この号の内容
生活満足度は横ばい、若年で上昇
生活満足度(0〜10点で生活全体への満足を自己申告する指標)の全体平均は、2019年5.78点、2020年5.83点、2021年5.74点、2022年5.76点、2023年5.79点と推移し、昨年からおおむね横ばいである。女性は男性より高い水準が続き、2023年は女性5.90点、男性5.67点である。年齢階層別では39歳以下が5.70点から5.77点に上昇した。地域別では三大都市圏が5.91点、東京圏が5.85点、地方圏が5.74点で、すべての地域でコロナ拡大前と同じ水準まで回復した。非正規雇用はコロナ禍の影響を正規雇用より大きく受け、2021年に5.37点まで下がったが、2023年は5.52点と2019年(5.51点)と同じ水準に戻った。正規雇用は2023年5.76点である。
📖 報告書では:①生活満足度の動向 p.3、図表1-1〜1-4
家計・賃金・子育て分野が低下
13の分野別満足度のうち、性別・年齢別・地域別のいずれでも「家計と資産」「雇用環境と賃金」「子育てのしやすさ」が低下した。男性の40〜64歳では「生活の楽しさ・面白さ」が比較的大きく下がった。一方、大都市圏では「仕事と生活(WLB=ワークライフバランス)」が上昇した。2022年と2023年の両方に答えた約6,200人で見ると、生活満足度が上がった人は30.4%、下がった人は31.3%で、いずれも3割程度である。変化なしは38.3%であった。
📖 報告書では:②分野別満足度の動向 p.4、図表2-1〜2-3
最頻値は7点、年齢で異なる
生活満足度の点数の分布は、前年から形が大きく変わっていない。最も多い回答は7点で、次いで5点、8点である。年齢階層別に最も多い点数を見ると、39歳以下は7点、40〜64歳は5点、65歳以上は8点である。中年層の山が低い位置にある点が、年齢による違いとして示されている。
📖 報告書では:③生活満足度の分布 p.5、図表3-1・3-2
単身より家族世帯が高い満足度
いずれの年齢階層でも、単身世帯より家族のいる世帯の生活満足度が高い。心の健康状態を測る指標K6(6項目を5段階で点数化し、合計が高いほど精神的ストレスが強い)で13点以上の人は、単身世帯で23.2%であり、夫婦世帯の10.6%、夫婦と子世帯の13.9%を上回る。0〜4点の人は、夫婦世帯で54.6%、単身世帯で36.8%である。男性は年齢にかかわらず、結婚願望のある人の満足度が無い人より高い。女性の40代以降では逆の傾向である。過去1年に結婚した139人では、結婚前5.80点から結婚後6.15点へと平均的に上昇した。上昇した人は43.2%、低下した人は32.4%である。
📖 報告書では:④世帯構成と結婚願望 p.6、図表4-1〜4-4
子の成長で家計の比重が増す
生活満足度に影響する項目として「家計と資産」を挙げた割合は、未就学児のいる世帯で27.8%、小中学生のいる世帯で30.2%、高校生のいる世帯で38.0%である。こどもの成長につれて家計の影響が大きくなる。生活満足度と家計と資産の満足度も、こどもの成長とともに低下する。子育てを気軽に頼める人がいる場合、子育てのしやすさ満足度は男性5.80点、女性5.72点である。いない場合は男性5.14点、女性4.48点にとどまる。テレワークの可否による差は、そこまで顕著ではない。交流する友人がいる人ほど満足度が高く、女性では週1回以上で5.98点、該当者がいない場合は4.89点と、頻度が多いほど高い傾向である。
📖 報告書では:⑤就学状況と子育てのしやすさ p.7、図表5-1〜5-3
満足度が高いほど将来不安は低い
分野別の満足度と将来不安度の相関係数は、全分野で−0.64〜−0.88である。現在の満足度が高いほど将来不安が低いという強い相関がある。リカレント教育(社会人の学び直し)を受講中、または過去に受講した人は、「雇用環境と賃金の将来不安度」が低い。正規雇用では受講中4.82、受講希望はあるが行動できていない人5.61である。健康のために何かしている人は、何もしていない人より健康の将来不安度が低い。平日の睡眠5時間以下の場合で比べると、5.03対5.97である。困ったときに頼れる人が多い人ほど社会とのつながりの将来不安度が低く、65歳以上では「いない」4.93、「5人以上」3.54である。
📖 報告書では:⑥将来不安度の動向 p.8、図表6-1〜6-4
やりがいと生きがいで満足度最高
仕事にやりがいを感じるかどうかについて、雇用形態による大きな違いはない。雇用形態や年収にかかわらず、やりがいを感じる人は感じない人より雇用環境と賃金の満足度が高い。年収700万円以上で比べると、6.42点対4.93点である。WLB満足度もやりがいを感じる人で5.93点、感じない人で4.47点と差が大きく、テレワークの可否による差は小さい。仕事のやりがいと趣味・生きがいの両方がある人の生活満足度は6.55点で最も高い。両方ない人は3.91点である。
📖 報告書では:⑦仕事のやりがいと満足度 p.9、図表7-1〜7-4
日本の結果
この号の調べ方
内閣府による全国約10,000人へのインターネット調査である。うち約6,200人は前回からの継続回答者(パネル調査)である。第5回調査は2023年2月10日〜3月5日に実施され、新型コロナの5類感染症移行前の時期にあたる。総合的な生活満足度と13分野別の満足度を0〜10点で尋ねるほか、生活実態や将来不安など主観・客観の両面の質問を組み合わせている。
この号から言えること
- 全体の満足度はほぼ横ばいだが、家計・賃金・子育ての分野はそろって下がっており、平均の安定の裏で暮らし向きの評価が弱含んでいる。
- 単身世帯は満足度が低く、強い精神的ストレスを抱える人の割合も高い。家族の有無と心の健康が重なって表れている。
- 頼れる人や交流する友人がいる人ほど、子育てのしやすさ満足度が高く、社会とのつながりの将来不安が低い傾向である。人とのつながりの重要性が繰り返し示されている。
- 年収にかかわらず、仕事のやりがいがある人ほど賃金面の満足度も高い。やりがいと生きがいの両方がそろう人が最も満足度が高い。
読むときの注意
示されている関係の多くは、満足度と属性・行動の相関である。たとえば頼れる人やリカレント教育が満足度や不安を変えるという因果までは示していない。結婚前後の比較は139人と少ない人数にもとづく。ここで扱ったのは概要版9ページの図表であり、詳細な分析は本報告書本文で確認する必要がある。