ウェルビーイングの調査・報告書

国内の公的調査毎年データ:申請制

全国学力・学習状況調査(児童生徒質問調査)

文部科学省・国立教育政策研究所

学力調査と同時に、自己肯定感や幸福感などを対象学年の全員に尋ねる質問調査。
対象
小学6年・中学3年
規模
対象学年の全児童生徒(悉皆調査)
方法
横断調査
頻度・期間
毎年(2007年〜2026年)・例年7月ごろ発表
幸福の測り方
「普段の生活の中で、幸せな気持ちになることはどれくらいありますか」「自分には、よいところがあると思いますか」などの質問項目(4段階)
データの入手
申請制 mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chous… ↗

「普段の生活の中で、幸せな気持ちになることがある」と肯定的に回答した割合の推移

全国の小学6年生(%)・各年版の公式資料から
91.692.392.991.692.992.4242526

「よくある」+「ときどきある」の合計。中学3年生は2024年度89.9%、2025年度91.6%、2026年度91.0%。報告書の経年図では2023年度からの項目。2024年度から質問調査は全面オンライン実施。

どんな調査か

全国学力・学習状況調査は、文部科学省と国立教育政策研究所が全国の子どもたちの学力の状況を把握するために行っている調査である。文部科学省の公式ページによれば、平成19年度(2007年度)から実施されている。対象は小学6年生と中学3年生で、対象学年の全児童生徒を調べる悉皆調査(全員を対象にする調査)である。教科の調査と併せて、児童生徒への質問調査が行われる。質問調査は学習習慣や生活習慣を尋ねるほか、「自分にはよいところがある」「普段の生活の中で幸せな気持ちになる」といった、第4期教育振興基本計画の指標と同じ文言の項目を含んでいる。このため、子どものウェルビーイング(心身の良好な状態)を全国規模で毎年追える数少ない資料のひとつとなっている。

何をどう測っているか

調査は毎年4月ごろ、国公私立の小学6年生と中学3年生を対象に行われる。教科調査では国語、算数・数学のほか、年度によって理科や英語も実施される。児童生徒質問調査では、「普段の生活の中で、幸せな気持ちになることはどれくらいありますか」「自分には、よいところがあると思いますか」などの質問に4段階で答えてもらう。結果は「よくある+ときどきある」「当てはまる+どちらかといえば当てはまる」のように、肯定的な2段階を合わせた割合で示されることが多い。毎年同じ学年の全員を調べる横断調査(その時点の集団を切り取る調査)であり、悉皆調査なので都道府県・指定都市別の結果も公表される。近年は解答方式のデジタル化が進み、2024年度には質問調査が初めて全面オンラインで実施された。大学等の研究者は個票データの貸与を申請でき、練習用の疑似データも公開されている。

これまでの歩み

2022年度(令和4年度)は、小学校・中学校とも国語、算数・数学、理科の3教科で実施され、平均正答率は小学校で国語65.8%・算数63.3%・理科63.4%、中学校で国語69.3%・数学52.0%・理科49.7%であった。2023年度は中学校で4年ぶり2度目の英語調査が行われ、「話すこと」の平均正答率は12.4%(推計値)にとどまった。2024年度は児童生徒質問調査が初めて全面オンラインで実施され、平均正答率は小学校で国語67.8%・算数63.6%、中学校で国語58.4%・数学53.0%であった。2025年度は中学校理科で初めてCBT(コンピュータ上で解答する方式)が導入され、集計対象は小学校949,308人、中学校896,785人であった。2026年度は中学校英語を4技能(聞く・読む・話す・書く)すべてCBTで実施し、平均IRTスコア(問題の難しさを考慮して算出する得点)は499であった。同年度の平均正答率は小学校国語61.1%、算数56.6%、中学校国語64.2%、数学57.4%である。このように、紙からコンピュータへの移行と、質問調査でのウェルビーイング項目の扱いの拡大が近年の流れである。

分かってきたこと

「幸せな気持ち」「よいところがある」は高い水準で推移

「普段の生活の中で、幸せな気持ちになることがある」と肯定的に答えた割合は、小学6年生で2024年度91.6%、2025年度92.9%、2026年度92.4%である。中学3年生も2024年度89.9%、2025年度91.6%、2026年度91.0%と、9割前後を保っている。「自分には、よいところがあると思う」の肯定的回答は、小学校で2024年度84.0%、2025年度87.0%、2026年度85.6%、中学校で83.4%、86.2%、84.0%である。いずれの項目も小学生のほうが中学生よりやや高い。

主体的に学ぶ子ほど自己有用感が高い傾向

2024年度の報告書が最も大きな読みどころとして示すのは、授業で主体的に取り組んだと答えた子どもほど「自分にはよいところがある」と答える割合が高いという関係である。報告書は、挑戦心・自己有用感・幸福感等に関する回答と、授業での主体的・対話的な学びの回答との間に相関があることを示している。これは相関であり、主体的な授業が自己肯定感を高めると証明したものではない。

家庭の背景と学び方の関係

2023年度の結果では、家にある本の冊数が少ない児童生徒ほど正答率が低い傾向があった。一方で、授業で工夫して発表していた児童生徒は、本の冊数が少なくても正答率が高い傾向があった。報告書は、「主体的・対話的で深い学び」(自分で考え、話し合い、表現する授業)に取り組んだ児童生徒ほど、家庭の社会経済的背景が低くても正答率が高い傾向を示している。

根拠を示して書く・伝える力に課題

2025年度は、複数の資料から必要な情報を探すこと、根拠を明確にして書くこと、割合や数学用語の意味を理解することに課題が見られた。2026年度も国語・英語でいずれも「考えは書けても、理由や根拠を示して伝えること」に課題があると報告されている。教科を越えて、根拠に基づく表現が続けて課題に挙がっている。

学校生活への意識は横ばい

2022年度に「学校に行くのは楽しい」と肯定的に答えた割合は小学校85.4%、中学校83.0%で、前年度と比べて横ばいであった。「将来の夢や目標を持っている」は小学校79.8%、中学校67.4%で、こちらも横ばいであった。「今住んでいる地域の行事に参加している」は、前年度と比べて特に小学校で減少している。

日本の結果

この調査は日本全国(国公私立)の小学6年生・中学3年生を対象とする国内調査であり、示される数値はすべて日本全国の値である。2026年度の「普段の生活の中で幸せな気持ちになる」(よくある+ときどきある)は小6 92.4%・中3 91.0%、「自分には、よいところがあると思う」(当てはまる+どちらかといえば)は小6 85.6%・中3 84.0%である。2025年度の報告書は国際比較の参考も載せており、OECDの成人調査PIAAC(2022)で日本の「読解力」の平均得点は参加国中2位、習熟度レベル1以下の割合は参加国中で最も少ない。一方、PISA2022の「ICTを用いた探究型の教育の頻度」指標では、日本は-0.82でOECD平均(0.01)を下回り、29か国中29位である。

各年版(5)

  • 2026 令和8年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(質問調査を含む) この号を読む → 文部科学省と国立教育政策研究所による令和8年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)である。小学6年生と中学3年生を対象に、教科調査と質問調査を行った。平均正答率は小学校国語61.1%、算数56.6%、中学校国語64.2%、数学57.4%である。今年度は中学校英語を4技能すべてでCBT(コンピュータで解答する方式)により実施し、平均IRTスコアは499であった。国語・英語ではいずれも「考えは書けても、理由や根拠を示して伝えること」に課題があると報告されている。
  • 2025 令和7年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(質問調査を含む) この号を読む → 文部科学省と国立教育政策研究所が2025年7月にまとめた、令和7年度全国学力・学習状況調査の結果概要である。小学6年生と中学3年生が対象で(集計対象は小学校949,308人、中学校896,785人)、今年度は中学校理科で初めてCBT(コンピュータ上で解答する方式)を導入した。教科では、複数の資料から必要な情報を探すこと、根拠を明確にして書くこと、割合や数学用語の意味を理解することに課題が見られた。質問調査では、児童生徒のウェルビーイング(心身の良好な状態)に関する項目も扱っている。
  • 2024 令和6年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(質問調査を含む) この号を読む → 文部科学省と国立教育政策研究所による、令和6年度(2024年度)全国学力・学習状況調査の結果概要である。小学6年生と中学3年生を対象とし、今年度は児童生徒質問調査を初めて全面オンラインで実施した。平均正答率は小学校で国語67.8%・算数63.6%、中学校で国語58.4%・数学53.0%だった。ウェルビーイングの観点では、授業で主体的に取り組んだと答えた子どもほど「自分にはよいところがある」と答える割合が高いという相関が、最も大きな読みどころである。
  • 2023 令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(質問調査を含む) この号を読む → 令和5年度(2023年度)の全国学力・学習状況調査の結果をまとめた号である。小学校の国語・算数と中学校の国語・数学・英語の平均正答率に加え、児童生徒と学校への質問紙調査の結果を収める。最大の話題は、中学校で4年ぶり2度目となった英語調査で、「話すこと」の平均正答率が12.4%にとどまった点である。質問紙調査は、「主体的・対話的で深い学び」(自分で考え、話し合い、表現する授業)に取り組んだ児童生徒ほど、家庭の社会経済的背景が低くても正答率が高い傾向を示している。
  • 2022 令和4年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(質問調査を含む) この号を読む → 文部科学省と国立教育政策研究所が実施した令和4年度の全国学力・学習状況調査の結果概要である。小学校の国語・算数・理科、中学校の国語・数学・理科の教科調査に加え、児童生徒と学校への質問紙調査を集計している。教科の平均正答率は小学校で国語65.8%・算数63.3%・理科63.4%、中学校で国語69.3%・数学52.0%・理科49.7%である。質問紙では「学校に行くのは楽しい」「将来の夢や目標を持っている」と答えた割合が前年度と比べて横ばいであり、授業での主体的な取り組みやICT活用、ゲーム・SNSの時間と正答率との関係も示されている。

どう読む・どう使う

自治体や学校は、都道府県・指定都市別の結果を使って、自分の地域の子どもの学力と生活・意識の状況を全国と比べられる。国にとっては、第4期教育振興基本計画の指標と同じ文言の項目を含むため、子どものウェルビーイングに関する政策目標の進み具合を確かめる材料になる。研究者は個票データの貸与を申請でき、授業の進め方や家庭環境、ゲーム・SNSの時間、ICT活用などと正答率や意識との関係を詳しく分析できる。練習用の疑似データが公開されているため、教育や統計の学習の教材としても使える。

読むときの注意

学力や生活習慣、授業の受け方と幸福感・自己肯定感との関連は相関であり、因果関係を示すものではない。質問項目は年によって追加・変更があり、「幸せな気持ち」の項目は報告書の経年図で2023年度からのため、長期の比較はできない。また自己評価による回答なので、答え方の癖の影響を受けうる。2024年度から質問調査が全面オンラインになるなど実施方法も変わっているため、年度間の差を読むときは方法の変化にも注意が必要である。

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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