幸せの名言集

稲盛和夫の名言4選

京セラ・KDDI創業者(1932-2022)。JAL再建

「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」

— 稲盛和夫 『生き方』等

考え方(方向性)は掛け算で効くため最重要

心理学では
この式は、成果が能力だけで決まるのではなく、物事への構え(マインドセット:能力や努力についての信念)と意欲(動機づけ:行動を起こし持続させる力)との組み合わせで決まるという見方と重なる。Blackwellら(2007)は中学生を縦断的に追跡し、能力は努力で伸びると考える生徒ほど成績が上向くことを示した。さらに、その考え方を教える介入によって、成績の低下を食い止める効果も確かめている。またDuckworthら(2007)は、長期目標への情熱と粘り強さ(グリット)が高い人ほど、知能とは別に高い達成を収めていることを報告している。日々の仕事では、まず「何のために、どう取り組むか」という向きを確かめ、そこに熱を注ぐ。それが、持てる力を成果へと変えることにつながる。 参考:Blackwellら(2007)「Implicit Theories of Intelligence …」 ↗/Duckworthら(2007)「Grit: Perseverance and passion for…」 ↗
「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」

— 稲盛和夫 『生き方』等

局面ごとに楽観と悲観を戦略的に使い分けよ

心理学では
この言葉は、心理学でいう「メンタル・コントラスティング」(望ましい未来を思い描いたうえで、そこに立ちはだかる障害を具体的に考える方法)と重なる。Oettingenら(2001)は実験で、理想の未来だけを空想するよりも、未来と現実の障害を対比させたほうが、実現の見込みに応じた本気の目標づくりと行動につながることを示した。また、Taylor & Gollwitzer(1995)の実験では、実行に向けた心構え(実行マインドセット)に導かれた人は、あれこれ検討する段階の人よりも自分の力を楽観的にとらえた。考える段階と動く段階では、ふさわしい心の構えが違うのである。大きな夢を描いたら、まず障害と対策を紙に書き出し、いざ始めたら迷わず手を動かすことが成果につながる。 参考:Oettingenら(2001)「Self-regulation of goal-setting: T…」 ↗/Taylor & Gollwitzer(1995)「Effects of mindset on positive ill…」 ↗
「動機善なりや、私心なかりしか」

— 稲盛和夫 第二電電(現KDDI)参入時の自問として著名

大事業を始める前に、「その動機は善いものか、そこに私心は混じっていないか」を半年間、毎晩自分に問い続けたという言葉。目標の内容そのものを吟味する ── 何を目指すかの「質」を問う自己審査の型

心理学では
この自問は、目標の「中身」を点検する営みであり、目標内容理論(何を目指すかによって幸福感が変わるとする理論)に通じる。Kasser & Ryan(1996)の相関研究では、富や名声を重視する人ほど幸福感が低く、成長や社会への貢献を重視する人ほど心身の健康が良好であった。またYeagerら(2014)の実験では、「人の役に立つため」という自己超越的な目的(自分を超えたものへの貢献を意識した目的)について考えた学生は、退屈な課題にも粘り強く取り組んだ。挑戦の前に「これは誰のためか」と問い直すことが、迷ったときの軸となり、長く続く力につながる。 参考:Kasser & Ryan(1996)「Further Examining the American Dre…」/Yeagerら(2014)「Boring but important: A self-trans…」 ↗
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」

— 稲盛和夫 京セラの経営理念(1961)

創業まもない京セラで、若手社員の待遇要求をきっかけに定められた理念。会社の目的を利益ではなく「従業員の物質的・精神的な両方の幸福」に置き、その上で社会貢献を掲げた ── 経営理念に「幸福」を明記した日本の代表例

心理学では
この理念は、従業員ウェルビーイング(働く人の心身と生活の良好さ)を待遇と心の充足の両面から求め、そのうえで向社会的動機づけ(他者の役に立ちたいという意欲)を仕事の目的に据えたものである。Harterら(2002)は多数の企業の事業所を対象としたメタ分析で、従業員の満足度やエンゲージメント(仕事への熱意)が高い事業所ほど、生産性や定着率が高いことを示した。またGrantら(2007)の実験では、大学の募金電話係が奨学金を受けた学生と直接会うと、その後の電話にかける時間や集めた寄付額が増えた。自分の暮らしの満足と、仕事が誰を支えているかの両方に目を向けることが、長く働く力につながる。 参考:Harterら(2002)「Business-unit-level relationship b…」/Grantら(2007)「Impact and the art of motivation m…」 ↗

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