ウェルビーイングの調査・報告書

2023年版テーマ:ラテンアメリカの民主主義の後退(La recesión democrática de América Latina)

Informe Latinobarómetro 2023(2023年2〜4月、17か国・19,205人)

ラティノバロメトロ協会(Corporación Latinobarómetro、チリ・サンティアゴの非営利団体)

ラティノバロメトロ(Latinobarómetro)2023年版は、パンデミック後初めての調査である。中南米17か国で19,205人に対面で聞き取りを行った。報告書は「ラテンアメリカの民主主義の後退(La recesión democrática de América Latina)」を表題に掲げている。民主主義への支持の低さ、政治体制へのこだわりの薄れ、権威主義を好む態度、政府の実績の崩壊、政党のイメージ低下を挙げ、10年にわたる民主主義の劣化を総括した。前半では、汚職で有罪となった大統領、任期途中の退任、再選ルールの書き換えといった大統領職の問題を、具体的な人名と件数で示している。

この号の内容

総括:民主主義は危機的状態

報告書によれば、「第三の波」と呼ばれる民主化の時代に、中南米のすべての国が同時に民主主義だったことは一度もない。フジモリからチャベスまで、常に少なくとも1か国に独裁が存在した。ここでいう「後退」は、そうした独裁国のことではない。10年間の継続的で体系的な劣化によって、域内の国々が弱く脆い状態に陥ったことを指す。後退は、民主主義への支持の低さ、体制の種類はどちらでもよいとする無関心の増加、権威主義への選好、政府の実績と政党イメージの急落に表れているとされる。報告書は、いくつかの国の民主主義は危機的状態にあり、すでに民主主義ではなくなった国もあると述べる。さらに、こうした後退が域内をポピュリズムや非民主的体制に対して無防備にしていると結論づけている。

📖 報告書では:表紙・総括(p.1)

再選ルールを個人のために変更

報告書は、コロンビア、エクアドル、ホンジュラス、ボリビア、エルサルバドルの5か国で、特定の個人を権力の座に残すために再選ルールが変えられたと指摘する。報告書はこれを「名前と名字のついた」変更と表現している。この5か国は、ニカラグアとベネズエラを除く民主主義国16か国の3分の1にあたる。1959年以降、11か国で計19人の大統領が2期目以上を務めた。そのうち15人は民主化開始後の再登板で、4人は自分が再選されるためにルールを変えた。エルサルバドルのブケレ大統領は、憲法が連続再選を認めていないにもかかわらず、2024年選挙への立候補を2023年7月に表明した。

📖 報告書では:第1章・1.1「再選された大統領」(p.4–6、表1)

「選挙による独裁」4人

本来、独裁者は選挙で選ばれない。しかし中南米では、正当な選挙で就任した後に全権を握った指導者がいる。報告書はこれを「選挙独裁(electo-dictaduras)」と呼ぶ。挙げられているのは、ペルーのフジモリ(1990〜2000年)、ベネズエラのチャベス(1999〜2013年)とマドゥロ(2013年〜現在)、ニカラグアのオルテガ(2007年〜現在)の4人である。報告書は「軍事独裁から選挙独裁へ移行した」と表現し、エルサルバドルもこの一覧に加わりつつあると述べている。

📖 報告書では:第1章「Electo-dictaduras」(p.6–7、表2)

任期を全うできない大統領

民主化開始後、9か国で計20人の民主的に選ばれた大統領が任期を終える前に職を離れた。かつての任期中断は主に軍事クーデターによるものだった。現在は理由がさまざまで、後任も軍人ではなく、暫定大統領などを通じて民主的な手続きが続いている。国別ではボリビアとエクアドルが各4人、ペルーが3人である。エクアドルのラッソ大統領(2023年)とペルーのカスティージョ大統領(2022年)もこの一覧に含まれる。

📖 報告書では:第1章・1.2「任期の中断 1985–2023」(p.7–8)

汚職と大統領

報告書は、近年の中南米民主主義で最も否定的な現象を最高レベルの汚職としている。汚職で訴追・有罪・収監された大統領は8か国で計22人にのぼる。ペルーでは、民主的に選ばれた存命の元大統領全員が収監・訴追・有罪のいずれかを経験した。フジモリ、トレド、カスティージョの3人は同じバルバディージョ刑務所にいる。一方で報告書は、民主化開始後の大統領の大多数、100人以上は何の訴追も受けていないことも明記している。

📖 報告書では:第1章・1.3「汚職」(p.8–9)

相次ぐ政権交代

報告書は代表制の危機の表れとして政権交代の多さを挙げる。2019年以降の大統領選では、ボリビア(2020年)とパラグアイ(2023年)の2例を除き、すべてで政権交代が起きた。表3には2018〜2023年の政権交代18件が並ぶ。現在、中南米18か国のうち民主主義国は16か国である。報告書は、市民が何度も政権交代を試した結果、ポピュリズムや独裁に扉を開きやすい土壌ができていると論じる。また、パンデミックが問題を固定化させたとしている。

📖 報告書では:第1章・1.4「大統領選挙」(p.10–11、表3・表4)

この号の調べ方

対象は18歳以上(ブラジルのみ16歳以上)で、各国の全国代表サンプルに対面で調査した。計19,205件である。南米など10か国は2023年2月20日〜3月30日、中米など7か国は3月23日〜4月18日に実施した。標本誤差は各国3.0%、域内全体で1.0%である。ニカラグアは、オルテガ独裁下で調査員の安全を確保できないため2023年は対象外とした。1995年以来蓄積されたインタビューと変数は、スペイン語で初めての一般公開データベースとなっている。

この号から言えること

  • 報告書は、民主主義の弱さを世論だけでなく大統領というエリート層の問題として描いている。汚職、任期途中の退任、再選ルールの書き換えを、人名入りの一覧で示している。
  • 2019年以降、ほぼすべての大統領選で政権交代が起きている。報告書はこれを、市民が既存政治に解決を求めて不満を投票で表している姿と読み解いている。
  • 後半の第3章(p.18以降)では、民主主義への支持、体制への無関心、権威主義的態度、民主主義への満足度(「実績の崩壊」)、クーデターや政党への見方を調査結果として示す構成になっている。

読むときの注意

本記事の元資料は本文PDFのp.1〜12の抜粋で、民主主義支持率などの調査結果(第3章)の数値は含まれていない。そのため本記事では数値を示していない。件数には箇所による食い違いがある。政権交代は総括で18回、本文で17回、表3では18件(2023年グアテマラは第1回投票のみ)とされる。汚職の大統領も、総括では「有罪21人」、本文一覧では訴追を含め「22人」である。生活満足度と日本についての記述は抜粋中にない。

出典

主に参照した箇所:本文PDF p.1(総括)、p.2(目次)、p.3(序論・調査方法)、p.3–12(第1章「中南米の大統領職」、第2章冒頭)。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

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