幸せの名言集

キケロの名言3選

古代ローマの政治家・哲学者(BC106-43)

「習慣は第二の天性なり」

Consuetudo quasi altera natura.

— キケロ 『善と悪の究極について』ほか

ラテン語原文

習慣は生まれつきの性質と同等の力を持つ

心理学では
キケロの言葉は、習慣の自動性(同じ場面で繰り返した行動が、意識して決めなくても状況を手がかりに自然に始まる性質)を言い当てている。Woodら(2002)の日記研究では、日常の行動の多くが決まった場所や時間に、別のことを考えながら自動的に行われていた。Lallyら(2010)は、新しい行動を毎日同じ場面で続けた人々を追った縦断研究で、繰り返すにつれて自動性が高まり、やがて定着することを示した。ただし定着までの期間は人や行動によって大きく異なるため、焦らず続けるとよい。練習や仕事の基本を「朝のコーヒーの後」など決まった場面に結びつけて繰り返すことが、熟達の土台になる。 参考:Woodら(2002)「Habits in everyday life: Thought, …」 ↗/Lallyら(2010)「How are habits formed: Modelling h…」 ↗
「感謝は最大の徳であるだけでなく、あらゆる徳の親である」

Gratitude is not only the greatest of virtues, but the parent of all the others.

— キケロ 『プランキウス弁護』

感謝はすべての美徳の土台である

心理学では
キケロの言葉は、感謝をほかの善い行いを生み出す源とみる見方である。心理学ではこれを、感謝の「道徳的感情」(他者の善意に気づき、自分も善くふるまおうとする心の動き)としての働きととらえる。McCulloughら(2001)は先行研究を整理し、感謝には受けた恩恵に気づかせる働きと、恩を返したり他者を助けたりする行動を後押しする働きがあると論じた。Bartlett & DeSteno(2006)の実験では、手助けを受けて感謝の気持ちを抱いた参加者ほど、手間のかかる頼みごとに進んで応じ、その相手が恩人でない見知らぬ人であっても助けた。感謝が親切の連鎖を生むことを示す結果である。日々受けた小さな親切に目をとめ、言葉にして伝えることが、自分自身の善いふるまいを育てる第一歩になる。 参考:McCulloughら(2001)「Is gratitude a moral affect?」/Bartlett & DeSteno(2006)「Gratitude and Prosocial Behavior」
「庭と書斎があれば、必要なものはすべて揃っている」

If you have a garden and a library, you have everything you need.

— キケロ ウァロ宛の書簡の趣旨

政界の激動を生きた政治家が、友人に語った理想の暮らし。自然(庭)と知(書斎=本)── 幸福の必需品はこの二つで足りる、というミニマルな幸福のレシピ

心理学では
この名言は、心を休ませる「回復的環境」(注意の疲れを癒やす場)と、知的な没頭がもたらす充足感という、二つの幸福の源を言い当てている。Sogaら(2017)は、園芸と健康に関する多数の研究をまとめたメタ分析(複数研究の統合)で、園芸活動が抑うつや不安の軽減、生活満足度の高さなど、心身の健康指標の良さと関連することを示した。また、Bavishiら(2016)は中高年を長期にわたって追跡した縦断研究で、本を読む習慣のある人ほど長生きする傾向を報告している。鉢植えひとつの世話や、寝る前の数ページの読書でも、この二本柱は暮らしに取り入れられる。自分の手の届く場所に小さな庭と小さな書斎をつくることが、日々の心の安定につながる。 参考:Sogaら(2017)「Gardening is beneficial for health…」 ↗/Bavishiら(2016)「A chapter a day: Association of bo…」 ↗

← 人物の一覧

あわせて読む 世界の主要ウェルビーイング研究 → 名言が言ってきたことを、研究はどう確かめてきたか。幸せの研究の著名論文2,358本を、要旨と研究の系譜で。 思想ごとの名言も 世界の思想と宗教の幸福観マップ → 47の思想・宗教それぞれを代表する名言を、思想の幸福観とあわせて。
名言の収集・分類・解説はAI(Claude)を活用し、はぴテックが確認したものです。「出典に諸説あり」の名言は、その人物の言葉として流通しているものの一次資料での確認が難しいもの、「要旨」は趣旨を短くまとめたものです。心理学の補足は、名言の知恵を心理学・幸福研究の知見で読み解いたもので、引用した論文は学術データベースで実在を照合しています。 解説付き全選(PDF) / 一覧(Excel)
© 株式会社はぴテック