この号の内容
初版は18か国のデータ
ESS第8回(2016年)のデータと資料の初版は、2017年10月31日(火)に公開された。収録されたのは、2016年に現地調査を行った18か国である。内訳はオーストリア、ベルギー、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イスラエル、ノルウェー、オランダ、ポーランド、ロシア、スロベニア、スウェーデン、スイス、英国である。
📖 報告書では:公式ニュース記事「Round 8 data now available」(2017年10月31日)第1〜2段落
残りの国は2018年5月公開
第8回に参加した残りの国のデータは、2回目の公開に含まれる見込みである。2回目の公開は2018年5月に予定されている。事後層化ウェイトもその時点で全参加国分が提供される。事後層化ウェイトとは、標本の性別・年齢などの構成を母集団に合わせるための重みである。
📖 報告書では:公式ニュース記事「Round 8 data now available」第3段落
2002年からの共通質問
第8回にも、2002年以来毎回たずねている共通質問が含まれている。分野は犯罪、民主主義と政治、人間の価値観、移民、メディア利用、国民・民族アイデンティティ、差別の経験、宗教、社会的排除である。さらに、社会的信頼と制度への信頼、主観的ウェルビーイング、社会人口学的属性(年齢・学歴など)も含まれる。ウェルビーイングについては、この共通部分の質問がデータに入っている。
📖 報告書では:公式ニュース記事「Round 8 data now available」第4段落
福祉への態度を再び調査
第8回では、福祉に対する人々の態度をたずねるモジュールを実施した。これは第4回(2008年)に初めて実施したモジュールの再実施である。設計は、ベルギーのルーヴェン大学を拠点とするWim van OorschotとBart Meulemanが率いるチームがESSと共同で担った。新しいデータにより、経済危機の前後で福祉への態度がどう違うかを比べられる。深刻な景気後退が福祉への態度に与えた帰結を、研究者が分析できるようになる。2008年の質問票には、福祉の将来に関する新項目が加えられた。その中には、ユニバーサル・ベーシックインカム(全員に無条件で一定額を給付する制度)の導入に関する項目もある。
📖 報告書では:公式ニュース記事「Round 8 data now available」第5〜6段落(Welfare attitudes)
気候変動とエネルギーは初
第8回には、気候変動とエネルギーへの態度を測る、まったく新しいモジュールも加わった。内容は気候変動についての認識、気候変動とエネルギー安全保障への懸念、個人的規範、効力感、信頼、エネルギー源の好みである。このテーマのデータは、ESSの歴史上初めて欧州の人々の気候変動認識を示すものと位置づけられている。設計は、英国カーディフ大学のWouter Poortingaが率いる欧州の研究者チームが一部を担った。
📖 報告書では:公式ニュース記事「Round 8 data now available」第7段落(Attitudes to climate change)
調査員票とメディア報道
今回の公開には、調査員票のデータも含まれている。調査員票とは、面接を担当した調査員が記入する質問票である。あわせて、メディア・クレーム・データ(調査期間中の報道に関するデータ)も収録された。メディア・クレーム・データの対象国の一覧には、初版18か国のうちアイスランドが挙がっていない。
📖 報告書では:公式ニュース記事「Round 8 data now available」第8段落
この号の調べ方
ESSは2002年から実施されている欧州の国際比較調査である。この号は、第8回(2016年)の現地調査を終えた18か国分のデータ初版(2017年10月31日公開)を扱う。毎回共通の質問に、外部の多国籍研究チームとESS中核科学チームが共同設計した2つの交替モジュールを加えた構成である。元資料に、回答者数や調査方法の詳細は書かれていない。
この号から言えること
- 第8回は、ウェルビーイング・モジュールの実施回(第3回・第6回・第12回)ではない。幸福感などの主観的ウェルビーイングは、毎回共通の質問として収録されている。
- 福祉への態度モジュールは2008年の再実施である。そのため、経済危機の前後で同じ質問を比べられる点が読みどころである。
- 気候変動とエネルギーのモジュールは、ESSで初めて欧州の気候変動認識を測ったものである。ベーシックインカムへの賛否など、新しい項目も加わっている。
読むときの注意
この号はデータ公開の告知であり、幸福感などの集計結果や国別の数値は示されていない。初版は18か国分のみで、事後層化ウェイトは2018年5月の2回目公開まで提供されない。そのため、初版だけで全参加国の比較や母集団の推計を行う際には注意が必要である。