ウェルビーイングの調査・報告書

2021年版テーマ:COVID-19下の生活:幸福・信頼・死亡率

World Happiness Report 2021(2021年3月)

オックスフォード大学 ウェルビーイング研究センター(Wellbeing Research Centre)。Gallup、国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)、独立した編集委員会と連携

世界幸福度報告2021は、シリーズ9冊目であり、全編を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響にあてた号である。2018〜2020年の生活評価の平均による国別順位では、首位フィンランド、2位デンマーク、3位スイスで、日本は149か国中56位である。報告書は、コロナ禍1年目でも人々の人生全体の評価は「驚くほど」安定していたと述べる。一方で、心配や悲しみを感じた人は約10%増えた。もう一つの柱は「信頼」である。報告書は、政府や他人への信頼が幸福を支え、コロナ対策の成否と死亡率の差にも深く関わっていたと結論づけている。

この号の内容

順位はほとんど動かなかった

2017〜19年から2020年への生活評価の変化は国によってかなり違った。ただし、順位を大きく入れ替えるほどではなく、上位国の顔ぶれは変わらなかった。この傾向は欧州のユーロバロメーター調査や各国の調査でも確かめられている。報告書によれば、上位国はもともと信頼が高く、所得の不平等が小さかった。そのことが死亡率を低く、社会のまとまりを高く保つ助けになったという。2020年も、幸福を支える6要因(所得、健康、頼れる人の存在、自由、寛容さ、信頼)は、例年とほぼ同じ形で生活評価と結びついていた。

📖 報告書では:第1章 p.9(PDF)、第2章「Summary」p.53(PDF)、図2.1

人生評価より感情が揺れた

コロナ禍1年目には、人生全体の評価よりも日々の感情のほうが大きく変化した。英国の大規模データでは、感情はロックダウン中に悪化し、その後は速く回復した。世界全体(ギャラップ世界世論調査の年次データ)では、ポジティブ感情は全体として変わらなかった。一方、前日に心配や悲しみを感じたと答えた人は約10%増えた。平時の世界平均では、ポジティブ感情(0.71)はネガティブ感情(0.27)のほぼ3倍の頻度である。

📖 報告書では:第1章 p.9(PDF)、第2章 Technical Box 1 p.18(PDF)、表2.2

財布が戻る社会ほど幸福

ここでいう信頼は、拾われた財布が警察官・隣人・見知らぬ人から戻ってくると思えるかどうかで測っている。この感覚は、所得や失業、大きな健康リスクよりも幸福にとって重要だと推計された。財布が戻る可能性が高いと考える人は、生活評価が0〜10の尺度で1.094点高い。報告書は、信頼が国ごとのコロナ死亡率の差を説明するうえでもさらに重要だとする。例として、ブラジルの死亡率は人口10万人あたり93人でシンガポールより高く、その差の3分の1超が公的機関への信頼の差で説明できるという。デンマークとメキシコの死亡率の差の20%は、所得の不平等で説明されるとしている。

📖 報告書では:第1章 p.9–10(PDF)、第2章 図2.4・図2.5、第2章注18

市中感染ゼロ戦略が奏功

死亡率の国際差の半分近くは、次の3点で説明される。人口の年齢構成、島国かどうか、流行初期に近隣国の大量感染にさらされたかどうかである。報告書は、初期条件にかかわらず最も有効だった戦略を「市中感染をゼロに抑え込み、維持すること」と結論づけている。これを採った国は死亡率がゼロに近く、第2波を避け、年末時点の所得の落ち込みも小さかった。SARSなど過去の流行の教訓を持つ国や、女性が政府首脳の国も、死亡率が低い傾向があった。死亡率の低い国ほど、2020年のGDP成長率の落ち込みが小さい傾向もみられた(r=-0.36)。

📖 報告書では:第1章 p.9–10(PDF)、第2章「Summary」p.53(PDF)

東アジアと北大西洋の差

2020年の死亡率は、東アジア6か国・地域(中国、台湾、香港、日本、韓国、モンゴル)の平均が人口10万人あたり1.1人で、それ以外の世界は31.8人だった。死者が多い国ほどGDPの落ち込みも大きく(r=0.34)、報告書は2020年に「健康か経済か」の二択は無かったとする。第3章は東アジアの成功の理由として、次の2点を挙げる。早く強い政府対応と市民の協力である。オーストラリアとニュージーランドの成功は、個人主義的な国でも有効な対策が可能であることを示すとしている。第4章は、北大西洋諸国では「個人の自由」やプライバシーの主張、科学知識の不足、偽情報が対策への協力を弱めたと論じる。

📖 報告書では:第1章 p.10(PDF)、第2章注38、第3章 p.59–66(PDF)、第4章

心の健康と仕事への打撃

英国では2020年5月、心の健康の総合指標がパンデミックが無かった場合の予測より7.7%低かった。報告された心の不調の数は47%多かった。悪化は女性・若者・貧しい人で大きく、既存の格差を広げた。英国では22%の人が、コロナ前より持続的に大きく低い状態にとどまった。2020年の世界GDPは約5%縮小したと推計される。パンデミック中の失業は、生活満足度の12%低下、ネガティブ感情の9%増加と関連していた。英国では、孤独な人ほど働けないことによる生活満足度の低下が40%大きかった。

📖 報告書では:第1章 p.12–13(PDF)、第5章、第6章、第7章

日本の結果

2018〜2020年平均の生活評価は5.940点で、149か国中56位である。2020年単年では6.118点・40位で、2017〜19年平均(5.871点・50位)から0.247点上がった。この上昇は統計的に有意である。ポジティブ感情(+0.014)とネガティブ感情(+0.001)はほとんど変わらなかった。報告書は日本を、感染リスクの条件からは高い死亡率が予想されたのに、ごく低い死亡率に抑えた国の一つに挙げている。一方で第3章は、日本の検査・追跡・隔離は他の東アジア地域より弱く、市民の順守も東アジアの例外だったと指摘する。2020年末の感染率は人口10万人あたり186.4人で東アジア最多だが、欧米6か国(11〜32.5倍)よりはるかに低い。

この号の調べ方

主なデータはギャラップ世界世論調査(Gallup World Poll)で、各国で毎年おおむね1,000人に尋ねている。生活評価はキャントリルの梯子で測る。これは、人生を「最悪=0」から「最良=10」の梯子にたとえて評価してもらう質問である。順位は2018〜2020年の3年平均で決め、2020年の調査が無い国は2018〜19年の平均を使う。ポジティブ感情は前日によく笑ったか・楽しんだか、ネガティブ感情は前日に心配・悲しみ・怒りを感じたかの「はい/いいえ」の平均である。今号は2020年の値を2017〜19年平均と比べる分析にも力を入れている。

この号から言えること

  • 人生全体の評価(生活評価)と日々の感情は別物である。コロナ禍1年目は、前者が安定する一方で心配と悲しみが増えた。
  • 信頼の高い社会ほど、幸福度が高く、コロナ死亡率も低い傾向がある。報告書は、信頼こそ幸福とコロナ対策を結ぶ鍵だと結論づけている。
  • 日本は2020年単年では40位まで上がったが、3年平均では56位である。単年と3年平均のどちらを見るかで印象が変わる。
  • 第8章は、生活の質と寿命を掛け合わせる「WELLBY(幸福で調整した生存年数)」を提案する。同章の推計では、1年の命はGDP75万ドル分に相当する。

読むときの注意

2020年はコロナで対面調査ができず、多くの国が電話調査に切り替えた。そのため、分析に間に合った調査は例年の約3分の2にとどまる。回答者の層が変わった可能性もあり、報告書自身が2020年の結果は慎重に解釈すべきだとしている。信頼・不平等と死亡率、失業と生活満足度などの関係は相関の分析であり、刊行時点(2021年3月)でパンデミックは続いていたため結論は暫定的である。

出典

主に参照した箇所:本文PDF p.9–13(第1章 概要)、p.18–28・p.53(第2章、表2.1・表2.2・図2.1)、p.59–66(第3章)。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

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