ウェルビーイングの調査・報告書

国際比較調査3年ごとデータ:公開

OECD 生徒の学習到達度調査(PISA):生徒の幸福度の質問

Programme for International Student Assessment (PISA): student well-being(PISA)

OECD(経済協力開発機構)。日本は文部科学省・国立教育政策研究所が実施

学力調査に合わせて15歳に生活満足度や学校への所属感を尋ね、国際比較する質問調査。
対象
15歳(日本は高校1年生など)
対象の国・地域
91か国・地域(2025年調査)、81か国・地域(2022年調査)
規模
約76万人、日本は183校・約6,500人(2025年調査で)
方法
横断調査
頻度・期間
3年ごと(2015年〜2025年)
幸福の測り方
生活満足度(「全体として、最近のあなたは自分の生活にどのくらい満足していますか」0〜10)、学校への所属感(「学校の一員だと感じている」「学校ではよそ者だと感じる」など6項目の指標)
データの入手
公開 oecd.org/en/about/programmes/pisa/pisa-d… ↗

生活満足度の平均(0〜10)の推移

日本の15歳の生徒(点(0〜10))・各年版の公式資料から
6.26.77.26.86.27.215182225

OECD平均は2015年7.3、2018年7.0、2022年6.7、2025年7.2。2015年の日本の値は、元資料の抜粋では掲載ページを確認できていない。

どんな調査か

PISA(Programme for International Student Assessment、生徒の学習到達度調査)は、OECD(経済協力開発機構)が義務教育修了段階の15歳を対象に行う国際調査である。15歳が読解力・数学・科学の知識と技能を、実生活の課題にどれだけ活用できるかを測る。あわせて生徒質問調査で、生活満足度や学校への所属感など、生徒のウェルビーイング(心身の健康や生活の充実)も尋ねている。2015年調査では、OECDが国際報告書の1巻(Volume III「Students' Well-Being」)を丸ごと生徒のウェルビーイングにあてた。調査は3年ごとに行われ、生活満足度と所属感は2015・2018・2022・2025年の推移を比べられる。日本では文部科学省と国立教育政策研究所が実施している。

何をどう測っているか

生活満足度は「全体として、最近のあなたは自分の生活にどのくらい満足していますか」という質問に、0(まったく満足していない)から10(十分に満足している)で答えてもらう自己評価である。報告では平均値のほか、「十分に満足」と「満足」を合わせた割合や、0〜4の「満足していない」層の割合も示される。学校への所属感は、「学校の一員だと感じている」「学校ではよそ者だと感じる」など6項目への回答をまとめた指標で、値が大きいほど所属感が強い。2022年調査のOECD平均はこの指標で−0.02である。2025年調査には91か国・地域の約76万人が参加し、日本からは183校・約6,500人が参加した。日本の対象は高校1年生などの15歳である。生徒の個票データはOECDのサイトから誰でも入手できる。

これまでの歩み

2015年調査の第III巻『生徒のウェルビーイング(Students' Well-Being)』(2017年4月公表)は、学力ではなく15歳の心身の健康、生活への満足、他者とのつながり、将来への意欲を扱った。中心の問いは、学校で起きることが生徒の幸福とどう結びついているかである。2018年調査の第III巻『学校生活が生徒の生活にもつ意味(What School Life Means for Students' Lives)』(2019年12月公表)は、学校の雰囲気をつくる教師と保護者の役割や学校での人間関係を取り上げ、ウェルビーイングの指標と学校の雰囲気との関係を分析した。2022年調査は新型コロナウイルスの世界的流行のさなかに行われた。第II巻『混乱の中で、そして混乱から学ぶ(Learning During – and From – Disruption)』(2023年12月公表)は、教育の「レジリエンス(逆境に耐えて立て直す力)」を、成績・公平性・ウェルビーイングの3面から分析した。第9回の2025年調査では、第I巻『未来に備えた生徒(Future-Ready Students)』(2026年9月公表)が91か国・地域の結果を報告した。この巻は、学力の低下と、学校への所属感の改善を並べて示している。

分かってきたこと

生活満足度は2018年に落ち込み、2025年に持ち直した

OECD平均の生活満足度は、2015年が7.3、2018年が7.0、2022年が6.7、2025年が7.2である。2018年版は、OECD平均で生活に満足している生徒が67%にとどまり、2015年から5ポイント減ったことを最大の話題とした。2022年にかけてさらに下がったあと、2025年には2015年に近い水準まで戻っている。

学力の高さと生活満足度は必ずしも一致しない

2018年版は、多くの国で、失敗への恐れが強い生徒ほど読解の得点は高いが、生活満足度は低い傾向を示した。学力とウェルビーイングは同じ方向に動くとは限らない。これは相関の関係であり、失敗への恐れが得点を上げたり満足度を下げたりすることを示したものではない。

コロナ禍で成績・公平性・ウェルビーイングを保てた国がある

2022年版は、数学の成績・公平性・ウェルビーイングの3面すべてで「レジリエント」な国・地域として、日本・韓国・リトアニア・台湾の4つを挙げた。報告書は、休校の影響を受けた生徒が少なかった国・地域ほど、数学の得点と学校への所属感が高かったと示している。

学力が過去最低でも、所属感は改善した

2025年版では、OECD平均が科学・読解・数学の3分野すべてで過去最低の水準となった。一方で学校への所属感は2022年より改善し、OECD平均で76%の生徒が学校に所属していると感じている。所属感を持つ生徒の割合が最も高いのはスペインの90%である。

日本の結果

日本の生活満足度の平均は、2015年が6.8(OECD平均7.3)、2018年が6.2(同7.0)とOECD平均を下回った。2022年は6.8(同6.7)、2025年は7.2(同7.2)で、OECD平均に並ぶ水準まで上がった。「十分に満足」と「満足」を合わせた割合も、2015年61.1%、2018年50.2%、2025年68.9%と動いている。2015年は、9〜10の「とても満足」が23.8%、0〜4の「満足していない」が16.1%で、後者はOECD平均の約12%より高かった。学校への所属感の指標は2018年の0.02から2022年の0.25へ上がり、OECD平均(−0.02)を上回った。2022年にはレジリエントな4か国・地域の1つとされ、2025年には3分野すべてで上位10の教育システムに入った。2025年の所属感はスペインに次ぐ高さであり、2018年版は日本を「丸1日学校をさぼった生徒が少なく、読解の平均得点も高い国・地域」の一つに挙げている。

各年版(4)

  • 2025 PISA 2025 Results (Volume I): Future-Ready Students(2026年9月公表) この号を読む → OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の第9回にあたる2025年調査の結果第I巻「Future-Ready Students(未来に備えた生徒)」である。91か国・地域の76万人超の15歳が参加し、OECD平均は科学・読解・数学の3分野すべてで過去最低の水準となった。一方、学校への所属感(学校に受け入れられ、つながっていると感じる度合い)は2022年より改善し、OECD平均で76%の生徒が学校に所属していると感じている。日本は3分野で上位10の教育システムに入り、所属感ではスペインに次ぐ高さである。
  • 2022 PISA 2022 Results (Volume II): Learning During – and From – Disruption(2023年12月公表) この号を読む → OECDの生徒の学習到達度調査PISA 2022の結果を報告する全5巻のうちの第2巻『混乱の中で、そして混乱から学ぶ(Learning During – and From – Disruption)』である。新型コロナウイルスの世界的流行のさなかに行われた第8回調査をもとに、教育の「レジリエンス(逆境に耐えて立て直す力)」を分析している。いちばんの話題は、数学の成績・公平性・ウェルビーイングの3面すべてで「レジリエント」とされたのが日本・韓国・リトアニア・台湾(Chinese Taipei)の4か国・地域だったことである。報告書は、休校の影響を受けた生徒が少なかった国・地域ほど、数学の得点と学校への所属感が高かったと示している。
  • 2018 PISA 2018 Results (Volume III): What School Life Means for Students' Lives(2019年12月公表) この号を読む → OECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」2018年調査の結果第III巻『学校生活が生徒の生活にもつ意味(What School Life Means for Students' Lives)』である。15歳の生徒の心身の健康、学校の雰囲気をつくる教師と保護者の役割、学校での人間関係を扱い、ウェルビーイングの指標と学校の雰囲気との関係を分析している。最大の話題は、OECD平均で生活に満足している生徒が67%にとどまり、2015年から5ポイント減ったことである。また多くの国で、失敗への恐れが強い生徒ほど読解の得点は高いが、生活満足度は低いことも示された。
  • 2015 PISA 2015 Results (Volume III): Students' Well-Being(2017年4月公表) この号を読む → 本号は、OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査PISA(Programme for International Student Assessment)の2015年調査の結果を5分冊で報告するうちの第3巻『生徒のウェルビーイング(Students' Well-Being)』で、2017年4月19日に公表された。科学・読解・数学の学力ではなく、15歳の生徒の心身の健康、生活への満足、他者とのつながり、将来への意欲を扱う。中心となる話題は、学校で起きることが生徒の幸福とどう結びついているかである。依頼時に示された要約値では、OECD平均の生活満足度は0〜10で7.3、日本はこれを下回る。

どう読む・どう使う

研究では、OECDサイトで公開されている個票データを使い、生活満足度や所属感と、学力・家庭背景・学校環境との関連を国際比較できる。政策では、学力だけでなく生徒のウェルビーイングや学校への所属感も、教育の成果として継続的に確かめる材料になる。学校現場では、いじめ、教師との関係、学校の雰囲気といった観点から、自校の環境を見直す手がかりになる。2015年から2025年まで同じ質問を続けているため、コロナ禍の前後を含む10年間の変化を追える点も特長である。

読むときの注意

生活満足度は自己評価であり、何に満足を感じるかや、0〜10の尺度への答え方には文化差がある。国立教育政策研究所の2015年報告書は、満足度の低い10か国に東アジアの6か国・地域が入ることから、日本が低いと単純に解釈しないよう注意を促している。対象は在学中の15歳で、学校に通っていない子どもは含まれない。学力とウェルビーイングの関連は相関であり、因果関係を示すものではない。

日本語版・邦訳

国立教育政策研究所 PISA(結果のポイント・質問紙):nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pisa/index.html ↗/PISA2015年調査『生徒のwell-being(生徒の「健やかさ・幸福度」)』の概要:nier.go.jp/05_kenkyu_seika/pisa/pdf/pisa… ↗

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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