この号の内容
20か国・2万3,803人の調査
第4波の参加国は、第3波に参加した35か国の中から選ばれた20か国である。対象は通常の学校(メインストリーム校)に通う子どもに限られ、各国の目標標本数は最低1,000人とされた。国全体の標本を集められたのはエストニア、イスラエル、韓国、台湾、ウェールズの5か国で、残る15か国は特定の地域や都市の標本である。最終標本は7〜15歳の23,803人(平均10.95歳)で、10歳が34.6%、11歳が30.11%、12歳が25.79%を占める。性別は女子50.49%、男子48.27%、「自分を男子とも女子とも考えない」が0.80%である。
📖 報告書では:第2章「Method」p.8–12、表2.1・表2.3・表2.4・表2.5
調査票と6つの尺度
調査票は「現在の状況」「コロナ禍の生活」「学校と人間関係」「自分の生活をどう感じているか」の4テーマで構成される。頻度や同意を5段階で尋ねる質問と、満足度を0〜10の数字で尋ねる質問がある。標準化された尺度は6つで、生活全体への満足を測る主観的ウェルビーイング尺度(CW-SWBS)、生活の領域ごとの満足を測る尺度(CW-DBSWBS)、ポジティブ・ネガティブ感情尺度(CW-PANAS)、心理的ウェルビーイング尺度(CW-PWBS)、物質的剥奪尺度(暮らしに必要な物の欠乏を測る)を含む。この波だけの新しい尺度として、大人向けの尺度を子ども向けに作り直した「コロナへの恐怖尺度(子ども版)」が加わった。
📖 報告書では:第2章「The Questionnaire」p.9
調査はロックダウン下で実施
データ収集は2021年3月から8月にかけて行われ、各国はさまざまな段階のロックダウンや社会的制限のもとにあった。回答方法は国の事情に応じてウェブ、紙と鉛筆(対面)、両者の併用の3通りがとられた。全体では紙が8,286人(34.81%)、ウェブが全体の65.19%である。代表性のない標本であるため、報告書は過去の波で行った重み付けなどの補正を行わず、分析を記述統計に限定している。
📖 報告書では:第2章「Administration of the Survey」「Data Analysis」p.9–12、表2.2
国ごとに異なるコロナの状況
休校、友だちや家族との交流の制限、物質的な困窮や貧困の深刻化、安全の損なわれ方が、子どもにとって最も大きな影響だったと報告書は整理している。悪影響は全世界共通だが、政府の対応は感染状況などに応じて国ごとに異なり、同じ国の中でも子どもの経験にばらつきがあった。例としてエストニアは2020年3月12日にロックダウンに入り、学校は2か月間オンラインの遠隔学習となった。同国では2020年12月に2度目の流行が始まり、非常事態が宣言された。報告書はエストニア、インドネシア、南アフリカ、トルコの4か国の状況を紹介している。
📖 報告書では:第3章「The Context of COVID-19 for Children around the World」p.13以降
学びへの満足は全ての国で低下
ほとんどの国で子どもは家にとどまり、多くの日数にわたって登校できなかった。登校状況や学習の進め方は国によって大きく異なり、端末を持っているかどうかと安定したインターネット接続が主な決め手だったと報告書は述べている。大半の子どもは家で学習を続けられたと答えたが、その割合は国ごとに大きく異なる。家族や先生から学習を支えられたと感じた子どもの割合にも差があった。学びへの満足度は、すべての国でコロナ前よりコロナ禍の間のほうが低かった。
📖 報告書では:第5章「Schooling during COVID-19」p.33–40、結論章「Summary of Key Findings」p.71
友だち・家族への満足も低下
友だちへの満足度の平均点は、すべての国でコロナ前からコロナ禍の間にかけて有意に下がった。家族への満足度も、1か国を除くすべての国で有意に下がった。子どもは友だちから十分に支えられていると感じていたが、国によるばらつきがあった。支えられていると感じる度合いは、友だちより家族についてのほうが高かった。
📖 報告書では:第6章「Children's Relationships during COVID-19」p.41–48、結論章「Summary of Key Findings」p.71
幸福感は全ての国で低下、退屈が目立つ
すべての国で、子どもの全体的なウェルビーイングと幸せの水準は、コロナ前よりコロナ禍の間のほうが有意に低かった。コロナ禍の間は主観的ウェルビーイングの得点のばらつきが大きくなり、子どもの回答に通常見られる極端に楽観的な偏りが小さくなった。報告書はこの点を、コロナに関わる個人的・社会的状況が子どもの主観的ウェルビーイングに決定的な影響を与えたことを示すものだと述べている。感情では「幸せ」「落ち着いている」「元気いっぱい」のポジティブ感情が下がり、「悲しい」「ストレスを感じる」「退屈」のネガティブ感情が上がった。中でも「退屈」は多くの国で特に高い得点を示した。
📖 報告書では:第7章「Children's Overall Well-Being in the Context of COVID-19」p.49–70、結論章「Summary of Key Findings」p.71–72
この号の調べ方
対象は4大陸20か国の通常の学校に通う7〜15歳の子ども23,803人(平均10.95歳)である。データは2021年3月〜8月に、ウェブ・紙・両者の併用の方式で集められた。国全体の標本は5か国で、残る15か国は地域・都市の標本であり、厳密な代表性は求められていない。満足度は0〜10の数字で、頻度や同意は5段階で尋ね、分析は記述統計に限られている。
この号から言えること
- 生活全体のウェルビーイング、友だちへの満足、学びへの満足は、20か国すべてでコロナ前よりコロナ禍の間のほうが低かった。国による差はあっても、低下という方向そのものは共通している。
- ネガティブ感情の中でも「退屈」が多くの国で特に高い得点を示した。休校や交流の制限が続いた時期の子どもの姿を表す結果である。
- 報告書は、国のマクロ経済状況と子どものウェルビーイングの明確な関係は予備的な結果からは示されないとしている。そのうえで、低・中所得の環境の子どもが不釣り合いに大きな影響を受けていると述べている。
- 報告書は、影響は大人の社会制度を経由した間接的なものではなく子どもに直接及んでいると結論づけている。そのため政策は子どもを直接の対象にすべきだと提言し、長期的な影響の研究を求めている。
読むときの注意
標本は代表性を持たず、20か国中15か国が地域・都市単位の標本であるため、国全体の子どもの姿をそのまま表すものではない。報告書自身も、国どうしの比較より国内での変化を優先して読むよう求めている。日本はこの第4波の参加国に含まれていない。