この号の内容
56か国・地域が参加した第3波
公式ページによると、第3波の参加国・地域は56で、アルバニア(1998年)、アルゼンチン(1995年)、中国(1995年)、インド(1995年)、日本(1995年)、ロシア(1995年)、米国(1995年)などが含まれる。調査年は国ごとに異なり、エルサルバドルは1999年、メキシコは1995/96年である。国をまとめたデータセットは2014年4月29日に公式公開された。同年9月21日の修正版では、誤って抜けていたチェコと台湾が追加され、質問文のラベルも改訂された。
📖 報告書では:公式ページ WVSDocumentationWV3「参加国と調査年」、リリースノート(Version history)
日本は9割近くが「幸せ」
幸福感は「全体として、あなたは幸せだと思いますか」を4段階で尋ねる質問である。1995年の日本では「非常に幸せ」と「やや幸せ」を合わせた「幸せ」が89.0%、「幸せでない」が9.5%だった。1990年の「幸せ」は77.7%で、1995年はそれを10ポイント以上上回る。その後も2000年86.5%、2019年88.3%、2024年88.4%と、9割弱の高い水準が続いている。生活全般の満足度(1〜10で回答し、6〜10を「満足」とする)は、1995年が72.6%だった。
📖 報告書では:電通総研「世界価値観調査 1990〜2024年 日本時系列分析レポート」p.6 図1-1・図1-2
家計満足と人生の自由度
1995年の家計満足度(6〜10の割合)は67.9%で、1990〜2024年の7回の中でもっとも高い。2010年には54.2%まで下がっている。「人生をどの程度自由に動かせるか」で「自由になる」(6〜10)と答えた人は、1995年が55.3%だった。この割合は1990年の45.8%より高く、2024年の68.9%よりは低い。自分の生活程度を「中の中」とした人は、1995年が49.4%である。
📖 報告書では:同レポート p.7 図1-3・図1-4、p.8 図1-5
勤勉と競争を肯定する傾向
1995年は「勤勉に働けば成功する」が70.2%で、時系列の中で最高である。この割合は2024年に52.5%となり、過去最低を記録した。「競争は好ましい」は1995年に67.7%、2024年は57.6%だった(ただし2024年は設問文が異なる)。生活における重要度は、「仕事」87.5%、「余暇時間」88.9%でほぼ同率である。その後は余暇が上回る傾向が続いている。収入については、「成果報酬をより多く」が48.0%、「もっと平等に」が42.5%だった。
📖 報告書では:同レポート p.9 図1-7、p.10 図1-10、p.11 図1-11・図1-12
政治・メディアへの意識
1995年に政治に「関心を持っている」人は51.0%で、1990〜2024年の中でもっとも低い。ほかの年はおおむね6割前後である。国会を「信頼する」人は24.2%、「信頼しない」人は67.7%だった。一方、新聞・雑誌を「信頼する」は71.6%、テレビは68.1%と、7割前後が信頼を示している。「国民の安心な暮らしに国は責任を持つべき」は70.7%だった。「戦争になったら進んでわが国のために戦う」に「はい」と答えた人は17.2%で、時系列で最も高いが、「いいえ」の53.8%を大きく下回る。
📖 報告書では:同レポート p.15 図2-1、p.17 図2-4・図2-5、p.19 図2-8、p.21 図2-11、p.30 図3-10
国際比較:豪州論文の分析
NBERの論文「Happiness and the Human Development Index: Australia Is Not a Paradox」(Leigh & Wolfers、2006年)は、1995〜2000年のWVSデータで国別の幸福感(1〜4)を比べている。その図では、ナイジェリア、タンザニア、メキシコが上位に並ぶ。ブルガリア、ルーマニア、ウクライナなど旧共産圏は下位に集まる。日本は上から25番目で、フランスとマルタの間に位置する。著者らは、WVSのデータから生活満足度と発展水準の間に頑健な関係が見られると述べている。また、オーストラリアに「不幸のパラドックス」がある証拠は見つからなかったと結論づけている。
📖 報告書では:NBER Working Paper 11925 p.1–2「Introduction」、p.5「3. The World Values Survey」、Figure 6(p.12–13)
日本の結果
この号の調べ方
第3波は1995〜1998年を中心に、56か国・地域で各国の研究チームが共通の調査票を用いて実施した。各国とも18歳以上の男女1,000サンプル以上の回収を基本とする個人対象の意識調査である。日本は日本リサーチセンターが1995年11月に訪問面接法で実施し、有効回収数は1,054人である。幸福感は4段階、生活満足度と人生の自由度は1〜10の尺度で尋ねている。
この号から言えること
- 1995年の日本は「幸せ」が89.0%に達した。以後2024年まで、9割近い水準がほとんど変わらずに続いている。
- 家計満足(67.9%)と「勤勉に働けば成功する」(70.2%)は、1995年が時系列の最高値である。2024年にはそれぞれ61.9%、52.5%となっている。
- 幸福感の高さとは対照的に、政治への関心(51.0%)と国会への信頼(24.2%)は低かった。
- 国際的には、1995〜2000年のWVSで旧共産圏の幸福感が低く、日本は中位よりやや上に位置する。
読むときの注意
日本の1995年の数値は、電通総研の2024年レポートの時系列グラフから読み取ったものである。設問文や調査方法は年によって変わっており(2000年以降は郵送法や割当法を含む)、単純比較には注意が必要である。NBER論文の国際比較は1995〜2000年のデータを合わせたもので、第3波だけの結果ではない。