この号の内容
小6・中3対象、4月に一斉実施
調査は2025年4月14日〜17日に、小学6年生と中学3年生を対象に行われた。集計対象は、小学校が国公私立合わせて18,470校・949,308人、中学校が9,584校・896,785人である。公立校の参加率は小学校99.8%、中学校99.6%であるのに対し、私立校は小学校50.2%、中学校29.3%にとどまる。内容は国語・算数(数学)・理科の教科調査と、児童生徒・学校への質問調査である。今年度は中学校理科へのCBT導入に加え、生徒質問でのランダム方式の試行も特徴として挙げている。
📖 報告書では:第1章「令和7年度全国学力・学習状況調査の概要-1」p.2
平均正答率は小国語67.0%
平均正答率は、小学校が国語67.0%(14問中9.4問)、算数58.2%、理科57.3%、中学校が国語54.6%、数学48.8%である。中学校理科はIRT(項目反応理論=問題の難しさを考慮して能力を推定する方法)に基づくスコアで示され、平均は505である。参考値として載っている前回は、小学校国語67.8%、算数63.6%、中学校国語58.4%、数学53.0%である。ただし報告書は、年度ごとに難易度を厳密に調整していないため、過年度との単純な比較は適当ではないと注記している。
📖 報告書では:第1章「概要-2」p.3、第2章各教科の冒頭ページ(p.4、10、14、21、28、31)
資料の読み取りと書く力に課題
小学校国語では、文章と図表を結び付けて必要な情報を見付ける問題(大問3三(1))の正答率が41.0%だった。報告書は、令和5年度までに見られた課題が「引き続き」残っていると指摘している。中学校国語は記述式の平均正答率が25.6%と低い。根拠を明確にして文章を書き加える問題は31.2%、読み手の立場に立って手紙の下書きを推敲する問題は30.4%だった。一方、物語の登場人物の性格を捉える問題は90.0%が正答した。
📖 報告書では:第2章(1)小学校国語 pp.4–9、(2)中学校国語 pp.10–13
割合・数学用語でつまずき
小学校算数では、「10%増量」した量が増量前の何倍かを選ぶ問題の正答率が41.3%にとどまり、37.4%が「0.1倍」を選んだ。数直線上の分数を読む問題は35.4%だった。中学校数学では、1〜9から素数をすべて選ぶ問題の正答率が32.2%で、1を素数に含めた回答が計50%にのぼった。一次関数で、xの増加量が2のときのyの増加量を求める問題は35.4%、相対度数(ある階級の度数が全体に占める割合)を求める問題は43.1%で、報告書は「数学の用語の意味の理解に課題」とまとめている。
📖 報告書では:第2章(3)小学校算数 pp.14–17、(4)中学校数学 pp.21–24
中学理科CBTとIRTスコア
中学校理科はオンラインで実施され、生徒1人が公開問題10問と非公開問題16問の計26問を解く構成である。平均IRTスコアは505、標準偏差は124.6、中央値は496である。火災時に「低い姿勢で避難する」を選んだ生徒は92.9%と多かった。一方、水中の生物(ゾウリムシ・ミドリムシ・ミジンコ・ミカヅキモ)がすべて呼吸すると答えられたのは29.8%にとどまった。報告書は、動画の活用や画面上でモデルを動かして試行錯誤できる出題が、CBTによって可能になったと説明している。
📖 報告書では:第2章(6)中学校理科 pp.31–47、「CBTで測定する理科の資質・能力」p.47
読書と発表、両方肯定で高得点
質問調査とのクロス集計(2つの回答を掛け合わせた集計)では、「読書が好き」と「授業で工夫して発表していた」の両方に肯定的に答えたグループの正答率・スコアが、どの教科でも最も高い位置にあった。中学校数学では両方肯定のグループが57.0、両方否定が36.0、国語は60.8と44.6、理科は543と444である。教科ごとの分析でも、「説明する活動をよく行っている」などに否定的に答えた層ほど正答率が低い傾向が示された。いずれも相関の関係であり、相関係数は0.1〜0.3程度である。
📖 報告書では:第3章(3)③「各教科等における言語能力の育成」(p.72直前の箱ひげ図)、第2章各クロス集計(p.13、17、19、25、42など)
ウェルビーイングの項目
質問調査は「児童生徒のウェルビーイングに関する状況」を独立した項目として扱っている。「普段の生活の中で、幸せな気持ちになることはどれくらいありますか」「自分には、よいところがあると思いますか」などを4段階で尋ねるものである。公式の要約によれば、肯定的に答えた割合はいずれも約9割で、前年度より微増した。
📖 報告書では:第3章(4)「児童生徒のウェルビーイングに関する状況」p.73
日本の結果
この号の調べ方
対象は小学6年生と中学3年生で、2025年4月14日〜17日に実施された。集計対象は小学校949,308人、中学校896,785人である。教科調査は正答率で示し、中学校理科のみCBTで実施してIRTスコアで示した。質問調査の多くは4段階の選択肢で尋ね、教科の正答率とのクロス集計を相関係数とともに示している。
この号から言えること
- 今年度最大の変化は、中学校理科でのCBT導入である。中学校理科は正答率ではなくIRTスコア(平均505)で表示されるため、他教科の数字とは性質が異なる。
- 資料を結び付けて読む、根拠を示して書く、割合や素数などの意味を理解するといった「使える知識」に課題が集中している。
- 読書や工夫した発表、説明する活動に肯定的な層ほど正答率が高い傾向が、教科を問わず見られる。
- 幸せな気持ちになる、自分によいところがあると答える児童生徒は、小中ともに約9割にのぼる。
読むときの注意
報告書自身が、年度により難易度や出題内容が異なるため過年度との単純比較は適当ではないと明記している。質問調査と正答率の関係は相関であり、読書や発表活動が正答率を上げると示したものではない。なお、今回の抜粋にはウェルビーイング項目(p.73)の詳しい図表が含まれておらず、その数値は公式の要約に基づく。