この号の内容
首位はオランダ、デンマーク、仏
順位表(リーグ表)の上位3か国はオランダ、デンマーク、フランスである。この3か国は精神的幸福度・身体的健康・スキルの各分野でも上位にある。下位8か国はいずれも、3分野のうち少なくとも2分野で下位3分の1に入る。ブルガリア、クロアチア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアは精神的幸福度が高い一方、身体的健康は下位3分の1である。チェコとアイスランドは身体的健康が高いが、精神的幸福度とスキルはともに低い。報告書は、上位国を含むすべての国に改善の余地があるとしている。
📖 報告書では:公式ページ「Where do rich countries stand?」節(リーグ表)
6指標の2018→2022年の変化
報告書は、2020年のレポートカード16で初めて分析した6つの指標を比べている。生活満足度、思春期の自殺、子どもの死亡率、過体重、学力の習熟、社会的スキルの6つである。比率で5%以上良くなれば「改善」、5%以上悪くなれば「悪化」と判定している。子どもの死亡率は大半の国で下がり、社会的スキルはおおむね横ばいか、一部の国で上がった。思春期の自殺率にははっきりした傾向がない。生活満足度・過体重・学力の3指標は、多くの国で悪化し、改善した国はわずかである。
📖 報告書では:公式ページ「Progress at risk」節(6指標の変化をまとめた表)
15歳の生活満足度が大きく低下
2018〜2022年に、15歳の子どもの生活満足度は大きく下がった。女子も男子も下がったが、ほぼすべての国で女子の下がり幅のほうが大きい。この期間に子どもの生活満足度がはっきり上がった国は、日本だけである。
📖 報告書では:公式ページ「Life satisfaction」節
自殺率は横ばい、死亡率は低下
2018〜2022年に、思春期の自殺率は18か国で下がり、17か国で上がった。対象国全体で見るとほぼ横ばいである。この年齢層の自殺率は女性より男性のほうがかなり高いが、その差は縮まりつつある。子どもの死亡率は長く下がり続けており、平均すると5歳から15歳までの10年間に亡くなる子どもは1000人に1人未満である。ただし、恵まれない家庭の子どもほど死亡リスクは依然として高い。
📖 報告書では:公式ページ「Adolescent suicide」節・「Child mortality」節
過体重は17%から28%へ
子どもの過体重の割合は、1990年の約17%から2022年の約28%へと上がり続けてきた。2018〜2022年にも、対象国の3分の1でこの割合はさらに上がった。はっきり改善したのはイタリアとポルトガルの2か国だけである。
📖 報告書では:公式ページ「Overweight and obesity in children」節
数学は平均12点、約7か月分低下
報告書は、コロナ禍に伴う休校が子どもの学力に大きな影響を与えたとしている。38か国で数学の得点が平均12点下がり、これは約7か月分の学びの損失にあたる。読解と数学で基礎的な習熟に達した子どもの割合は、21か国で5%を超えて下がり、はっきり上がったのは4か国だけである。42か国で、840万人を超える15歳が、日常生活に必要な読み書き・計算の力に届いていないと評価された。一方、社会的・情緒的スキルは2018〜2022年にあまり変わっていない。休校による悪影響が心配されていたなかで、報告書はこれを前向きな兆しとしている。
📖 報告書では:公式ページ「Academic skills」節・「Social and emotional skills」節
日本の結果
この号の調べ方
対象はOECD・EUの43か国である。2020年のレポートカード16と同じ6指標を使い、2018年と2022年の値を比べた。6指標は生活満足度、思春期の自殺、子どもの死亡率、過体重、学力の習熟、社会的スキルである。比率で5%以上の変化を「改善」または「悪化」と判定している。あわせて、最初のレポートカードが出た2000年以降の長期的な推移も見ている。
この号から言えること
- 豊かな国でも、子どもの生活満足度・過体重・学力は多くの国で悪化している。過去25年の前進(死亡率の低下、自殺の全体的な減少、学校修了率の上昇)は、世界的な出来事やショックに弱くなっている。
- 国ごとの強み・弱みはまちまちである。日本のように学力は上位でも、心の幸福度は下位という国がある。
- 報告書は、心の健康・身体の健康・スキルはつながっているとしている。そのうえで、専門的な支援、子育て支援プログラム、不健康な食品の宣伝規制、環境汚染への対策、学びの遅れを取り戻す支援を勧めている。
- 報告書は、パンデミックを過去の一度きりの出来事とみなすべきではないとしている。気候変動や紛争による同様の影響に備えて先を見通した対策を取ること、子ども自身を意思決定に参加させることも勧めている。
読むときの注意
示されているのは、指標の国ごとの変化と順位である。休校と学力低下の関係は、報告書がそう結論づけているものである。性別や家庭の経済状況による格差は、国際比較できるデータが乏しく、次のレポートカードで詳しく扱うとされている。今回の元資料は公式ページの要約で、本文PDFのページ番号や、日本の分野別・総合の具体的な順位は含まれていない。