ウェルビーイングの調査・報告書

2018年版テーマ:学校の雰囲気(規律、学校への所属感、教師の支援)と生徒のウェルビーイング

PISA 2018 Results (Volume III): What School Life Means for Students' Lives(2019年12月公表)

OECD(経済協力開発機構)。日本は文部科学省・国立教育政策研究所が実施

OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」2018年調査の結果第III巻『学校生活が生徒の生活にもつ意味(What School Life Means for Students' Lives)』である。15歳の生徒の心身の健康、学校の雰囲気をつくる教師と保護者の役割、学校での人間関係を扱い、ウェルビーイングの指標と学校の雰囲気との関係を分析している。最大の話題は、OECD平均で生活に満足している生徒が67%にとどまり、2015年から5ポイント減ったことである。また多くの国で、失敗への恐れが強い生徒ほど読解の得点は高いが、生活満足度は低いことも示された。

この号の内容

生活満足度は67%、5ポイント減

OECD平均で、生活満足度(0〜10で生活全体を評価する質問)に7〜10と答えた「満足している」生徒は67%である。2015年から2018年の間に、この割合は5ポイント縮小した。報告書によると、2018年の受検者は自分の気持ちに影響する主な要素として、外見への満足、親との関係、学校生活の3つを挙げている。生活満足度の質問は学校に限らず生活全般を尋ねるものだが、報告書は、思春期の生徒が多くの時間を学校で過ごし、仲間が社会生活で大きな役割を果たす点を重視している。

📖 報告書では:要旨(Executive summary)冒頭、および「Students' well-being」

幸せを感じる8割、いつも悲しい6%

OECD平均で80%を超える生徒が、幸せ、陽気、うれしい、生き生きしていると「ときどき」または「いつも」感じると答えている。一方で、「いつも悲しい」と答えた生徒は約6%である。肯定的な感情を持つ生徒が多数派である一方、常に悲しみを感じる生徒も一定数いる。

📖 報告書では:要旨(Executive summary)「Students' well-being」

失敗への恐れと読解・満足度

ほぼすべての教育システムで、女子は男子より失敗への恐れが強い。この男女差は、成績上位の生徒の間でかなり大きい。大多数の教育システムでは、生徒と学校の社会経済的背景を考慮したうえでも、失敗への恐れが強い生徒ほど読解の得点が高い一方、生活満足度は低い傾向がある。成績の高さと生活への満足が必ずしも同じ方向を向かないことを示す結果である。

📖 報告書では:要旨(Executive summary)「Students' well-being」

いじめは23%が月数回以上

OECD平均で、月に数回以上いじめを受けたと答えた生徒は23%である。一方で88%の生徒が、自分を守れない生徒を助けるのはよいことであり、いじめに加わるのは悪いことだと考えている。こうした反いじめの態度は、男子より女子、頻繁にいじめを受けている生徒より受けていない生徒のほうが強い傾向がある。

📖 報告書では:要旨(Executive summary)「Student misbehaviour」

協力的な学校ほど読解が高い傾向

OECD平均では、生徒同士が協力していると答えた生徒が62%で、競争していると答えた生徒(50%)を上回った。OECD平均と4分の3の教育システムで、仲間同士の協力を強く感じている生徒ほど読解の得点が高い。これに対して、学校の競争的な雰囲気と成績の間には明確な関係はみられない。また43の教育システムで、社会経済的背景を考慮しても、教師の支援を強く感じる生徒ほど読解の得点が高い。教師の熱意と読書への関心を引き出す働きかけは、生徒の読書の楽しみと最も強く正の関連を示した。

📖 報告書では:要旨(Executive summary)「School climate」「Teachers' attitudes and practices」

欠席・遅刻と成長マインドセット

PISA受検前の2週間に、OECD平均で21%の生徒が丸1日学校をさぼり、48%が遅刻した。授業中の規律の雰囲気は、生徒の回答によると2009年から2018年にかけて改善しており、特にアルバニア、韓国、アラブ首長国連邦で改善が目立つ。成長マインドセット(能力や知能は伸ばせるという考え)についてみると、OECD平均では多数の生徒が「知能はあまり変えられない」という文に反対した。ただし、ドミニカ共和国やインドネシアなど6か国では60%以上が賛成している。成長マインドセットを持つ生徒ほど、課題を習得しようとする意欲、自己効力感、学習目標の設定、学校の価値の認識が高く、失敗への恐れは低い傾向がある。

📖 報告書では:要旨(Executive summary)「Student misbehaviour」「Students' belief that their ability and intelligence can develop over time (growth mindset)」

日本の結果

要旨では、日本は丸1日学校をさぼった生徒が少なく、かつ読解の平均得点が高い国・地域の一つとして挙げられている。同じグループには、北京・上海・江蘇・浙江(中国)、エストニア、フィンランド、香港、韓国、マカオ、シンガポール、スウェーデン、台湾が含まれる。今回の元資料の抜粋には、日本の生活満足度やいじめの割合などの数値は含まれていない。

この号の調べ方

対象はPISAの調査対象である15歳の生徒である。PISA 2018は3年ごとに実施される国際調査の第7回で、結果は6巻にまとめられており、本書はその第III巻にあたる。生活満足度は0〜10の尺度で尋ね、7〜10を「満足している」と数えている。いじめ・欠席・遅刻・感情・失敗への恐れなどは生徒の自己回答に基づき、一部の分析では生徒と学校の社会経済的背景を考慮している。

この号から言えること

  • OECD平均で生活に満足している15歳は67%で、2015年から5ポイント減っている。
  • 失敗への恐れが強い生徒ほど読解の得点は高いが、生活満足度は低い傾向がある。成績だけでは生徒の状態をとらえきれないことを示す結果である。
  • 競争よりも生徒同士の協力や教師の支援のほうが、読解の得点の高さとはっきり結びついている。
  • 月に数回以上いじめを受ける生徒が23%いる一方、88%がいじめに反対する態度を示しており、この意識をどう生かすかが読みどころである。

読むときの注意

示されている関係の多くは相関である。たとえば失敗への恐れや協力的な雰囲気が得点や満足度の原因であるとまでは、この要旨からは言えない。指標はすべて生徒の自己回答であり、国による回答の傾向の違いも含まれうる。また今回の抜粋は要旨部分で、ページ番号や図表番号は確認できない。

出典

主に参照した箇所:公式ページの要旨(Abstract・Executive summary「main findings」)。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

あわせて読む 世界の主要ウェルビーイング研究 → 調査の数字の背景にある研究を。幸せの研究の著名論文2,358本を、要旨・研究の系譜・28の概念で。 最新の論文は 世界の最新ウェルビーイング研究 → AIが毎日集める最新の論文データベース。調査を使った新しい研究もここに。
URL・数字は公式の資料で確かめたものだけを載せ、各ページに確認日を添えています。順位や割合は版によって変わるので、引用するときは各版の公式資料をご確認ください。調べものと記入はAI(Claude)を活用し、はぴテックが確認しました。 調査・報告書の一覧(Excel)
© 株式会社はぴテック