この号の内容
11の側面で暮らしを測る
報告書は、人々の暮らしと幸福を形づくる最も重要な側面として11の側面を挙げ、その最新の状況をまとめている。11の側面は、所得、仕事、住居、健康、仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)、教育、社会的つながり、市民参加とガバナンス、環境、身の安全、主観的幸福(本人が自分の生活をどう評価し感じているか)である。物質的な生活条件と生活の質の両方を、人口全体にわたって見る構成になっている。比較可能な幅広い指標を用いて、OECD諸国とその他の主要経済国を描いている。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)冒頭
国ごとに得意分野が異なる
報告書は、国によって幸福の側面ごとの成績が異なることを示している。例として、OECD圏内の所得の低い国々は、主観的幸福とワーク・ライフ・バランスでは非常によい成績を上げる傾向がある。その一方で、これらの国々の物質的な豊かさの水準は、ほかのOECD諸国よりかなり低い。ひとつの側面だけでは国の暮らしの良さを判断できないことを示す例である。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)第1段落
金融危機は暮らしに大きく影響
特集の1つ目は、世界的な経済・金融危機のあいだに幸福がどう変化したかの分析である。報告書は、大不況(Great Recession)が家計の経済的な幸福と経済以外の幸福の両方に大きな影響を及ぼしていると結論づけている。あわせて、危機の影響の一部は長い期間を経てはじめて表に出るものもあると述べている。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)第2段落「First…」(危機と幸福の特集章)
男女差は縮んだが残る
特集の2つ目は、幸福における男女差である。報告書は、男性に有利だった従来の男女格差は縮小したものの、なくなってはいないと示している。また、女性と男性はそれぞれ異なる側面でよい成績を上げていること、男女が仕事や役割をますます分かち合うようになっていることも指摘している。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)第2段落「Secondly…」(男女差の特集章)
仕事の質と職場の幸福
特集の3つ目は、雇用の質と職場における幸福である。報告書は、人々の仕事への熱意(コミットメント)を高める主な要因についての根拠を示している。これらの要因は、負担の大きい仕事に対処する力を強めるうえでも鍵になると位置づけている。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)第2段落「Third…」(仕事の質の特集章)
今の幸福と将来の幸福
報告書の最終章は、現在の幸福と将来の幸福のつながりを扱う。幸福が時間を通じて持続可能かどうか(将来の世代も含めて暮らしの良さを保てるか)を、どう定義し、どう測るかの方法を検討している。
📖 報告書では:公式ページ要旨(abstract)第2段落「Finally, the last chapter…」(最終章)
この号の調べ方
対象はOECD加盟国とその他の主要経済国で、11の側面について国際比較が可能な幸福指標を幅広く用いている。物質的な生活条件と生活の質の両方を人口全体にわたって見る。本書はOECDが2011年の設立50周年を機に始めた「より良い暮らしイニシアチブ(Better Life Initiative)」の一部で、2013年11月5日にOECD Publishingから刊行された第2版である。
この号から言えること
- 幸福は所得だけでは測れず、OECD圏内の所得の低い国々は物質面で劣る一方、主観的幸福やワーク・ライフ・バランスではよい成績を上げる傾向がある。
- 報告書は、大不況が家計の経済面だけでなく経済以外の幸福にも大きな影響を及ぼしたと結論づけ、影響の一部は長期的にしか見えてこないとしている。
- 男性に有利な男女格差は縮小したが消えておらず、男女は異なる側面で強みを持ち、役割の分担も進んでいる。
- 職場の幸福や幸福の持続可能性まで測定の対象を広げ、政策立案者に社会の進歩のより正確な姿を示すことを目指している。
読むときの注意
今回参照できたのは公式ページの要旨のみで、本文PDFの具体的な数値・順位・国別の結果やページ番号は含まれていない。そのため本記事には各国の指標値や日本についての記述を載せておらず、詳しい数字は本文PDFで確かめる必要がある。国ごとの違いの記述は傾向の比較であり、ある要因が幸福を高めるという因果を示すものではない。