情(negative affect)、地域活動への参加、移民への態度、公共サービスに関する項目が加わった。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」末尾、「Questionnaire development」
この号の調べ方
EU加盟27か国と、クロアチア、アイスランド、コソボ、旧ユーゴスラビア・マケドニア共和国、モンテネグロ、セルビア、トルコの非EU7か国、計34か国に住む18歳以上を対象とした。調査期間は、EU加盟国が2011年9月〜2012年2月、非EU諸国が2012年5月〜8月で、総面接数は43,636件(目標は小国1,000〜大国3,000)である。標本は地域と都市化の度合いで層に分けた多段階無作為抽出で、世帯内では次に誕生日を迎える人を選んだ。調査は自宅での対面面接で行い、平均所要時間はEU27か国で38分、非EU諸国で39分である。質問票は32言語・40の言語版で実施した。
この号から言えること
- 経済危機の影響は暮らしの数字にはっきり表れている。楽観性や幸福感、家計、制度への信頼のいずれでも、経済的に苦しい国ほど落ち込みが大きい傾向がある。
- 国による差が大きい。やりくりが「非常に苦しい」人は、ギリシャの22%に対してフィンランドは1%であった。
- 困ったときの頼り先は家族が中心で、7割が家族・親戚に借りると答えた。一方で、低所得層の15%には頼れる相手がいない。
- 2007年には安定していた層(十分な収入があり、良い住宅に住んでいた人)にも、失業や借金などの困難が広がっている。
読むときの注意
本記事は公式ページの要約にもとづいており、報告書本文の章別の数値やページは確認できていない。「20%以上の低下」がどの国で起きたかは、公式ページには示されていない。また非EU7か国の調査期間(2012年5〜8月)はEU加盟国とずれており、経済状況と幸福感の結びつきも相関として読むべきで、因果関係を示すものではない。