この号の内容
生活の質:楽観が上昇、満足度は横ばい
生活の質はおおむね改善し、一部の側面は経済危機前の水準に戻った。楽観の度合いは前回調査より上がり、生活水準への満足度も高まった。生活満足度と幸福感は横ばいである。生活水準への満足度は加盟国間で差が縮まった。自己評価による健康状態は全体として良くなり、物質的な困窮も減った(家計をやりくりできる人が増えた)。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第2段落
悪化した仕事と生活の両立と老後不安
改善が目立つ一方で、仕事と生活のバランス(ワーク・ライフ・バランス)は悪化した。また、調査国の3分の2で、老後の所得が足りなくなることへの深刻な懸念がみられた。報告書は、改善がすべての国・すべての社会集団に及んだわけではない点も強調している。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第1〜2段落
社会の質:信頼と参加が2011年より改善
社会の質の指標は、2011年の前回調査から全般に改善した。国の制度への信頼が高まり、社会的な組織への関与・参加も増えた。18〜24歳では他人への信頼が上がった。社会から締め出されているという感覚(社会的排除感)も減った。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第3段落
社会の緊張:宗教・民族間はやや増加
貧困層と富裕層、経営者と労働者、高齢者と若者、男性と女性のあいだで感じられる緊張は弱まった。一方、宗教集団間・民族集団間の緊張を感じる人はわずかに増えた。性的指向をめぐる緊張も、程度はより小さいものの増えた。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第3段落
公共サービス:満足度は上昇、国差は大
公共サービスの質の評価は、前回調査から全体として改善した。医療や公共交通など主要サービスへの満足度が上がった。保育は、以前の評価が低かった複数の国で改善した。一方で、いくつかの国ではリサイクル施設の利用しやすさが新たな課題となり、一部の国では農村部での銀行の利用が問題になっている。公共サービスの質は、依然として加盟国間で大きく異なる。
📖 報告書では:公式ページ「Main findings」第4段落
幸福の質問を冒頭に移した設計
2016年版では、主観的ウェルビーイング(本人が感じる幸福や満足)の質問を面接の冒頭に置いた。ほかの話題について考えることが回答に影響するのを避けるためである。2011年版の質問の66%を時系列比較用に残しており、2016年版の質問の51%が過去の回と比較できる。質問は全104問、計262項目である。
📖 報告書では:公式ページ「Questionnaire」節「Questionnaire development」
この号の調べ方
対象はEU28か国と、アルバニア・北マケドニア・モンテネグロ・セルビア・トルコの計33か国に住む18歳以上である。調査期間は全体で2016年9月〜2017年3月(EU28は2017年2月まで、加盟候補国はやや遅れて始まり2017年3月まで)で、総数は36,908件である。標本は地域と都市化の度合いで層に分けた多段階の無作為抽出で、目標数は多くの国で1,000人、英国1,300人、ドイツ1,600人、トルコ2,000人、追加を希望したイタリア2,000人である。面接はコンピューター支援の対面方式(CAPI)で回答者の自宅で行い、平均所要時間はEU28で40分、加盟候補国で35分だった。
この号から言えること
- 生活満足度と幸福感は横ばいだったが、楽観・生活水準への満足・健康の自己評価は改善し、困窮は減った。指標によって動きが異なる点が読みどころである。
- 全体が改善するなかでも、ワーク・ライフ・バランスの悪化と、3分の2の国での老後の所得不足への懸念がはっきり表れた。
- 社会の緊張は多くの軸で弱まった一方、宗教・民族間ではわずかに強まり、改善が一様ではないことを示している。
- 公共サービスへの満足度は上がったものの、加盟国間の差は依然として大きい。
読むときの注意
元資料は公式ページの要約で、生活満足度などの具体的な平均値や国別順位は載っていないため、この記事でも数値は示していない。前回調査との比較は、比較可能な質問(2016年版の51%)に限られる。また、改善はすべての国・社会集団に当てはまるわけではないと報告書自身が明記している。